つな
おすすめの100冊(amazon)

(bk1)

にほんブログ村 本ブログへ





Google

WWW を検索
ブログ内検索

フィードメーター - 日常&読んだ本logあわせて読みたい
2007-03-24 22:50:52

「後宮小説」/少女、銀河がゆく

テーマ:新潮文庫

酒見 賢一

後宮小説 (新潮文庫)



読み終わっての感想は、これはまたけったいな小説だなぁという事。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作であるこの作品は、中華風味のファンタジーとでも申しましょうか、「ファンタジー」と言われると、ついつい「え、魔法?、妖精?」などと思う、こちらの固定観念を軽く超えてゆく。でも、森見さんの『太陽の塔』などもファンタジーノベル大賞だし、この賞自体が、わざと所謂「ファンタジー」っぽいものを回避してんでしょうか。

目次
崩御/宮女狩り/入宮/双槐樹/仮宮/女大学/後宮哲学/卵/淫雅語/銀正妃/
喪服の流行/前夜の絵巻/幻影達の乱/北磐関/後宮軍隊/受胎/縦横
あとがき
解説 矢川澄子


至極最もらしい文献などを引きつつ、語られるのは片田舎の出身の少女、銀河の数奇な人生。

前帝が腹上死したために、若干十七歳の皇太子のために、新しい後宮作りが必要となった。広い国土を宦官のチームが飛び回り、少女銀河が住まう緒陀地方にも、宦官真野がやって来た。齢十三歳の銀河は宮女になることになる。

彼女が連れ出された素乾国の都、北師の街にある宮殿において、銀河は宮女となるための研修を受ける。この後宮というところが、またけったいな所で、全ての宮女は膣を模した「たると(垂戸)」を通って後宮へ入り、また月に一度は何人かの宮女候補が後宮を出されることになる(所謂、「月のもの」を模す)。後宮とはすべからく女性を模すものである。

さて、銀河は同室の宮女候補生たちや、その他大勢の候補たちと共に、角先生による女大学に励む。もともと後宮の講義は、性技術の講義として始められたものだったけれど、角先生は哲学の徒であった。まだまだ童女である銀河は、同輩達が陶然となる美貌の菊凶による性技術の講義よりも、むしろ枯れた学究の徒である角先生による講義を好む。角先生もまた、銀河を可愛がり、また己の人生を賭けた証を彼女に夢見ようとする・・・。

並み居る美貌の者達を抑えて、なぜか正妃の座を射止めた銀河であるが、折悪しく、反乱軍の蜂起が勃発する。銀河は後宮で軍隊を組織し、反乱軍に立ち向かうのであるが・・・。


粗筋を書くとこんな感じなのだけれど、これはむしろ周りの与太話の方が面白い本。銀河の同室の三人の女性たち、庶民の出の銀河を馬鹿にしていた気位の高いセシャーミン、道ならぬ恋に燃える玉遙樹(タミューン)、美貌だけれど無口で簡潔な表現を好む江葉も魅力的だし、すっとぼけた角先生も魅力的。そして、何と言っても皇帝がね! 私は好きだなぁ。

また、敵方である幻影達(イリューダ)、渾沌のコンビも興味深い。特にこの渾沌の人物設定はなかなか他の小説では見られないものだと思う。彼の心と行動は、まさに渾沌そのもの。

これを元にしたアニメも出ているそう。

 
原作の際どい所は勿論抜いているそうですが、この天真爛漫な銀河、きっとアニメにおいても魅力的なことなのでしょう。

酒見さんはずっと気になっていた作家さんだったんだけれど、これが初読み。陋巷に在り』は、その長さに恐れをなして、近づけないでいたのだけれど、この方、長い物語の方が面白そう。こちら『後宮小説』においても、無駄話が面白いもの。時間が取れたら、読んでみたいなぁ。

コメント

[コメント記入欄を表示]

1 ■アニメは見たんですけど。

図書館で見当たらないんで読んでなかったですわ。
今度取り寄せしていただきませう。
アニメはきわどい所は全くなしでした。
原作読んでいた友達が言うに、「あれが体育の教師とは~~」と笑っていました。
「描き様が無いものなぁ」と。

2 ■どちらもなかなか

これ、アニメがテレビで初放映されたときに、たまたま見て面白かったので、原作も読んでみました。
印象が大分ちがうのにびっくりしたんですが、軽妙さという点では、どちらも共通していて、なかなか魅力的でした。

3 ■>ぐるぐるさん

あはは、体育の教師ですか!
確かに身体を使うけど、使うけど!笑
下でkazuouさんも書いてらっしゃいますが、原作も軽みがあるので、きわどいことを表現してても、特にイヤらしくはないのですけどね。
私は古本屋で見つけてゲットです。
アニメも面白そうですね。表紙の絵柄だけでも、好感を持ちました♪

4 ■>kazuouさん

アニメ、人気ですねえ。私、全然知らなかったのです。
そうそう、この軽みは凄いですよねえ。しかも、これが若干25歳の時の作だとは! 吃驚しました。
『墨攻』も漫画化や映画化されていたり、小説の枠を飛び越えた広がりも、この方の特色なんでしょうか。

