- <岡本喜八監督作品＞どぶ鼠作戦 [DVD]/加山雄三,佐藤允,夏木陽介
- ￥4,725
- Amazon.co.jp
内容：鬼才・岡本喜八が加山雄三主演で描いた戦争活劇。荒涼たる北支最前線。特務隊長の白虎に捕らわれた新任参謀の救出命令が下される。白虎は脱走常習犯の林一等兵や食事を盗んだ兵を撲殺した三好炊事軍曹ら札付きのクズ兵隊を率いて敵中へ乗り込んでいく。 （Amazonより）
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
はい！今週の岡本喜八 監督枠は、1962年製作「どぶ鼠作戦」です！
北支最前線の三元守備隊は完全に孤立の状態だった。師団司令部から派遣された新任の参謀関大尉は、三元より約二五粁西の元頭で作戦を指導中、八路の大軍に襲われて行方不明となった。師団長は大尉救出隊の編成を急いだ。その隊長に、特務隊長の白虎が選ばれた。そして白虎が選んだのは、脱走常習犯の林一等兵、食事を盗んだ兵を撲殺した空手三段の三好炊事軍曹、その軍曹を仇と狙って炊事場へ手榴弾を投げこんだ穴山上等兵、忍術研究中の佐々木二等兵の四人だった・・・（goo映画より）
はい、タイトルこそ関連性は無くなってますが、内容は明らかに「独立愚連隊」 シリーズに
連なる作品です。
北支戦線。日本陸軍特殊任務隊隊長として中国人に成りすまし諜報活動をしている
白虎（佐藤允）は、八路軍に捕らえられた参謀関大尉（夏木陽介）の救出を命ぜられる。
敵陣深く入り込まなければならない危険な任務だったが、しかし白虎は上官暴行犯の
林一等兵（加山雄三）、食糧泥棒を撲殺した三好軍曹（中谷一郎）、その三好を仇と狙う
穴山上等兵（田中邦衛）、そして忍術かぶれの佐々木二等兵（砂塚秀雄）という一癖も
二癖もある問題兵ばかりで救出隊を組織、八路軍の本陣がある老頭へと向かう。
しかしその頃、白虎の長年のライバルである中国人ゲリラ組織隊長無双（中丸忠雄）もまた
身代金目当てに関大尉の身柄を狙っていた・・・ってなお話。
本作は一応加山雄三、佐藤允、夏木陽介のトリプル主演というフレコミになっており、
実際に物語序盤は加山雄三さん演じる林一等兵を中心に描かれていきますが、
しかし中盤以降の展開は完全に佐藤允さん演じる白虎が主役なんですよねー、
つまり実質的には佐藤允さん主演といった方がいい内容になってるワケですな。
んでもってストーリーの内容は前述のとおり「独立愚連隊シリーズ」からの流れを
踏襲してますねー。捕まったエリート士官を助け出すために、はみ出し者たちで
結成された救出隊が大活躍するお話であり、この辺救出する対象が変わっているだけで
ほぼ「独立愚連隊西へ」 と同じですね。
ただ・・・う～～ん、「～西へ」ほど面白く無かったなぁ。。。(-"-;A
キャストは今回もミッキー・カーチスさんや平田昭彦さんなどお馴染み“岡本組”の
メンバーが揃って出演しておりますし、前述のとおり実質的には佐藤允さんが主演なので
その点にも不満はありません。“笑い”的にも砂塚さんを中心に、回数は少ないものの
それなりに楽しませてくれたし、正直どこが悪かったって訊かれても答えに窮するんですが…
・・・う～ん、なぁんかねー、これまでの独立愚連隊シリーズのような爽快感や疾走感が
本作からは感じられなかったんですよねー。
で、恐らくその原因と思われるのが本作の「メッセージ性の強さ」。
いや、反戦・反権威といった主張そのものはこれまでの愚連隊シリーズにもあった事
なんですけどね、本作では特にそれが強く主張されてるんです。
これまでユーモアやセリフの中にさりげなく織り込まれていたその部分が露骨に
表現された事で逆に鼻につくようになり、結果としてテンポの良さや爽快感、豪快さを
損なってしまったように思いますねー。ダンディズムがウリの喜八監督だけに、
ここはもうちょっとサラッと描いて欲しかったなぁ。
あと本作の特徴として、黒澤監督の「隠し砦の三悪人」への意識を強く感じられる点が
挙げられます。
例えば白虎たち一行が救出作戦の途中で遭遇する「結婚式前夜のお祭り」は
そのまま「三悪人」の夜祭りを思い起こさせるし、クライマックスの白虎と無双の
一騎討ちは三船敏郎と藤田進のそれを、そして映画のラスト、藤田進さん演じる
白虎の上官正宗中尉の決断はそのまま「三悪人」で藤田さん自身が演じていた
田所兵衛のそれと見事に重なるんですよね。これはどう考えても偶然ではないでしょう、
ってかどちらも同じ東宝製作だけに、何匹目かのドジョウを狙ったんでしょうなぁ。。。
総評。
なるほど、愚連隊シリーズのＤＶＤは大抵のレンタル屋さんにあるのに対し、こちらはあまり
取り扱われてないのも納得できますねー、正直イマイチでした。
ってワケで興味のある方はドゾ。