江戸ブランド
その内にと思っていた写真を載せます。
この写真は昨年、熊本県の天草で購入したお皿(直径25センチ)です。海松(みる)という海草を模した江戸時代のデザインで、その忠実な複製品です。円形の皿に円形の二つの海松の絵柄。片方は絵が切れていて、もう一方もすれすれで皿の円周に絵柄の円周が触れていますね。安易にシンメトリにしないデザイナーの凄腕が伺えます。すごくモダン、言われなければそんなに古いデザインとは思えないね。
この皿、和物よりパスタなんかがよく似合う。食べていくと絵柄が現れる。コリャなんだ、と思わせる。そういう意外性があるお皿です。デザインした人の皿にもちょっとした驚きを与えたいという大胆さ、おいしさを盛り上げる楽しさをつくりたい、そんな気分が伝わってきます。
おそるべし江戸文化。それをずっと見守ってきて、何百年かたったある日に復活させる天草の製陶業の方々のしぶとさにも敬服します。
とても気に入っているお皿のひとつです。
料理はアイデア
久しぶりに会った友達が、このブログを見たらしく「おまえいつから料理屋になったの」と言ってました。確かに・・・。とってつけたように機能ベネフィットとか言って、結局、料理の話です。
今日も臆することなく(笑)、このラインの話です。
先日、福岡に出張して、夜は当然飲み会。めっちゃ楽しかった。ご一緒した方々、ありがとうございました。
初めてお会いした方がこのブログを読んでいてくれたりで、盛り上がりました。「初めまして、ブログ読んでます」と言われただけで、共通項が出来てぱっと目の前が開けた感じでした。それに料理はつくるつくらないは別に一家言を持っている人が多いということも、わかりました。料理で話がゴンと赤丸急上昇します。
さて、その時に、チャーハンの話が出ました。好きな話ですが、実は受け売り、グッチユーゾーさんからです。グッチさんも誰かから聞いたとTVでいってました。彼の料理好きは有名です。NHKの「きょうの料理」に彼が出るのが楽しみです。
チャーハンの話というのは、先に卵かけご飯を作って、それをいためるもの。お試しください。ぱらぱらのプロ顔負けのチャーハンがいともカンタンに出来ます。
で、応用。というか、アイデアが同じ話。
牡蠣に塩コショウして、片栗粉(扱いが面倒な時には片栗さんは、ふりかけ型の<とろみちゃん>が便利)にまぶす、それからいためる。うまみが内側に閉じ込められるせいか、とっても味が濃厚でうまいです。
ご飯粒も牡蠣も、それから豚肉も、コーティングするとうまい!!というアイデアです。それに気づいたら、後は転用、盗用、応用です。アイデアとはもともとあるものを、角度をちょっと変えて応用する、すると新しい見え方に出会う、です。
思いついたらやってみる。もちろん失敗もあるけれど、それがまたおかしくて話のネタになったりで。
食卓という鏡
今年は暖かくて、いつもに比べて回数が少なかったけど、季節を問わず始終鍋料理をやっています。おいしいし、からだによく、経済的だからです。
土鍋は大きいのをふたつ持っています。ふたつとも伊賀焼きです。昔からあるのは、余り伊賀らしくなく、植物のアダンの模様が蓋に描かれた深鍋です。使い込んで青みがかった黄土色の本体にピンク色が浮き出ています。萩焼の徳利を使い込むと酒のせいでうすいピンクが浮き出てくるのに似ています。
新参はいかにも伊賀。黒に近いこげ茶の浅鍋。京都のうなぎ雑炊で有名な「わらじや」で使っているのに類似しています。
どちらの鍋を使うかは、浅いか深いか、どっちが適しているか、純機能ベネフィットで選ぶことが基本。使う素材との色の対比(みつばは、黒鍋のほうが映えるとか)もある。これは見た目に訴える機能ベネフィット。
これだけじゃないね。そのときの気分というか、気持ちとの対比も関係している。気分がカジュアルか、それともお正月とか少しハレ気分だったりで違ったりする。これはインサイトに関係した情緒ベネフィットだね。
今たまたま鍋を例に話したけど、お皿、鉢、小鉢、箸置きなど、その選び方はベネフィットとインサイトをどこかで反映しています。
食卓は人間の気分や関係論や行動をよく映しだす鏡なんだね。