エリスランディ・ララvsパネス・マーティロージャン WBC挑戦者決定戦 | @TUG_man石田順裕応援ブログ

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世界リアルボクシングドキュメント



強すぎるがゆえ王者にすら対戦を避けられるボクサーがいる。

WBC1位ララ、2位パネスはまさにそんな無冠の帝王だ。

王者カネロは危険なトップランカーに対して完全スルーを決め込んでいた。そしてリスクしか伴わない挑戦者を迎えるよりビッグネームであるメイ、マルチネスらとのビッグマッチをもくろんでいた。

カネロはパニッシャーと試合を確定した経緯から決して強者との対戦を拒んでいるわけではない。

まだ若いため王者でありながら挑戦者でいたいのだろう。

しかしWBCがそれを許さなかった。つい先日カネロへ現在計画しているビッグマッチよりも先にララvsパネスの勝者と指名戦を義務付けたのだ。

他団体、他階級と拳を交える前にまず持っているベルトで最強を証明しろ、という強制指令だ。

さて次線カネロが確定しララvsパネスによる潰し合いマッチが行われた。


実力伯仲、どちらが勝つか全く予測がつかない両雄の決戦。ハイレベルな攻防になる事だけは約束されている。




試合開始だ。パネスはフットワークで掻き乱しコンビネーションで攻める。そしてこれをララが守備型に徹し左カウンターで迎え撃つという展開に。

序盤から双方ディフェンスが超一級だ。お互いにヒットを許さない。しかし1、2ラウンドは終止前に出て攻勢を図るパネスか。

3ラウンド。攻勢に出ても中々クリーンヒットできないパネスフラストレーションが溜まったかホールディングしながらボディショットをお見舞いすると注意が与えられた。

4ラウンド。今度はララがやらかした。パネスが左右コンビで押し込むと詰ったララが下腹部に思いっきり右アッパーをぶち込んだ。ローブローだ。タマキンが潰れたんじゃないかというようなハードショット。いったん回復のためにインターバルが置かれる。

ララ足を止めに行ったのか。これほどのスキルのあるボクサーが標的を見誤るはずがない。故意あろう。しかし減点はなしだ。

5ラウンド。そして中盤ここからララが少しずつ左カウンターの精度を高めて来た。もしかしたらローブローを打ったおかげかも知れない。パネス極端に空振りも目立つようになった。


6、7ラウンド。ララが左ストレートを軸に要所で出始めてきた。パネスもまとめて打って応戦する。右を決めてララの左まぶたをカットさせた。明確にパネス、ララとも言い難い微妙な差だがここはララか。

8ラウンド。パネスサイド、トレーナーフレディローチよりプレスを強めろとGOサインが出る。戦局がララに傾きつつあった絶妙のタイミングだ。

「ララにプレッシャーをかけ続けろ!打ち続けて押し込んで行くんだ!ポイントゲームに付き合うんじゃない!これはアマチュアの試合じゃないプロのリングだぞ!」

クリーンヒットはララ。しかしプレスはパネス。これをジャッジがどう判断するか。8ラウンド終わってまさに五分。ここまでポイントイーブンか。

9ラウンド。さあこれから完全決着が始まる!といった矢先に…



〝ゴッチン!〟


指示どおりプレスを強めロープ際まで一気に詰めたパネスにララが頭から突っ込んで来たのだ。ララ脱出成功。しかしパネス左まぶたがザックリと割け試合はストップ。これも故意じゃないかと思われるが減点はなし。

ここまでの途中採点で勝敗を決する事になったしまった。

86-85パネス、87-84ララ、86-86ドローの三者三様のドロー。




パネス・マーティロージャン
「ララは相当なダーティーファイターだったな。ローブローとヘッドバットだけは超一級品だったぜ。それと逃げ足だな。接戦に見えたかもしれないがここはアマじゃない、プロのリングだぜ。再戦?いつでもいいよ。できるだけ早くしてくれよな」



エリスランディ・ララ
「再戦はオレの方も問題ない。今日だって勝っていたはずだし、あのまま試合が続いていたらノックアウトしていただろう。決まり次第すぐに決着をつけてやるよ」


コンピューター解析による集計では
【ヒット数/トータルパンチ数】
パネス33/243:ララ74/257
【パワーヒット数/トータルパワーパンチ数】
パネス27/167:ララ40/95

非常に判断の難しい結果が出た。出したパンチ数はほぼ同じ。しかしパワースローは圧倒的にパネス、つまり攻勢点はパネスだ。しかしヒット数ではララに分がある。

個人的な見解ではパネスの勝利で良かったのではないかと見ている。中盤からクリンヒットを重ね試合のペースを握り始めたのは確かにララだ。しかしローブロー、そして最後のバッティングは明らかに故意だ。パネスの足を止め、突進を止めたかったのだろう。これには減点が課されるべきだしそれを加味して勝者パネスが妥当ではなかっただろうか。


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王者カネロだが内心ホッとしてるのではないか。しかし計画している5月のべガスマッチまでまだ約半年ある。

3ヶ月に一度ペースで試合を組めばこれに間に合う計算になるが、さてどうなるだろうか。




2012.11.10 Erislandy Lara vs Vanes Martirosyan