個体(共同体)の階層構造 | クラスタ民主主義システム研究室

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先日、NHKスペシャルを見ました。


ヒューマン なぜ人間になれたのか 第2集 グレートジャーニーの果てに

http://www.nhk.or.jp/special/onair/120129.html


この中で霊長類が共同体を営み社会生活を送る時の人数について解説していました。ゴリラでは35人、チンパンジーでは65人程度まで集団認識できるそうです。大脳新皮質の大きさから推定すると、人間では153人の集団認識と言われているとのこと。


つまり、人間が共同体を営むには、互いに集団認識できる150人程度が限界なのでしょう。この150人を越えて集まると、共同体として機能することは難しいと思われます。


人間が、この150人という人数を越えて集合し共同体を運営するためには、新しいルールが必要になります。集団で生活するためにはルールが大切ですし、ルールや監視の目がなければ、150人前後以上の集団は維持できないわけです。このため、大きな集団を維持するには、道徳や法律や罰が必要となりますし、集団のシンボルや旗印といった共感や信仰が必要となります。


こうした罰や共感が上手く機能するように、普段は叩かれる映像を見ると島皮質が反応して不快に感じますが、叩く映像は罰を与えていると人に意識させると側坐核が反応し肯定的で快感すら感じるように人間の脳はできています。

また、人間は、共同体が大きければ大きいほど有利になります。共同体が大きければ、多くの叡智が集まり良いアイデアがでますし、お互いの知識の交換が行われて共同体が発展していきます。


以上のようなことをNHKスペシャルでは解説していました。


では、こうした人間の共同体を電子ネットワーク上で形成した場合を考えてみましょう。


やはり、ブログや掲示板に集まる人々の数には限界があると思います。集まった集団を相互に認識し判別できる数に限界がありますから、参加人数が多くなり過ぎると信頼関係を築くことが困難となり、争いが発生しやすくなります。何のシステム構築も無ければ、平均で150人程度までが限界と考えた方が良さそうです。


参加者の道徳観が高かったり、電子ネットワーク上のルール(法律)が確立されていたり、を与えるシステムがあったりすれば、電子ネットワーク上の共同体の参加人数を増やすことができ、一つの共同体に数百人程度まで集まることは可能かもしれません。参加者が増えれば、数の力も生まれ、多くの叡智が集まり、共同体の能力や影響力を高める事ができるでしょう。


電子ネットワークをデモクラシーに活用するためには、階層構造を形成する必要があります。


電子ネットワーク上の参加者を人間が集団認識できる100~500人程度に抑え、対話を重ねて相互信頼を育むべきでしょう。匿名と実名の其々に一長一短がありますから、上手く使い分けたいものです。


個人が数百人集まって共同体を形成し、こうしてできた基本共同体を個体として、個体(基本共同体)が集まる上位共同体を形成します。さらに、この上位共同体を個体として、個体(上位共同体)が集まる最上位共同体を形成してはどうでしょう。


こうした基本となる百人単位の電子ネットワーク上の共同体(基本共同体)で生まれる意見を集約し、さらに一つ上の共同体を形成します。つまり、基本共同体から上位の共同体に代表を送り再び百人単位の上位共同体を創ります。これで1万人前後の意見を集約する上位共同体を創ることができます。さらに、上位共同体から代表を出した最上位共同体を10~50人前後で形成すれば、電子ネットワーク上に10万から50万人規模の共同体を創れるでしょう。


個人が自由に選択できるように数百から数千程度の基本共同体を自律的に自然発生させ、さらに自由に選択できる上位共同体を数十から数百程度を自然発生させることができれば、自然淘汰により優性選択できますから、様々な意見を最上位共同体に集約できる可能性が生まれます。


混沌の中から自由度が高い状態で自然発生的に共同体を生み出すシステムが電子ネットワーク上では理想的だと思います。参加者が自律的に自由に共同体を生み出すことができる政治やデモクラシーに特化したSNSシステムを開発して欲しいものです。


こうしたデモクラシーに特化したSNSシステムが上手く機能するために必要となるルール(法律)と罰則を設計できれば、秩序の下に多人数が参加できる階層構造を持った共同体が生まれて、現実社会に影響力を与えるようになるだろうと夢見ています。