東大数学(2011 前期 理・1)&解答例 | うろこ雲のブログ

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2011年の東大・前期理系数学です。



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問題: 座標平面において、点P(0,1)を中心とする半径1の円をCとする。 a を0<a<1を満たす実数とし、直線 y=a(x+1) とCとの交点をQ,Rとする。


(1) △PQRの面積S(a)を求めよ。


(2) aが 0<a<1 の範囲を動くとき、S(a)が最大となる a を求めよ。


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以下に解答例を記します。



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(1) 直線 y=a(x+1)をLとします。また、PからLに下ろした垂線の足をHと置きます。


一般に、


(*) 直線 px+qy+r=0 と点(s,t)との距離は|ps+qt+r|/√(p^2+q^2)で表される


ので、


① PH=(1-a)/√(1+a^2)


② HQ=HR=√(1-PH^2)=√(2a)/√(1+a^2)


よって


S(a)=(HQ+HR)・PH/2=(1-a)√(2a)/(1+a^2)


となります。



(2) x軸と直線Lとの交点(-1,0)をMとし、∠PMH=θと置くと、MP=√2より


③ PH=√2・sinθ


また、


④ [S(a)]^2=[PH・2√(1-PH^2)/2]^2=PH^2(1-PH^2)


0<a<1より0<θ<π/4なので、③より0<PH<1が成り立ちます。


よって④および相加・相乗平均の関係から、[S(a)]^2はPH^2=1/2のとき最大値1/4を取ることが分かります。


このことと③より、S(a)は sinθ=1/2 のとき最大値1/2を取ることになります。


このときθ=π/6なので、直線Lがx軸となす角はπ/4-π/6=π/12であることが分かります。


従って a=tanπ/12 です。


ここでtanπ/4=1,tanπ/6=1/√3なので、加法公式より


⑤ a=[1-(1/√3)]/[1+(1/√3)]=2-√3


以上により、S(a)が最大値1/2を取るのは a=2-√3 のときであることが導かれました。


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(2)においてはそもそも、∠PQR=αと置くと△PQR=(sin 2α)/2なので、α=π/4のとき最大値1/2を取ることは明らかですが、そのときのaを求めるためにはいずれにしてもθを使った式で表示することになります。


従って結果的には、最初からそちらの式で考えた方が簡潔になりそうです。


また(1)に出てきた(*)を証明なしに使っていいかどうかは定かでありませんが、(仮に証明するなら)たとえば次のようにして示すことができます。



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X軸およびY軸をそれぞれ、直線E: px+qy+r=0 の法線ベクトル k=(p,q)に平行・垂直な座標軸としてXY座標系を設定すると、Eは直線 X=-r/|k|となります。(ここで、|k|=√(p^2+q^2)です)


また、(xy座標系における)点G(s,t)の(原点に関する)位置ベクトル(s,t)をgと置くと、GのXY座標系におけるX座標はg・k/|k|=(ps+qt)/|k|となります。


Gと直線Eの距離dはGと直線E(上の任意の点)のX座標の差に等しいので


d=|ps+qt+r|/√(p^2+q^2)


であることが導かれました。


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この問題もまともに計算すると面倒なので、負担を減らすための工夫がポイントになりそうです。


そう難しい問題ではないので、なるべく時間をかけずにうまく処理したいところですね。