軍師官兵衛:第33回 傷だらけの魂 第3幕 | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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大坂城・一室
道薫の有岡話し。部屋には秀吉茶々官兵衛右近、利休
三成、清正、正則らが同席している。
信長のやり方が許せなくなり謀叛に至ったこと、
官兵衛を一年近く幽閉して、その為に足が悪くなられたと語る道薫

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話しが官兵衛のことになった所で、茶々が声をかける。
>恨んでおるか?(茶々)
>・・・いえ。(官兵衛)

◆◆官兵衛の台詞と表情◆◆
茶々の問いかけに対して、岡田官兵衛はどう答えるのか?
ここは、まず最初の見どころでしたが、
道薫を見つめる刺すような視線に加えて、
「・・・いえ」と答えるまでのタメの長いこと長いこと。w

この悪趣味な座興の見届け役を引き受け、
秀吉や茶々の手前、渋々(?)、同席しているものの、
当然、気分が良いわけもなく・・・。

また、それでもなお、あえて有岡の話しをする
道薫の真意が分からぬ官兵衛の複雑な心境が、
あの「タメ」に込められているんでしょうか?



信長への謀叛。当然、勝てる自信はあったものの、
そこにいる高山右近の裏切りによって、
我が謀に狂いが生じたのです~と口にする道薫。

部屋の中に微妙な空気が流れた時、
利休秀吉が会を止めようとするが、茶々はそれを許さず、

妻や家臣を見捨て、なにゆえ一人で生きながらえているのか?
その理由を知りたいと問う。



死にたくとも死ねない、生き恥をさらして生きていくしかない、
自分は乱世が生んだ「化け物」だと説いた道薫は、茶々に対し、

父母を殺されながら、なにゆえ仇のもとで生きながらえているのか?
と問う。この言葉に驚愕する秀吉
「控えよ!」と、怒りをあらわにする三成
しかし、道薫の言葉は、更に続き・・・、

あなた様も、私と同じ化け物でございます。
ここには、化け物しかおらぬ!

立ち上がって道薫を威嚇する秀吉。しかし効き目は無い。そればかりか、

天下惣無事など絵空事、誰が天下を取ろうと、
この乱世が終わることなど無い
~と言い放つ道薫

秀吉は刀を抜いて近寄るが、動じるどころか、
逆に討ちやすい様にと首を差し出す道薫。



秀吉が、一歩、前に踏み出し、
道薫の首を落とそうと刀を振り上げた瞬間、
部屋中に響く大声で笑いだす官兵衛

>願いがかないましたな、道薫殿!(官兵衛)

死ぬに死ねない道薫が、命を断つ方法として考えた悪口雑言。
彼の策を見破り、秀吉に説いて聞かせる官兵衛



生き恥をさらしてでも生き続ける事が、この男の報い。
殺してはならぬ
と、口にする茶々。言い換えれば~
生き恥をさらしてでも生き続ける事が、この私の報い。
絶対に生きやる
・・ともなるわけで。意味深な台詞ですね。w



この様な男の血で、お城を汚してはなりませぬという、
冷静な千利休の忠告に、何とか思い止まる秀吉
秀吉は道薫の押し込めを命じ、その場を立ち去る。

◆◆茶々の台詞と表情◆◆
織田信長に反旗をひるがえした浅井長政を父に持つ茶々
そして、浅井の居城・小谷城を攻め滅ぼしたのが秀吉
母・お市と共に救い出された茶々ですが、
浅井の父は、頭蓋骨に金細工を施され、正月用の杯にされた話しを、
以前、黒田の家臣達が話してましたね。

時はめぐり、清洲会議の後、柴田勝家が義理の父となったものの、
彼の居城・北庄城を落城させたのも秀吉
救出された三姉妹は、裏切り者の娘・敵将の娘という身ながら、
親の仇(=秀吉)の住む大坂城に身を寄せる事になるわけですが・・・。

こんな環境下にあって、毎日、明るく楽しく過ごせるわけもなく、
鬱屈とした毎日を過ごしていた時、父・浅井長政同様、信長を裏切り、
多くの家臣や肉親を失ったにも関わらず、
秀吉に飼われ、生きながらえている道薫に出会う茶々。

このシーンの道薫に対する茶々の問いとは?

本来なら舌を噛み切って死にたいところだが、それも出来ず、
道薫同様、生き恥をさらしながら生きている、
何故、生きていられるのか?と、
自分自身の問いの答えを、道薫の口から聞きたいんでしょうね。
まあ、ここまでは、おいらも予想してました。w



この道薫との悪趣味問答会の最中、
「化け物呼ばわり」された事にショックを受け、
一瞬、表情を曇らせ、うつむきながら斜め下に視線を落とす茶々。

その後、秀吉が刀を抜いて、手討ちにしようとするわけですが、
いやいや、ここで殺すなんて、私が許さない。
私を「化け物」呼ばわりした仕返しに、惨めにも生き続けさせてやる~と、

そんな、茶々独特のサディスティックな仕打ち。
これだけなら、まあ、単なる「嫌な女」って事なんですが、

後ろ姿から、一転、カメラが正面に回り込むと、
彼女は、ヒステリックに怒るどころか、
その目の奥に、『狂気』が宿り始めているかの様な展開。



この場面、もっと単純明快に「ギャーギャー」わめきながら、
そこら辺の物を投げつけたりするのかと思ってたんですが、
静かに語る茶々は、妖しくもあり、こっちの方が余程、怖いかな。

道薫の言葉が、茶々を覚醒させてしまったんでしょうかね。
結局、この城で生きていこうと決心する、その引金をひいたのは、
秀吉の贈り物でも、三成の諫言でもなく、道薫だった・・と?

な~んか、色々な事を想像させる、
思わせぶりなシーンになっていたかと思います。

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