正しいマスクの使い方 | クラスタ民主主義システム研究室

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日本人はマスクが大好きですが、日本ではマスクの効用について正しい情報が提供されているとは言えません。


日本ではインフルエンザの季節や花粉症の季節にマスクをするのが常識ですが、海外では常識ではないのです。


インフルエンザが流行していようと大気中に花粉が漂っていようと、海外ではマスクを着用することはありません。


海外では社会で正しく議論が行われて、マスクの効用が正しく判断されているから、人々はマスクを着けません。


一般に市販されている普通のマスクでは、ウィルスや花粉を効率的に防ぐことは出来ないので、海外では使用する習慣がない…


マスクは、フィルターの性能と顔への密着度で効果が違ってきます。


日本で一般に市販されている顔とマスクの間に隙間ができるタイプでは、ウィルスや花粉をフィルタリングする効果は殆ど期待できません。自分の呼気で乾燥を防ぐ効果と、咳をした時に周囲に飛び散らないようにする「咳エチケット」の効果があるだけです。


マスクに使う布地は、目が粗いと呼吸が楽で、目が細かいと呼吸が苦しくなります。呼吸が苦しい程度まで布地の目が細かい場合にだけ、粉塵や花粉やウィルスといった異物をフィルタリングする性能を発揮します。


つまり、呼吸が楽な状態では、フィルタリングする性能が低いか、周囲から空気が入ってきている状態なので、花粉やウィルスをろ過することは殆ど期待できないと考えるべきです。


マスクを顔に密着させて呼吸が苦しく感じる程度の状態で使わないと、花粉やウィルスや放射能を含む粉塵を取り除くことはできないのです。


原発事故の後、警戒区域に入る住民に対して当初は防塵マスクを配布していましたが、息苦しいために住民はマスクをずらして着用していました。そして、呼吸が苦しいからといって次第に市販の風邪用や花粉用のマスクを着用して警戒区域に入っていくようになりました。


しかし、楽に呼吸ができるマスクで警戒区域に入ってはいけなかったのです。政府は正しく指導することを怠ったと言わざるをえません。


規格品の防塵マスクや医療用マスクの中で性能が良いマスクは、呼吸が出来てフィルター性能もあるマスクです。


ウィルス対策用の規格品マスクでは、N95とかN99といった表示が用いられていて、N95よりN99の方が性能が良いわけですが、理論的に目が細かく性能が良いほど呼吸が苦しくなります。つまり、呼吸抵抗が高いわけです。



N99「相当」とかN99「準拠」といった規格外のマスクは、マスクの布地はN99同等のフィルター性能を有しているかもしれませんが、実際に使えるのか定かではありません。フィルター性能があっても呼吸抵抗が高すぎると、実際の呼吸はマスクの隙間からしているだけで、フィルタリング効果は殆どない場合も多いと考えるべきでしょう。


ビニール製で全く空気もウィルスも粉塵も通過させないマスクがあったとしたら、完璧にウィルスを通過させないマスクですが実用性は無いのと同じことで、フィルター性能が高くても呼吸抵抗が高いと実用性はありません。ですから、マスクの布地のフィルター性能だけではマスクの性能を判断できないのです。


日本の製品では、少なくともユニチャームの立体マスクは正しいフィルター性能を有しています。そして、呼吸抵抗も少なく実用に耐えると言えます。


ただし、マスク周囲を密着させて実際に正しく使ってもらえば判りますが、使っているうちに次第に呼吸が苦しくなっていきます。そのうち、マスクが呼吸に合わせて膨らんだり凹んだりするようになります。


これは、マスクの網目が大気中のチリや呼吸による水分で目詰まりするために、次第に呼吸抵抗が増してきているからです。マスクは一定期間使うと、マスクのフィルター性能が劣化して行くことを理解しておく必要があり、しばらく使って呼吸抵抗が上ったら廃棄して新しいマスクに交換するべきです。


また、使い終わったマスクは、その表面に粉塵やウィルスや放射性物質を溜め込んでいます。粉塵や危険なものを集塵しているわけですから、マスクの表面を触った手でオニギリを食べたりしてはいけません。使い終わったマスクは危険だと認識して、何日も同じマスクを使ったりしないことが大切です。


花粉症なら鼻水が出てクシャミするだけですが、新型インフルエンザや原発事故では生命に影響します。


一般的なマスクと防塵マスクや医療用マスクの違いについて正しく理解し、マスクを正しく選ぶ知識を持って準備しておくことも必要だと思います。


追記:24年1月15日


医療で感染防護目的でマスクを使う場合には、二通りの使い方の種類があります。


一つはサージカルマスクです。主な目的は、自分のツバや咳などが飛び散らないためと細菌や血液など飛んで来た時に自分の鼻や口を守るためです。空気中に漂う飛沫を吸い込まない効果もありますが限定的であり、新型インフルエンザや結核からの防護に使う場合はN95マスクが手元に無い場合などの緊急時にやむを得ず使用するだけです。


こうしたタイプのマスクは咳エチケット用として一般の人々も使用可能です。自分がインフルエンザ等に罹患した時に家族に感染させないためや、町中で手摺りなどに触った手で無意識のうちに口や鼻を触って起こる接触感染を防ぐ効果が期待できます。


もう一つは呼吸用保護具(レスピレータ)です。N95やN99規格といった微粒子用マスクで、顔に密着させて使わなければ効果は期待できません。結核感染防護、SARSや新型インフルエンザといった致死的ウィルスの流行の際に医療関係者が自らの体を守るために使います。N95マスクを使えば安全という訳ではなく、人それぞれの顔に合った製品を選ぶ必要があり、自分に合うかどうかテスト(フィットテスト)して、自分の顔の形に合った製品を選択して使用しなければなりません。日本の防塵マスクでは、DS2区分がN95マスクに相当します。



一般の人々でも、新型インフルエンザに感染してしまうと普通の状態より致死率が高まる妊婦や免疫力が低下した人々などが、我が子が感染してしまい看病しなければならない場合などには、このレスピレータマスクの装着が推奨されています。また、アスベスト除去作業や高濃度に放射能汚染された環境ではDS2やN95マスクを正しく装着する必要があります。ちなみに、菅首相や枝野官房長官が警戒区域に立ち入る際には必ずレスピレータを装着していました。しかも、換気弁付きの高級品を使っていました。。。


いつの日か原発事故が再発して高濃度の放射能汚染が再び発生した場合に備えて、サージカルマスクとレスピレータマスクの違いと使い分け方は知っておくべきだと思います。