(前問のtanπ/12は単純にtan(π/4-π/6)として加法公式を使った方が簡単なので、修正しました)
そして今回は2000年の東大理系数学です。
http://server-test.net/math/php.php?name=tokyo&v1=1&v2=2000&v3=2&v4=1&y=2000&n=7
以下に解答例を記します。
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(1) 条件より、正整数nに対しPk(n)=Σm^(k-1) (Σは1≦m≦nに関する和)です。
すなわちP1(n)=n,P2(n)=n(n+1)/2です。
無限個のnに対してこれが成り立つので、
① P1(x)=x,
② P2(x)=x(x+1)/2
となります。(∵ ①,②それぞれの両辺の差は無限個のxに対して値が0となる多項式なので、(多項式として)0となります。また、実際にP1(x)-P1(x-1)=x^0,P2(x)-P2(x-1)=x^1が成り立つことも明らかです)
(2) (1)の結果よりk=1,2のとき、題意の命題(D(k)とします)は成り立ちます。
次に(2以上の自然数nに対し)、k≦nのときにD(k)が成り立つと仮定します。
Ak(x)=x^k/k,Bk(x)=Ak(x)-Ak(x-1)と置くと、Bk(x)-x^(k-1)はk-2次以下の多項式となります。
よってk=n+1の場合を考えると
③ Bn+1(x)=x^n+bn-1・x^(n-1)+bn-2・x^(n-2)+……+b1・x+b0
と表せます。よって
Pn+1(x)=An+1(x)-bn-1・Pn(x)-bn-2・Pn-1(x)-……-b1・P2(x)-b0・P1(x)
と置くと、この多項式が条件(C)を満たすことは明らかです。
また、条件を満たすもう一つの多項式En+1(x)が存在したならば、すべての正整数mに対しPn+1(m)-En+1(m)=0となるので、(1)と同様に考えてPn+1(x)=En+1(x)となります。
すなわちk=n+1のときもD(k)は成り立つことが分かります。
よって数学的帰納法によりk≧3に対してもD(k)が成り立つことになり、題意は証明されました。
(3) 因数定理によりk次の多項式Qk(x)はx(x-1)……(x-k+1)で割り切れ、しかもQ(k)=1であることから
④ Qk(x)=x(x-1)……(x-k+1)/k!
特に、正整数nに対しては
⑤ Qk(n)=nCk (0≦n<kのときはnCk=0と考えます)
また、Qk(x)は最高次数が0でないk次多項式であり、しかもxで割り切れるので、一般に定数項が0であるn次多項式f(x)はQ1(x),Q2(x),……,Qn(x)の一次結合(すなわち定数倍したものの和)で表されます。
Pk(0)=0よりPk(x)も定数項が0の多項式なので、
⑥ Pk(x)=p1・Q1(x)+p2・Q2(x)+……+pk・Qk(x)
の形に表されます。
以下、数学的帰納法で題意を証明します。
条件より
⑦ 0≦m<nならばQn(m)=0
なので、
⑧ 1=Pk(1)=p1
となり、p1は整数1として定まります。
次に、s≦r (≦k-1)のときにpsがただ一通りに定まり、しかも整数になるとします。
⑦より
⑧ Pk(r+1)=p1・Q1(r+1)+p2・Q2(r+1)+……+pr+1・Qr+1(r+1)
Pk(r+1)=Σm^(k-1) (Σは1≦m≦r+1に関する和)は整数であり、また⑤よりQ1(r+1),Q2(r+1),……,Qr(r+1)は整数で、Qr+1(r+1)=1なので、仮定からpr+1はただ一通りに定まり、しかも整数となります。
よって数学的帰納法により、ct=pt (1≦t≦k)として題意が成り立つことが証明されました。
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直観的にそうなることは分かっても、論証として表現するのが少し面倒な問題です。
それでも東大後期数学としては簡単な方なのではないかと思います。
できれば確保しておきたい問題ですね。