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2007-07-01 18:50:37

「つまみぐい文学食堂」/ブンガクにおける食べ物とは?

テーマ:角川書店
柴田 元幸
つまみぐい文学食堂

目次
~Menu~
メニューについて
~Horsd'Oeuvre~
I LOVE Garlic
Be Vegetarian
不在の食物
根菜類等
~Fish~
鯨の回想風
イカ・タコ
ディナーの席で
~Meat~
菌類
豚肉を食べましょう
一族集合
動物はお友だち
人等
~Specials~
Let's Party
クリスマス特別メニュー
不味い食事
空腹、飢え、断食
~Beverages~
一杯のお茶を持てば
一人酒場で飲む酒は
ブローディガンの犬

~Desserts~
リンゴはなんにも言わないけれど
カフェ等
ワシントン広場の夜は更けて

あとがき対談
INDEX①
INDEX②


「文学」であっても、「つまみぐい」。「文学」だけれど、「レストラン」ではなく「食堂」。漫画家吉野朔美氏による、ユーモラスかつ、ちょっと不気味な絵に相応しく、ここに出てくる食べ物は決して肩肘張るものでもない代わりに、美味しそうなものばかりとも言えず…。

でも、実に楽しい本!

アガサ・クリスティーの食卓 」、「パトリシア・コーンウェルの食卓 」、「宮沢賢治のレストラン 」、「作家の食卓 」など、このブログの中だけでも、作家と料理についての本は結構読んでいるのですが、これら至ってノーマルな本とこちらの本との違いは、ここに出てくる食べ物は必ずしも実在のものではなく、また時にとてつもなく不味そうなこと。「実在ではない」といっても、描かれるのは「物語の中だけに出てくる、実在しない美味しそうな食べ物」などではなく、猛烈にそれが食べたいのに、食べることの出来ない不在の哀しみだとか。

飄々とした柴田さんの語り口、ひょいひょいと話が飛んでいくところもなんだか楽しい(あとがき対談を読むと、「素材が三つあればひとつのエッセイが書ける」とある)。ああ、こんな授業が受けられるのだとしたら、文学部でブンガクを学ぶのも悪くはないよな。いいなー、東大文学部の学生さん。そして、「柴田クン」と思しきキャラクターが描かれるその章の扉絵も実に楽しい(表紙と同じく吉野朔美氏による)。あとがき対談によると、吉野さん自身、柴田さんのファンであるそう。だからこその、この素敵な挿絵なのかな。

INDEX①は人名・作品名・書名から、INDEX②では食べ物の名前から、ページを引くことが出来る。装丁なども含めて、いやー、これはいい仕事だわ。

さて、この中で私が気になったのは、以下の本、ということで、いつものように、メモメモ。

■ケン・カルファス「見えないショッピング・モール」(『どこにもない国 現代アメリカ幻想小説集』)
■ニコルソン・ベイカー「下層土」(『どこにもない国 現代アメリカ幻想小説集』)…ニコルソン・ベイカーが、あのスティーブン・キングに酷評されて「ふん、キングみたいなホラーなら俺にだって書けるさ」と対抗して書いたのだとか。恐怖の源がジャガイモってところがすごい。
■トルーマン・カポーティ「クリスマスの思い出」(『誕生日の子どもたち』)
■リチャード・ブローディガン「アメリカの鱒釣り」
■W・G・ゼーバルト『目眩まし』
■登場回数も多い、トマス・ピンチョンという作家

そして、柴田さんが取り上げておられる本の共通項としては、どうも「妄想」というフレーズがどこかに忍び込んでいるような気がしてなりません。「妄想」といえば、岸本さん(エッセイ「気になる部分 」)ですが、この「つまみぐい文学食堂」を読んですっかり柴田さんのファンにもなったのでした。愛すべき「ヘンさ」「奇妙さ」「奇想」ってありますよね。

