ファイルNo,306 M様 RZ前後ブレーキ換装オーダー
↑以前当店で施工した記事を見てオーダー頂きました。
今回のオーダーは前後にAPレーシングの
キャリパーを採用したいと言うものです。
スイングアームの垂角その他、
ドラム用のビートのステップも全く同じ仕様ではなく
(ペダルが他車のものと交換されている)
前回のデーターはそのまま生かせませんので
色々と考えながら進めさせて頂きました。
↑入庫した状態ですでにTZの足回りが
入っておりますがブレーキ関係は未処理。
ステップはビート製のドラム用です。
↑APのキャリパー
前後とも同じものを取り付けます。
↑このAPのキャリパーは
ローター外径に対してそれほどフレキシブルではありません。
今回の組み合わせではローターがパットが飛び出てしまいます。
ですがアクスル側に寄せると本体が干渉する。
パットの飛び出しに関しては妥協するしかありません。
↑まずは何時ものごとく仮プレートを製作してみます。
ボルト穴には必ず遊びがあるため
図面上で計算してボルト位置を割り出しても
実際に仮プレートで試してみると
遊びの状態によってはキャリパー本体と
ローター外周部が干渉したりします。
↑完全にボルト位置を把握するまでは
何枚も仮プレートを製作します。
↑ボルト位置が定まった後に本格的に設計に入りますが
これがまた一回で決まらないわけでして
現物大にプリントしては確認して微調整を行います。
↑完成したサポートを仮組します。
↑いい感じに収まりました。
因みにスポークとキャリパーの干渉を防ぐため
ローターも若干外側にオフセットさせてあります。
↑±0.01のシムを加工してあります。
↑こんな感じでセットしてローターをオフセットしてあります。
今回分割式のシムを採用したのは
PCDが大きくオフセット量が少ないので
リング形状で製作するのが精度的に難しいからです。
次にリヤ側です。
↑リヤもローターのオフセットが必要でした。
こちらはリング状のスペーサーを製作して対応
精度は±0.01 4mm厚です。
↑リヤサポートの製作工程は省きますが
形状は写真のCです。
↑トルクロットを固定するステーを製作。
↑スイングアームに固定して溶接します。
↑トルクロットを取り付けるとこんな感じ。
さて いよいよステップ側です。
↑今回のRZはTZのスイングアームの角度が
前回のオーダーとは異なるため
マスターを固定するプレートの製作と言いますか
位置関係で難儀しました。
結局プレートを3段階で調節できるように製作しておいてから
現物合わせで位置を確定させ
その後にカム関係の加工に入った次第です。
↑ビートのステップをバラし カム部分を改造します。
↑マスターの角度に合わせてステーを新設。
↑ペイント
↑3段階の内 一番下の穴を採用しました。
ブレーキスイッチと連動するバネもバッチリ機能します。
予定より3日ほど遅れましたが
何とか完成しましたのでこの後納車となります。
※マスターはRZRの純正新品
マスターカップはポッシュ製
ホース類のフィッティングは当店では今回行いません。