軍師官兵衛:第33回 傷だらけの魂 第4幕 | ♪ DEAR MY LIFE ♪

♪ DEAR MY LIFE ♪

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

大坂城下・南蛮寺
何故、道薫を救ったのか?を問う右近
彼には生きて欲しかった、
ここで死なせてはならぬと思っただけと告げる官兵衛



貴方は、あの方の魂を救おうとなさったのです。
生きてこそ、いつかあの渇ききった心が
潤いを取り戻す日が来るだろうと説く右近



官兵衛が何を求めてここに来ているのか?
門はいつでも開いていることを告げる右近。

※なぜ救ったのか?(右近の問い)
乱世を終わらせる為、秀吉の天下の為~と言いながら、
それが己の欲だろうと、上司の欲だろうと、
人殺しを職業にしている事実は変わらない。

道薫は、たまたま若い頃からの友人であり、同僚でもあり、
信長を裏切った為に敵味方に分かれてしまった人物ですが、
官兵衛が、これまで『敵』として殺してきた人間にも、
道薫同様、それぞれ人生があったはず・・なわけで。

官兵衛自身、自分も「化け物」だという事に気付いている、
いや、明確に感じ始めているんでしょう。
だからこそ、この南蛮寺に足が向いてしまうんでしょうね。

天満・黒田屋敷
庭で又兵衛が絵を書いている姿が目に入り、
官兵衛は、彼の才気あふれる筆運びに心を奪われる。
又兵衛の描いた作品を手に取った官兵衛は、
その中の一つの絵に目をとめる。

4

※見届け役
誰かに殺されたがっている道薫の見届け役を引き受け、
大坂城では道薫の「命」を救ってみたものの、
右近が口にしていた「魂」まで救えたわけではない。

自身を「化け物」と称し、周囲の人間に心を閉ざし、
生きる希望を失っている道薫の姿は、
有岡の土牢に閉じ込められていた自分と似てはいないか。

その自分が、「だしの献身」「キリシタンの歌声」「藤の花」によって、
生きて姫路に戻ると心に決めた、あの時のように、
道薫にも、なにかキッカケがあれば・・・。

大坂城・一室
大坂からの所払いを命じられた道薫に、
彼の息子・又兵衛を会わせる官兵衛



父・道薫の姿を描いた絵を手渡す又兵衛
その絵に描かれた人物が、自分だと理解する道薫
笑っているのか、泣いているのか、悩んでいる様にも見える絵。



その見事さに涙を流し、又兵衛を静かに抱き寄せた道薫は、
泣きながら、今は亡き妻・だしに詫びる。



※化け物から人へ
秀吉や茶々を前にしても、あれほど無表情だった道薫
以前、又兵衛と対面した時は、目を合わせる事も出来なかった彼が、
恐る恐る又兵衛を抱き寄せ、涙しながら、だしに詫びるシーン。

心の扉をこじ開けたのは、やはり又兵衛の「絵」だったようで。
道薫が「人」に戻った、この瞬間。いいシーンでした。(*v.v)。



別れの日
道薫の為、堺で茶の湯三昧の日々を過ごせるように、
庵を用意した利休へ礼を述べる道薫

>官兵衛殿、いや、官兵衛!わしはもう一度、生きてみせる。(道薫)
>御身、大切に。。(官兵衛)

我が名・官兵衛を、呼び捨てで口にした道薫に、
初めて会った頃の荒木村重の面影を見る官兵衛



絵が好きなら、その道を極めるがよいと言いながら、
又兵衛に、一本の筆を贈る道薫。



>道薫こと荒木村重は、翌年の天正14年、堺でその生涯を閉じた。
>その息子、又兵衛は、長じて岩佐又兵衛と名乗り、
>後世に名を残す絵師となった。(ナレーション)


◆◆シメオン誕生◆◆
ここからは、宣教師オルガンチーノに洗礼を受けるシーンが流れ、
いよいよキリシタン黒田官兵衛が誕生します。

前回、官兵衛が道薫の庵で、道薫の世話を焼きに来ている、
高山右近と出会うシーンがありましたが、
利休七哲の一人である右近のことですから、実際の所は、
茶の湯の席でデウスの教えを聞き興味を持ったのかもしれませんね。

一説によると『汝の敵を愛せ』という教えを聞いた官兵衛は、
常々、敵に対して肝要だった自らの考えと相通じるところがあり、
更にキリシタンの教えを深く知りたいと感じた様です。

※そもそも敵とは誰なのか?
汝が敵と思っている者が本当に敵なのかよく考えろ、
愛するべき者まで敵と見なしてないかよく考えろ、
掟に盲従することは危険だ~という意。村重との物語も、
これがベースになっているのかもしれませんね。




しかしこの頃、ヨーロッパ史から見ると、世は『大航海時代』で、
コロンブスやマゼランなどの冒険家の登場による新大陸の発見、
そしてアジアの覇権を狙うため、ポルトガル、オランダ、イギリス、
スペインなど、様々な国々が、アジア圏の海になだれ込み、

ポルトガルの場合、原住民や他国の軍から要塞を防御する為に、
数多くの日本人奴隷が重宝されており、インドのゴア要塞では、一時期、
白人より日本人が多く居住するような状況だったといいます。



こうした日本人奴隷は、海上輸送の途中で病気にでもなれば、
ゴミの様に海に捨てられるのが当たり前の存在で、
それこそ牛や馬以下の値段で取引されていた事から、
ポルトガル人は、アジア地域の奴隷貿易市場において、
莫大な転売利益を上げていました。

しかも、奴隷売買に必要な輸出許可書は、
仲介業務に携わるイエズス会が発行していた事もあり、
この点は、秀吉も問題視していた様です。

~という訳で、この時期に、

官兵衛がキリシタンになるというのは、彼の将来にとって、
かなり危険な要素を含んでいたとは思いますが、
それはまだ、官兵衛も知らない先の話し。今後に注目ですね。(*v.v)。

▼軍師官兵衛:第33回 傷だらけの魂 第5幕