検疫と隔離 | クラスタ民主主義システム研究室

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☆学習とディベート☆ ☆ネットワークデモクラシーを夢みて☆ 
☆教育ディベートを推進しよう☆ ☆「complex system」で思考してみよう☆「ネットワークデモクラシー(Demoex)研究室」からタイトル改題しました。 

 

日本では、いまだに検査を増やすかどうかで混乱している。諸外国では大規模検査の必要性が議論の対象になることはないのだが…。

 

日本で検査の議論が始まると、やれ「偽陽性が出る」だの「検査すると医療現場が崩壊する」だの「検査前確率(有病率)を考えろ」だの言い始めるのだが、そんなことって公衆衛生上では問題にならない。だから、諸外国では当然のように大規模検査ができる体制を早期に構築する。

 

この辺りの議論している様子を見ていると、日本人は議論下手だなぁとつくづく思う。その原因は日本ではディベート教育が行われていないからだろう。

 

日本では、検査の議論をしているのに、すぐに発言者の誹謗中傷に移行してしまいます。きっと国民性なんだろう。

 

その詳細は次の記事を読んでもらうとわかります。

https://ameblo.jp/u-sa-kichi/entry-12279368986.html

 

大規模検査は、普通、市民全員に行ったり無差別にやったりすることはありません。なぜなら、全員検査ではその集団の有病率が小さすぎるからです。どの国でも普通は患者さんの症状(発熱、だるさ、嗅覚障害)に基づいて検査します。つまり、有病者に検査するから有病率が高い集団に検査することになりますし、医師が有病者を診断してCOVID-19以外の疾患を除外して検査すれば、さらに有病率が高くなります。にもかかわらず、大規模検査は不要と考える人の頭の中には「無差別全員検査」というイメージしかなく「有病率が低くてダメ」という結論にしか至りません。

 

こういうパターンでは頭の中でわざわざ「有病率が極めて低い集団」を想定して「大規模検査は不要」という結論を無理やり導き出している…

 

そんな誤謬を導き出してしまっている記事は次の読んでもらえばわかります。

「PCR検査は必要か?」

https://www.yushoukai.org/blog/pcr?fbclid=IwAR0OMgpJ8cYbkf57MEkqJ0ZvKBDULGjQ2S_CNvgZMKeTRIvwEdC6lywXJO4

 

つまり症状に基づいて正しく診断してから検査している日本の現状なら大規模な検査体制は機能するし、PCR検査の感度が70%でも特異度は高いので、偽陽性が問題になることは少ないのです。

 

だから、日本でも偽陽性を疑って何回も検査することはありませんし、現実的に偽陽性の可能性は極めて低いため医療現場でPCR検査が陽性になれば直ちに新型コロナウイルスに感染しているものとして治療が始まります。偽陽性を問題視する必要性はありません。(感度が70%なので、陰性だった結果が再検査して陽性になることは良くありますが)

 

大規模検査が不要と論じる人々は、全員への大規模検査と感染爆発した時のための大規模検査を混同しているんですよね…。というか、いちど大規模検査は不要という結論に至ってしまっているため脳が無意識に混同し過去の結論を正当化しているのでしょう。

 

いま大規模検査体制が必要なのは、日本国内では現実に有病者全員を検査できていないからですし、法医学者が司法解剖した人々でPCR検査ができていないからですし、院内感染者や濃厚接触者の検査が終了するまで数日から一週間を要するほど検査が不足しているからです。

 

なのに「全員検査したら偽陽性が増える」という説明で問題をすり替えてしまっているため、日本での検査体制の充実が遅れてしまっています。そういう実情を良く理解している医師たち、たとえば山中教授や本庶教授や島田教授は、居ても立っても居られなくて検査体制の充実を訴えているわけです。

 

もう一つ誤った結論を導き出してしまっている公衆衛生学の教授がいます。上記の「PCR検査は必要か?」という記事にも取り上げられているのですが、それは感染者一人あたりの検査数の問題です。

 

前述の「PCR検査は必要か?」という記事には次のように書かれています。

以下、転載

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感染者・死亡者あたりの検査実施件数においては、韓国よりは少ないですが、欧米諸国よりは明らかに多いことがわかります。そして日本人がベンチマークしたがるドイツやアメリカに比べても十分な検査が実施されていることがわかります。

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その判断材料となっているグラフを提示します。

 

https://www.facebook.com/suzuki.sadao/posts/3022576791163488

 

このグラフで問題なのは、片対数グラフが使われていることです。日本の検査は「韓国よりは少ない」が「ドイツより多い」という印象を受けますが、本当にそうでしょうか。どうしてか?というと、実は韓国は日本の5倍の検査をしているからです。そこで、他の国々の一人あたりのグラフを見てみましょう。

 

 

このように、感染を制御できている東アジア諸国では、日本の10倍から100倍以上の検査が行われていることがわかります。日本では、感染爆発して流行を制御できていない国々と同程度の検査しかできていないのです。しかも、最近になって検査数が増え続けているドイツでは、今は日本の二倍近い検査が行われています。

 

このグラフから導き出される結論は、感染を制御できている国々では、日本の数十倍から数百倍の大規模検査を行っているということです。

 

これは、よく考えれば当然です。

 

できるだけ早く多くの感染者を見つけ出して隔離しなければ流行を収束することはできませんから、疑いがある人々を出来るだけ早くたくさん検査する…

 

1000人の感染者が出たら、一日100件で10日間検査するより、一日1000件できた方が良い。感染爆発が起きた時のために地域で一日千件とか五千件とか検査できる体制は必須なのです。

 

重症者だけ検査して軽症者を泳がしていれば流行は収束し難いですし、検査や隔離まで数日から一週間を要しているとその間に流行が拡大します。

 

したがって、たくさん検査して陽性率が数%を超えないくらいの検査体制を維持しなければ、感染爆発した時に収束できないことがわかります。

 

今のように医師が必要と診断して検査するようなシステムでも、地域で第二波で感染爆発し、地域の感染者が一日1000人になり、検査の陽性率が5%を維持するとして、一日2万件の大規模検査ができる体制が必要になります。もし、一日5000人の感染者が出るとしたら一日10万件の検査体制が必要になるでしょう。

 

おそらく、首都圏で2~5万件の検査体制が必要ですし、全国では10~25万件の大規模検査体制の準備が必要だと私は考えています。今日からPCR検査だけではなく抗原迅速検査もできるようになりましたから、もう大規模検査を否定することは止めて、早く検査体制の整備を進めて頂きたいです。

 

流行を収束させるためには、検査して検疫して隔離する…

 

感染者を隔離できないと流行が繰り返します。