遊星からの物体X(1982) | つぶやキネマ

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140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


遊星からの物体X(1982)


 アメリカ南極観測隊の基地へ1匹の犬を追って現れた
ノルウェー隊のヘリコプターは、犬を殺そうと銃や手榴
弾を使いヘリコプターは誤って爆発、生き残ったノルウ
ェー隊員はアメリカ隊員を負傷させたため射殺される。
ヘリコプター操縦士のマクレディ(カート・ラッセル)と
ブレア博士(A・ウィルフォード・ブリムリー)は、調査
のため向かったノルウェー基地で自殺した隊員の死体や
空になった氷塊容器、異様な焼死体を発見、資料や記録
ビデオと共にその焼死体を持ち帰った...という「遊星よ
りの物体X(1951)」のリメイク...と言われてはいるものの、
実際は大きく違っている。原作の「影が行く」に比較的
忠実な脚色がなされ、"物体X"は獲り込んだ人間に成り
すますという設定にしたために、誰が"物体X"なのか解ら
ないというサスペンスが生まれ、さらにカート・ラッセル
以外は脇役中心で活躍している俳優をキャスティングした
ため、誰が生き残るか解らないという緊張感がプラスされ
超絶スリリングであります。しかし、特殊メイクで描かれる
変態途中の"物体X"姿があまりにもグロテスクで衝撃的過ぎた
ため、特殊メイクの見世物映画になってしまい、サスペンス
の部分が帳消しになっているのが惜しい...隊員たちの血液を
採取して調べる場面とか凄く良かったんだが。基地を爆破
炎上させてしまうラストは、自殺のついでに壊しちまえ
みたいな"物体X"の設定を無視した作戦でいただけない(注1)。
キッチリ決着をつける結末にすべきだと思うが、製作会社
から続編の可能性を残すように要請されたのかもね。


●スタッフ
監督:ジョン・カーペンター
製作:デヴィッド・フォスター、ローレンス・ターマン、
ラリー・フランコ
原作:ジョン・W・キャンベル・Jr.
脚本:ビル・ランカスター
撮影:ディーン・カンディ
音楽:エンニオ・モリコーネ


●キャスト
カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、
リチャード・ダイサート、ドナルド・モファット、
T・K・カーター、デヴィッド・クレノン、
キース・デヴィッド、チャールズ・ハラハン、
ピーター・マローニー、リチャード・メイサー、
ジョエル・ポリス、トーマス・G・ウェイツ


◎注1; せっかく原作を意識した面白い設定にしたのに、
脚本や演出がフラフラしていて設定が活かされていない
のが気になる。その設定自体にも色々問題があって、
マクレディが冒頭でチェス・マシンと対戦し負けた
腹いせに壊してしまうが、極地の観測隊員は決して
物を粗末にはしないよ。観測隊基地の隊員という事で
科学者や専門家が多いはずなんだが、特にそういう描写
も無いために数人を除き粗野なアメリカ人の集団にしか
観えないのだ。さらに、発見した正体不明の異様な焼死体
を感染症の危険等一切考えず基地内に運び込んじゃうし、
設備の整っていない環境でマスクもせずにいきなり解剖し
始めるって非科学的だよな...外は天然の冷凍庫なんだし、
装備を整えた応援が来るまで保管するでしょ、普通は。
"物体X"は体液一滴でも生きられる事が解ったのに爆破
したりしちゃダメだよね...というより、南極観測隊の基地
なのに何故火炎放射器やライフルがゴロゴロあったり大量
のダイナマイトが保管されてたんだろうねぇ。

◎蛇足; ジョン・カーペンター監督は自作の音楽も担当
する事で有名だが、何と本作ではエンニオ・モリコーネを
起用。にもかかわらず、全体的にジョン・カーペンター
監督が作ったような音楽になっているのが笑えます...特に
エンド・クレジットに流れる曲なんて"いつものヤツ"じゃん。

◎オススメ; 「遊星からの物体X」については、
こちらもご覧下さい。

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影が行く[原作本](ジョン・W・キャンベル・Jr.)


PS: 以下のサイトも運営しています、よろしかったらどうぞ。


漫画を中心とした同人サイト
「日刊...かもしれないかわら版」
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/index.html


伝説の漫画誌「COM」についてのサイト
「ぐら・こん」ホームページ
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/home/gracom/g_home.html