- 芥川 龍之介
- 「地獄変・戯作三昧 他
」
旺文社文庫
なぜに、今さら芥川龍之介かと言えば、それは最近モリミー、モリミー言い過ぎてる気もしますが、森見登美彦氏の小説「新釈 走れメロス 他四篇 」において、芥川の「藪の中」がモチーフにされていたから。
芥川の有名どころをほんの少ししか読んだことがないので、いい機会だから読んでみようと思い、図書館の閉架図書から(!)借り出してきました(あっはっはー、これ、昭和四十一年初版で、昭和四十八年に重版されたものだって)。
芋粥
或る日の大石内蔵助
戯作三昧
地獄変
蜘蛛の糸
枯野抄
藪の中
六の宮の姫君
解説 三好行雄
芥川について 金子光晴
芥川さんのこと 夏目純一
代表的作品解題
参考
参考文献
年譜
改めて読むと、芥川龍之介はやっぱり巧い作家なのですねえ。
理や智のフィルターを通した情が綺麗。
この文庫は古かったけど、セレクトもなかなか良かったです。
「六の宮の姫君」と言えば、「円紫さんとわたし」シリーズ(「空飛ぶ馬 」など)の一作でもありますし。
「芋粥」の次の一節もしみじみと味わい深い。
人間は、時として、充たされるか充たされないか、わからない欲望のために、一生をささげてしまう。その愚を哂う者は、畢竟、人生に対する路傍の人にすぎない。
ちょっとしんとした心持ちになりませんか?
「芋粥」は確か以前も読んだことがあるはずだけど、乱暴にまとめると、風采の上がらぬ五位が持っていた、ただただ腹いっぱい芋粥を食べたいという願いを描いたこの作品の良さを、当時は分からなかったに違いない。
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。