インディアナ州のオハイオリバーでエサ用のミノーを2ダースほど難なく現地調達した私は、ソーガーが釣れた実績のあるポイントに移動した。

このポイントは底に流木やブロックなどがたくさん沈んでいると思われたので、捨てオモリ式の仕掛けで臨むことにした。はるか昔にスチールヘッドを狙っていた時におぼえた方法だ。

ホリデー小継の18 尺全長の道糸の末端にスイベルを結び、これに10 ポンドのラインを15 センチほど結んで末端近くに1/8 オンスのガン玉をかませ、スイベルの上にはもう一個スイベルを通し、これに10 ポンドのハリスを 20 センチほど結び、ハリは丸せいごの 13 号を使った。ハリスが太いのはソーガーの鋭い歯で切られないためだった。そしてこの遊動スイベルの少し上に小さなガン玉をかませて、あまりベイトフィッシュが表層へ行かないようにした。

これにミノーを鼻がけあるいは背がけにして垂直にポイントの底へ落とし込み、ラインを張ってアタリを待った。

最初に探った手前のスポットは意外と浅く、ブロックの脇などを攻めたが無反応。そこで奥のスポットに入れると、クンという手ごたえ。アワセると乗ったがバレてしまった。

その後もう1回バラシの後にかかった魚は猛烈な引きで走り回った。ソーガーがこんなに引くはずもなく、ドラムと思われた。あやうく竿が伸されそうになり、なんとか腰を落として耐えていたが、結局バレた。

一つ北側のスポットに移動するとようやくこの日の初物が釣れたが、やはりバス。スポッティドバスの典型的なやつだった。

そしてその数分後、何かがアタッたような感覚があったがアワセずに、穂先を見ていると少し曲がりが深くなったのでそこでアワセを入れてみたところ、魚の手ごたえ。これも手に負えるサイズだった。

やはりまたバスかなと思いながら水面に上げてくると、予期していなかった赤茶色の魚体が見えた。「この色は!」と思わず口に出た。ソーガーだ! こんなに高い確率で来るとは思わなかった。

水面で少し暴れた後は、もう疲れたようで、水面を滑ってこっちへ寄せられたので、ランディングネットを構えた。それはなんとももどかしい距離だった。バレないでくれと祈りながら、来い、来いと言っていた。

そしてネットに魚が入った瞬間、「やったー!」を何度も何度も叫んでいた。ついにソーガーを釣った!!


初めて釣ったソーガー、30 センチ。感無量。


第一背びれの一本の棘が枝分かれしていたが棘間膜のマークはくっきり独立していてウォールアイの血が混じっていない純粋なソーガーだった。ボディのマークもくっきりクールだった。




二カ国、七州、足掛け八年かけてようやく手に取ってその見事な模様をとくと見ることができた。



ソーガーの特徴の一つは、このように第一背びれの棘間膜に玉状のスポットがあること。途中一本の棘が枝分かれしているが、これは普通は見られない。



ウォールアイと同様に鋭い歯を持っているので、バス持ちはできない。またこれもウォールアイと同様に目の輝板が発達しているので、フラッシュ撮影すると白く写る。



初ソーガーの俯瞰。これを見てようやく、体側のバンドが背中でどうなっているのかがわかった。



初ソーガーの腹側



斜め前から



ソーガーのハビタット


スズキ目ペルカ科ザンダー属。ウォールアイと同属だが、ウォールアイと違って尻びれや尾びれのティップに白が入っておらず、反対に第一背びれには暗色の玉状のスポットが散りばめられている。また体側には独特の鞍状の焦げ茶色のバンド模様がある。ウォールアイと同様に目の輝板が発達しているので、夜間や濁った水の中でも餌を探すことができる。最大全長 76 センチと、107 センチまで成長するウォールアイに比べて小型のため、ウォールアイに比べると人気は劣る。カナダではケベック州からアルバータ州にかけて分布し、アメリカではアラバマ州北部やルイジアナ州にかけてのミシシッピー川水系に分布しているが、学名に「カナダの」という意味があるのに反してアメリカでの分布の方が広い。あらゆるサイズの河川の砂礫底の平瀬、プール、およびバックウォーターや、浅く濁った湖に棲み、あまり深い場所にはいない。ウォールアイよりも濁りに強い。無脊椎動物および脊椎動物食性。

ソーガーはこのブログの中でも実に16 本の記事の中に出て来るほど昔から機会がある度に狙っていた魚だった。カナダでは 2006 年に西海岸に引っ越してからアルバータ州で狙い始め、マニトバ州、オンタリオ州でも探したが釣れなかった。そこでアメリカのミネソタ州、ウィスコンシン州、テネシー州、インディアナ州で挑んだが叶わずにいた。その学名は Sander canadensis なので、カナダで釣りたかったが、分布と情報のより多いアメリカで最後は仕留めることとなったのはむしろ自然なことだった。