これまで読んだ柴田さんの翻訳は、ポール・オースターの「最後の物たちの国で 」のみなんだけど、翻訳もエッセイも、もっといろいろ読んでみたいと思ったことでした。


と、思ったら、スティーヴン・ミルハウザーの「バーナム博物館 」も読んでました。これも面白かったけど、妙ちきりんな話だったなぁ。

コメント

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1 ■吉野朔美つながり

によるTB&コメントありがとうございました。
私もかつて柴田元幸氏訳によるポール・オースターを幾つか読んだことがありますが、翻訳だけでなく、このような本も書かれているのですね。初めて知りました。
ポール・オースターも今でこそ大家ですが、日本に紹介され始めた時は妙な話を書く作家だなと思いましたものね。ミョウチクリンなことを書く作家の翻訳者は、岸本さんといい柴田氏といい、やっぱり奇妙なヒトたちなの???

2 ■>nanikaさん

トラバ返し、ありがとうございます♪
ふふ、今もまた柴田さんの違う本を読んでいます。いろいろ、書かれているようですよ。
ポール・オースターも、確かにちょっと「ヘン」なのかも。目ざとく気付いて、私たちに紹介してくれる翻訳者の人たちも、また普通ではないのかなー、と思います。笑

3 ■無題

つなさん、おはようございます。
つなさんのご紹介があんまり楽しそうなので
昨日、この本を図書館で借りてきてしまいました!
本文のフォントがちょっと苦手なので
そこだけはちょっぴり不安なのですが…(^^ゞ
それにしても、まさか柴田元幸さんも「妄想」繋がり(?)だったとは!
それは思いもしませんでしたよ。
いや、もうてっきり、ごくごくまっとうな方なのかと…
ということで、読むのがとっても楽しみです。
読んだら、またTBさせていただきますね~。

4 ■>四季さん

こんばんは~。
わー、苦手なフォントを押してまで!笑
うーん、大丈夫だといいなぁ(ちょっと心配。笑)。
四季さんの記事が楽しみです♪
そうなんですよ、柴田さん、一見まともそうなのに、実は割と妄想グループであるようですよ。
翻訳家って妄想族が多いのでしょうか。笑
吉野朔美さんのトラバ返しもありがとうございました。そうですね、まずは角川文庫のを探してみます!

5 ■読みました!

つなさん、こんにちは~。読みましたよ!
いやあ、面白かったです。
ほんと、いい感じで妄想系が入ってますね。
語り口もいいし、親しみやすいし読みやすいし
他のエッセイや訳本も読みたくなってしまいました~。
ほんと柴田さんの講義が聞ける東大生が羨ましいですね。
私も大学の時は文学部でブンガクを学んでたんですけど、
こんな楽しい先生いなかったですよ!(普通いないか)

翻訳家といえば、青山南さんも面白いんですが
つなさんは読まれたことありますか?
「翻訳家という楽天家たち」とか「眺めたり触ったり」
オススメです♪

6 ■>四季さん

こんばんはー♪
体調は如何ですか? もう万全ですか~?
(そして、とっても遅いですけど、お誕生日おめでとうございました♪)

ふふふ。四季さんの感想をお待ちしておりましたよ! いやー、楽しまれたようで、良かった良かった。
おお、四季さんは文学部ご出身だったのですね。
どんな分野を学ばれたのかなぁ。

柴田さんの講義、うらやましいですよね。
「佐藤君と柴田君」という本を以前読んだ時に、ふと調べたら、歌手の小沢健二さんは、柴田ゼミ出身だと、wikipediaに書いてありました。
柴田ゼミでは言語センスが身につくのかしら?笑
柴田さんの翻訳でいえば、最近読んだポール・オースターの「ミスター・ヴァーティゴ」が抜群に面白かったです!
四季さんは読まれてます?

青山南さん、全然知りませんでした!
図書館予約に組み込みました♪
オススメありがとうございまーす。

そういえば、吉野朔美さんの文庫本を買おうと思って、実書店に行ったらありませんでした…。
ネットで買わなくては~。

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