医学的に口蹄疫を語る | クラスタ民主主義システム研究室

クラスタ民主主義システム研究室

☆学習とディベート☆ ☆ネットワークデモクラシーを夢みて☆ 
☆教育ディベートを推進しよう☆ ☆「complex system」で思考してみよう☆「ネットワークデモクラシー(Demoex)研究室」からタイトル改題しました。 

久しぶりに感染症について書いてみます。昔は新型インフルエンザを扱っていましたので・・・


私は、ただの町医者ですから、全てが正しい意見ではありません。一般的な感染症の話としてお読みください。ただし、何の知識もない国会議員の話より正鵠を射ているつもりです。


ウィルス感染症という点では、新型インフルエンザも口蹄疫も同様です。したがって、一般的な感染症予防対策を遵守していれば、予防したり感染の拡大を防ぐことが可能です。こうした感染予防対策からみれば、今、民主党と自民党、国会議員、国と県とが行っている議論は、相手を批判することが目的なだけで、口蹄疫の感染予防について議論しているわけではありません。


そこで、感染症対策という観点から、今回の口蹄疫について論じてみます。


ウィルスの感染を予防するためには、ウィルスを浴びない、ウィルスを消毒する、ウィルスに対する免疫をつける、以上の三点が重要です。つまり、隔離、消毒、ワクチンです。この中で一番重要なことは隔離です。ウィルスから離れること、外界との接触を避けることが最重要となります。


口蹄疫ウィルスは、タイヤや靴底などに付着して感染を広げます。同様に、移動する人の手や衣服や鼻の粘膜などにも付着して、感染を広げることが考えれます。また、犬や猫の足の裏、スズメなどの野鳥の足の裏に付着して感染が広がる可能性もあります。


したがって、感染予防で一番大切なことは家畜舎にウィルスを持ち込まないことです


農家の人々が家畜舎に入るときには、タイヤや足の裏の消毒し、手洗いを徹底し、自分の鼻をマスクで覆い、衣服を着替えて入ることも重要でしょう。こういう基本的な感染予防知識を事前に知らなかったため、各農場は、口蹄疫ウィルスの被害を受けました。民主党が悪いのではありません。口蹄疫ウィルスが見つかった時に、迅速に対策を徹底しなかった県や国の行政責任であり、事前に対策を知らなかった農家の責任でしょう。


獣医師など獣医療を行う人々も同様の注意が必要です。新型インフルエンザが流行する場所が病院だったように、医療関係者を介してウィルスが広がることが多いのは、どんな感染症でも同様です。おそらく、当初は獣医師も十分な感染予防対策を行っていなかったはずです。


次は、移動手段です。人でも、バスや列車で感染が広がるように、牛や豚が共用する家畜移動車両は感染場所になりやすいです。移動制限と、徹底した消毒が必要です。消毒は、ビルコンである必要はないはずです。消石灰を正しく路上に撒き、家畜が触れる場所を漏れなく消毒することが最重要です。全ては、ビルコン不足が原因と短絡する論理は成り立ちません。


種牛の多くが殺処分になったとの報道が流れていますが、これも感染予防知識不足が原因です。何度も言いますが、一番大切な感染予防は隔離です。種牛を一ヵ所に集めておくから、種牛に一気に感染が広がるわけです。宮崎県のエース級種牛を感染地域から外部に移動させる時に、7頭同時に移動させたとの報道があります。

これは論外の話で、本来であれば、一頭ずつ移動し、別々の場所に運び、感染が一気に拡がらないように隔離すべきでした。ビルコン、ビルコンと騒ぐ前に、国会議員は行政に注意し指示すべき事があったであろうと思います。


最後は、今回の最大の問題点です。


人間が新型インフルエンザに感染した場合には病室に隔離されます。同様に、はしかや水疱瘡に感染すると学校に登校禁止となり隔離されます。


では、家畜はというと、家畜は殺処分され穴に埋められて隔離されます。したがって、今回の口蹄疫における感染予防対策の中で最重要な方法は、感染が判明したら早急に穴に埋めて隔離することです。


しかし、政治家は、穴埋めの重要性を知らず、消毒液の話しかしません。現場では、感染した家畜の殺処分と穴埋めが遅れているはずです。今回の口蹄疫は何万頭と発生していますから、埋める場所の確保ができないからです。こうして、迅速に家畜を埋めることができず、口蹄疫ウィルスは感染拡大を続けることになります。


いま、政治家が行うべきことは、消毒液の話ではありません。国会議員が行うべきことは、政治的に家畜の穴埋めの場所を確保し、迅速に家畜の殺処分と穴埋めを行い、日本の地上から口蹄疫ウィルスを一掃することです。




うさきちのネットワークデモクラシー学習帳-100526_102435.jpg

ペタしてね