口蹄疫で種牛を守る方法 | クラスタ民主主義システム研究室

クラスタ民主主義システム研究室

☆学習とディベート☆ ☆ネットワークデモクラシーを夢みて☆ 
☆教育ディベートを推進しよう☆ ☆「complex system」で思考してみよう☆「ネットワークデモクラシー(Demoex)研究室」からタイトル改題しました。 

宮崎県が誇る肉牛の種牛はエース級の種牛7頭とその他の種牛49頭でした。

すでに、その他の種牛49頭とエース級の2頭が殺処分となっています。残りは5頭


いま、5頭は分散して飼育されています。

2頭と3頭が別棟に別れて飼育されているわけです・・・。

たぶん、何処かの島で飼育されているのでしょうけど、私は詳細は知りません。


ここで言えることは、7頭が同時に移動されて、そのうちの2頭に感染が判明したのですから、他の5頭も感染の危険に曝されているということです。その島に感染した牛がいないのであれば安全性が高いでしょうが、すでに感染していた2頭と同時に運ばれてきたのですから、やはり、感染の危険は高いでしょう。


しかし、ここで考えなければなりません。


残っている5頭を、もっと分散して飼育するべきではないのか。

エース級の種牛は、本当に正しい方法で外界から隔離されて飼育されているのだろうか。

そして、本当に種牛を残したいのであれば、感染したとしても殺処分する必要がない方法があることを。


隔離には、ウィルスに感染しないために隔離する場合と、ウィルスを外に出さないために隔離する場合の二つがあります。人で例えるならば、白血病で骨髄移植した後の抵抗力が弱い間、外部からの細菌感染を起こさないために隔離する無菌室と、新型インフルエンザに感染した患者を隔離する隔離病室との違いです。


このように、感染した生物や危険なウィルスを外界から隔離する施設が隔離施設です。人間の場合では、結核患者を隔離する結核隔離病棟も有名です。身近では、水痘や新型インフルエンザの場合に、普通の待合室ではなく別室で待つための部屋も、簡単な隔離施設と言えるでしょう。


もっと本格的な施設としては感染症研究施設があります。危険な病原体を実験するための施設で、P1~P4というレベルがあり、外にウィルスを出すことなく感染した動物を飼育し実験することができるように設計されています。このように、入室、退室の際に完全に無菌状態でき、食事や下水ばかりでなく、空気すらも無菌状態で空調できるような施設を用意すれば、口蹄疫に感染した種牛でも飼育を続けることが出来ます


宮崎県の東国原知事も、国の山田農水省副大臣も、十分な知識も無く、種牛を殺さない、いや殺さなければならないと不毛の議論を続けています。本当に種牛を守りたいのであれば、高機能な隔離施設を作ってウィルスが外にでないようにして飼育すれば良いと思います。


豚の飼育では、無菌室で飼育してあるブランド豚がありますから、家畜の飼育用のそうした感染隔離施設はあるでしょうし、施設の内と外で細菌やウィルスをシャットアウトできる施設の設計ノウハウは日本にあるはずです。


口蹄疫に感染しても成牛は死亡するわけではありませし、完治すればウィルスは陰性になるはずです。ただ、事前にワクチン接種を受けた後で口蹄疫ウィルスに感染すると数年の間は症状が出ないままウィルスを排出するキャリアになるという話もあるようですが・・・、こうした場合でも隔離施設内にいれば危険はありません。


口蹄疫に感染しても、種牛は精子を提供するのが仕事です。口蹄疫ウィルスが精子に混入するのであれば別ですが、血液中に存在するウィルスでなければ、大丈夫のはずです。仮に発病中は精子の中にウィルスがいたとしても、治ってからなら精子は使えるはずです。


種牛を守りたいのであれば、感染予防の専門家の指導の下に、正しい感染予防対策を徹底した上で、一頭ずつ隔離して飼育するべきですし、本当に種牛を守りたいのであれば、適切なウィルス除去機能がある隔離施設を準備して感染後も飼育できるように準備するべきです。


ただ、これまでの宮崎県の対応を見ていると、正しい感染予防が出来るのか?、ウィルス除去機能を完備した隔離施設を準備できるのか?、甚だ疑問です。宮崎県の農家の皆さん、宮崎県の畜産関係者の皆さん、嘆いているだけでなく、感染予防策や現状の打開策を考えましょう


ウサギ