日本では見えなかったもの | 坪井健太郎のブログ from スペインバルセロナ

坪井健太郎のブログ from スペインバルセロナ

2008年からバルセロナでサッカー指導者。プレサッカーチーム代表: サッカー指導者の育成アカデミーを運営。
オンラインコミュニティ「サッカーの新しい研究所」運営

マドリッドへ行ってきました。

ユース年代の全国大会が開かれるということで、久しぶりに会う友人と共に何試合かを見てきました。


結論からいうと、行って正解でした。いや大正解でした

というのは、勝つチームとそうでないチームの大きな違いが目に見えたこと。

そして運良く、その勝つチーム(結果的には優勝チーム)のスタッフの中に知っている人が居たため、どのようなプロセスでチームつくりをしてきたのかなどを少し聞くことができたために、よけいにその意図がグランドで実践されているのを見て納得できました。


今まで日本に居てチームを持って指導をしてきましたが、自分自身一つの壁を超えられないことを感じていました。

それはゲームに「勝つ」こと。

言い換えれば、自分自身は勝つチームを作り上げられない監督でした。

スペインでは、結果というのが非常に重要視されます。

もちろん結果至上主義ではないですが、「いい試合をしてても勝たなければ意味が無い」という雰囲気はとても強く感じます。


もちろんこのクラスになれば、技術と戦術のベースはかなり高いレベルにあるのは言うまでもありません。

ではそのハイレベルのベースを持った選手たちをどうやって勝ちに向かわせるか?


それは、チームとしての意図をどこまで浸透させるか、そしてそれを試合開始から終わりまで全力で実行しつづけられるか、ということがどんなに大切なことかがわかりました。


では、そのようなチームや選手を育てるためにはどうやったらいいのか…

監督はそれぞれ異なる思想を持っているでしょう。

しかし、そのイメージをどこまで選手に伝えることができているか。

選手自身、自分たちがどのように戦ってこのゲームに勝つのかを明確に理解しているか。

できていれば間違いなく選手たちはそれをグランドの上で実行し、監督は自信を持ってベンチで試合を見守ることができているでしょう。

反対にできていなければ、その監督は選手のプレー一つ一つを批判してしているのでは?(日本でよく見る風景です「お前、今のはこうだろ!」「何でそうなんだぁ!?」)

伝える力って本当に大事です。


次に、全力で働き続けることについてですが、これはメンタルの部分が大きなウェイトを占めるとは思いますが、「信頼」というものが重要なのではないかと思います。


自分の技術を信頼する

味方を信頼する

チームのコンセプトを信頼する

監督を信頼する

トレーニングの成果を信頼する

審判を信頼する・・・


信頼が無ければ、自分の労力を他に捧げることはそう簡単にしないはずです。

納得できて信頼できるからパスをする、走る、戦う。

では納得させるための「何か」を築き上げるのも監督の仕事の一つであるはずです。


個々の能力だけではチームスポーツでは勝つことが出来ない。それが一つになって一つの目標に向かって初めてチームとしての爆発力が生まれるのを目の当たりにしたマドリッドでの大会でした。

バスに7時間半揺られて行った価値がありました。