「世界の民話館 魔女の本」/魔女!魔女!魔女!! | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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ルース マニング=サンダーズ, Ruth Manning‐Sanders, 西本 鶏介
魔女の本
ブッキング

目次
 
日本のお友だちへ
 まえがき
1 魔女ばあさん
2 ラプンゼル
3 なまけ者のハンス
4 ふたごとがみがみやの魔女
5 エスベンと魔女
6 プルネッラ
7 ロバになるレタス
8 ヘンゼルとグレーテル
9 ぼろずきん
10 白いはと
11 ジョニーと魔女っ娘
12 黒い階段の山
 訳者あとがき
(1:イギリス、2、3、7、8:ドイツ、4:ロシア、5:デンマーク、6:イタリア、9:ノルウェー、10:デンマーク、11:チェコスロバキア西部ボヘミア、12:アイルランドの話)

ラプンゼルヘンゼルとグレーテルのようなメジャーなものから、あまり聞いた事がないものまで、世界各地の民話の中から選りすぐった魔女のお話。意地悪な魔女、親切な魔女、若く美しい魔女、色々と出てくるけれど、民話の良いところは、善良な主人公たちは、いつだって最後は悪い魔女の魔力から巧く逃れる事が出来る事!

「ふたごとがみがみやの魔女」「白いはと」は投げモノとでもいいましょうか、前者では女の子が、櫛を投げ(大きな森が出来る)、ハンカチを投げて(大きな深い川が出来る)魔女から逃れ、後者では王女が植木鉢を投げ(何重にも連なった小山が出来る)、水入りの瓶を投げて(波が荒れ狂う大きな湖が広がる)魔女から逃れる。

特に好きだったのは、「エスベンと魔女」「ぼろずきん」

◆エスベンと魔女◆

十一人の兄さんたちとは違って、小さく生れ付いてしまったエスベン。兄さんと父親は、この末の弟を馬鹿にしたけれど、母親だけはエスベンにやさしかった。
やがて成長して独立を望んだ兄たちには馬とお金が与えられ、兄たちは家を出たけれど、エスベンには何も与えられなかった。そこでエスベンは、森の木の中から気に入った枝を選び、馬の形を拵え、棒の馬に跨って兄たちの後を追う。「いそいで飛んでおくれ、ぼくのかわいい馬よ。ぼくを、世の中に連れていっておくれ」。
そうして、兄たちに危機が迫る度に、エスベンは彼らを助けるのであるが・・・。魔女とエスベンのやり取りが楽しい。「わしの~を・・・したのは、お前か?」「そのとおり!」「また、ここへもどってくるか?」「たぶんね!」

◆ぼろずきん◆
子供が出来ずに悲しんでいたお妃に、森で出会った魔女が子供の授かり方を教えてくれた。ところが、ある一つの注意点を守らなかったために、美しく輝くような赤ん坊だけではなく、ぞっとするような醜い赤ん坊が生れてしまった!
お妃はどうしても、醜く奇行が目立つ姉を好きになれなかったのだけれど、美しい妹は醜い姉を慕うのだった。そして、二人がもうすぐ大人になるある年のクリスマス・イブのこと。騒ぐ魔女たちの前にうっかり姿を現してしまった妹べレニスは、その美しい頭を子牛の頭に挿げ替えられてしまった! 姉のぼろずきんは、ベレニスを元に戻すために、二人で航海に出るのであるが・・・。


これ、ブッキングにより復刊された本であるようです。「世界の民話館」は全10冊のシリーズ本であるとのこと。「魔女の本」の他にも、「魔法使いの本」、「竜の本」、「悪魔の本」、「王子と王女の本」、「怪物の本」、「こびとの本」、「巨人の本」、「人魚の本」、「王と女王の本」があるそうです。魔女の本」が挿絵も美しく、楽しい本だったので、シリーズの他の本も期待出来そう。とりあえず、今気になるのは、「竜の本」「人魚の本」かなぁ。