軍師官兵衛:第32回 さらば、父よ! ~黒田の昔話し~ | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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山崎城・城内
四国攻めが近いというのに、兵が集まらない事に苛立つ長政
この地は、西播磨守護代の宇野家が長く治めてきており、
その宇野家が、秀吉によって滅ぼされた為、
領民の中には羽柴を恨んでいる者も多い~と説く善助



長政の案により、村長の家に集められた農民達。
当初は、不満など何も無い~と言っていた村長だったが、
何度も促すと、農民達はしだいに話し始めた。

どうやら、道や堤防造りなどの土木工事など、
彼ら農民達にとって善かれと思っての策も、
結局、年貢が増えるだけで働き損だと思い込んでいるらしい。

また、長政の説く数年先を見越した長期政策も、
今日、明日のことで精一杯な彼らにとっては、ど~でもいい。
どうしても、宇野の殿様と比較して考えてしまう様子。
そんな声を、ジッと耐えて聞いていた長政だったが・・・、

07a

>仕方ねぇ、黒田の殿様は、軍師様じゃ。
>戦のことは分かっても、百姓のことは何も分かっとらん!
>そうじゃ、そうじゃあ~!


農民の言葉が、尊敬する父・官兵衛の事に至ると、
手討ちにでもしそうな勢いで刀に手をかけてしまった長政。
必死に止める太兵衛善助、騒然とする百姓達。

何でも言えと仰せゆえ、申し上げたまで、
力ずくでこられるなら百姓にも考えがあると村長に告げられる。

※キレる長政
刀に手をかけた長政ばかりに目が行きやすいですが、
農民達の声を聞いていると、何の為の政策なのか?
あまりにも基本的な所が理解出来てない・・ですよね。



これって、統治している黒田家と農民達の、
コミュニケーション不足が問題の様な気がしますが、
それにしても、この地にやって来て約半年、
黒田家の人々は何やってたんでしょうね?(史実は別にして。^^)
それとも「兵農分離政策の弊害?」って事なのかな。

このエピソードの背景(裏側)は、よく分からないですが、
百姓を集めて話しを聞くくらいなら、自分の足で領地に赴いて、
彼らと一緒に農作業やりなはれ~と言いたくなるし、
「そんな事も分からんのか」っていう、上から目線発言は禁句。

夜の山崎城・庭先
信用されていないことに思い悩む長政
酒の相手をしながら話しを聞いている後藤又兵衛
何とかしなければ・・と焦る長政。



姫路・職隆の屋敷
「長政と百姓の一件」を職隆に報告する太兵衛善助
官兵衛は知っているのか?を尋ねる職隆だったが、
知れば長政は余計に焦り、どの様な挙に出るか不安がる善助。
この答えで「知恵を借りに来たのだな?」と悟る職隆。

そこに、土間から後藤又兵衛の声がして、
若(=長政)のことでお知恵をお借りしたい~と願い出る。
長政を案じる家臣達の姿を喜ぶ、職隆

※長政の苦悩
百姓達に信用されてない~と言っても、
当時17才の統治者(=長政)を、どう信用しろっていうのか?
かなり笑っちゃう設定ではあるんですが、例えばこれを~

高校野球などの部活運営。年度が変わり、新体制が発表され、
監督(官兵衛)から新しくキャプテン(長政)に任命されたものの、
監督と一緒に考えた練習メニューに新入部員達(百姓)が不満タラタラ。

三ヶ月後の地区予選を目標にチョット厳しく接したら、
ついに部員達が練習をボイコット。

部員達と話し合おうとミーティングを開いたら、
信用していた上級生(村長)達までもが、
自分を任命してくれた監督の悪口を言い始めたのに耐えきれず、
思わず手が出てしまいそうになるキャプテン。
必死に制止するコーチ役の卒業生達(太兵衛&善助)。

ヘタをすると「○×高校野球部・暴行事件!」という、
新聞記事が掲載されるかも?と、事態を重く見た卒業生は、
昔からこの部活を見守ってきた顧問(職隆)の家を訪問。

同じ頃、キャプテンと幼なじみのチームメイト(又兵衛)も、
顧問の家を訪れて鉢合わせ~てな具合に置き換えてみると、
笑ってばかりもいられない、
身近な風景になるかもしれませんね。(*v.v)。

播磨・山崎城
孫の仕事ぶりを見に、山崎の地に立ち寄った職隆
うまくいかぬことばかりだと嘆く長政に、
職隆は、父=重隆が目薬売りで財を成した話しをする。

>幼い頃、父に連れられ、よく薬草採りに行ったものだ。
>どれが薬草か?見分けられる様になると面白くなってのぅ、
>ある日、一人で山に入り、いつもの倍ほど、籠一杯、
>取って帰って来たら、父にこっぴどく怒られた。

>褒めてもらえると思ったのじゃが、逆じゃった。
>どうしてだと思う?

>まだ育ちきらぬ、小さな芽まで取り尽くしていたのじゃ。
>これでは、次の年、もはや何も生えてこぬ。
>時が来るまで、育つのを待つ。
>そして、摘み取る頃合いを見極める。それが肝心じゃと。
>わしは、父から教わった。(職隆)




姫路・職隆の屋敷
大坂から山崎に戻る途中、先日、体調を崩したという職隆を
見舞いがてら訪ねる官兵衛

「今はこの通り、ピンピンしている!」と強がる職隆。
そこに、後妻のぬいが薬を持ってあらわれ、
もう年なのだから無理をするなと官兵衛からも言ってくれと頼む。
山崎の様子を尋ねる職隆。長政に任せていると答える官兵衛

>先が楽しみじゃ。されど、、急いではならぬ。
>今でこそ、この姫路で黒田といえば、皆が慕ってくれるが、
>初めからそうだったわけではない。

>昔から、その地で生きてきた者は、
>新しい領主を歓迎することは、まずない。

>頭ごなしではいかぬが、甘すぎてもならぬ。
>そのさじ加減が肝心なのじゃ。
>官兵衛なら、よく分かっておると思うが・・・。(職隆)


>父上、、何か心配事でも?(官兵衛)
>ん、んん。いや、黒田家の昔話し、
>たまには長政に聞かせてやってくれぬか。(職隆)


※補足
この場面の二人の台詞も、大幅に変更されていますが、
意味としては同じ内容なので、比較表記はしません。

重要なのは、幼なじみのおたつを失った時の官兵衛には、
竜雷太さんが演じていた重隆という祖父が居て、
長政には職隆という祖父が居たという点ではないかと。

このシーンの職隆が口にした「黒田の昔話し」というのは、
我が家に伝わる「精神の伝達作業を怠るな」という、
彼独特の訓示なんじゃないかと思います。



前述の、高校野球などの例でいえば、
「監督と顧問が語らう姿」にも見えますし、
部活だけでなく、会社組織でも同じこと。

今回「黒田家の家風」という言葉も久々に登場しましたが、
その家風も、ただ寝ているだけで続くものではなく、
誰かが語り継いでいく必要があり、
いずれそれが『伝統』へと成就していくのでしょう。

▼軍師官兵衛:第32回 さらば、父よ! ~若とタヌキ~