5 ■「墨攻」人気で再版されているようですね

ぼくもこの本が最初の酒見さんの本でした。
短い中におもしろいところをぎゅうぎゅうに詰め込むのが得意なのか、読者はおいしいところばかりを食べられます。『墨攻』もおもしろいですよ。
先日酒見さんの「三国志」を衝動買いしました。かなり変わった感じの様子です。

6 ■>ディックさん

おお、ディックさんとこで、『墨攻』の記事は見つけたんですが、『後宮小説』も読まれていたのですね。しかも、これが最初の酒見作品だったと!
短く描かれた余計な部分(?)に気が行ってしまうので、ああ、そこもっと膨らませたら!などと思ってしまいました。笑
へえ、酒見バージョンの『三国志』もあるんですねえ。私、吉川英治の『三国志』を、途中で挫折してるんですよね・・・。う、まずは基本からでしょうか?笑

7 ■吉川英治の「三国志」

吉川英治の『三国志』は、最初やや退屈で、諸葛亮孔明が出てきて策略を練り始めると途端におもしろくなるのです。そこまで読まれましたか?
酒見さんのバージョンの題名は「泣き虫、弱虫、諸葛孔明」というのです。それはまたそれで楽しそうで…。
北方謙三さんの『三国志』は、呂布とか張飛とか、武人タイプがよく描けていて泣かせます。
中国の大袈裟な歴史物は大好きなんです。
『十三妹』という短いお話はご存じですか?

8 ■>ディックさん

今、自分でブログの中を検索したところ、2005年8月、まさに諸葛孔明が出てきたあたりで止まってしまったようです。
http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10003786734.html
うちにあるのが、すっごい古い本なので、そういう問題もあるんですが・・・。笑

ああ、そうか! 「泣き虫~」のタイトルは見たことがあります。いわれてみれば、それがまさに三国志なんですねえ。
北方三国志も気になるものの、やっぱりこちらも読んでません。
中国の短い伝奇モノは結構好きなんですが・・・(といっても、森福都さんをちょっとかじっているくらい)。
『十三妹』。さっき検索してみたら、『ひかりごけ』の武田さん(や、こちらもまた、読んでませんが。笑)が書かれているのですね。う、「短い」というところが、魅力的であります。笑

9 ■『十三妹』短いです(^^)。

すぐ読めて気軽に楽しめる文庫です。トラックバックを送りました。

10 ■>ディックさん

おー、トラックバックありがとうございます♪
では、コメントはそちらに~。

11 ■なつかしくて、つい

はじめまして。
とらさんのところからやってきました。

『後宮小説』は単行本が出版された当時に手に取り、その面白さに一晩で一気に読んだ覚えがあります。えーと10数年前?
また再読したくなりました。

それと、私も吉川英治の『三国志』、途中挫折しちゃってるんですよ。なんだか、親近感が湧いてコメントしちゃいました。もう一回、挑戦してみようかなぁ。

またお邪魔させてもらいますね。ではでは。

12 ■>ねこ姫さん

はじめまして、いらっしゃいませー♪

おー、ちょうど出版当時に読まれていたのですね。私はファンタジーノベル大賞だし、いつか読もう読もうと思っていて、このタイミングになってしまいました。笑 銀河がいいですよねえ。

わ、途中挫折仲間ですね。笑 読み始めれば、割と読める気もするんですが、なかなか手が・・・。・・・・一緒に再度挑戦してみます?笑

いつでも、またいらしてください♪ 嬉しいです。

13 ■酒見賢一

ふぁんです。ほとんどの本をよんでいます。
「諸葛孔明」は、日本では礼賛されているこの人、実はとんでもないほら吹き?、というかんじで書かれているので、ある程度三国志の話をしていたほうが面白いと思います。
「陋巷にあり」最初から面白いですよ。もう儒と呪のファンタジーです。全部読むつもりなく最初の1冊を手にとることをお薦めします。
「墨攻」1冊のまとまりとしては、完成度は非常に高い本です。ストイックなストーリーがなかなかの魅力です。
基本的にどの本を読んでもなにかしら面白いところがあり、難しく書かない中国関連の作家として毎回新作を楽しみにしている作家なので、とそ感で見つけてみたら是非読んでみてください。

14 ■>bookbathさん

おお、ふぁんでしたか~。笑
こちらこそ、いつもコメント&トラバありがとうございます。このあと、お返ししますね。
そうですよね~、やっぱ、「泣き虫~」を読む前には、普通の「三国志」を押さえておかないと、勿体無いですよね。笑
「陋巷にあり」、一冊だけでもいけますかね? では、恐る恐る手を出してみようかな。笑 「墨攻」は映画化の影響か、前には図書館で見かけたのに、最近では全然見なくって・・・。おお、でも、ストイックなストーリーなのですね。・・・なんか、想像つかないー。笑
「難しく書かない中国関連の作家」は、貴重ですよね。酒見さん、大らかな感じも、好印象でありました。

15 ■読みたくなっちゃいました

つなさんのブログを読んでいたら、久しぶりに読みたくなり、読んでしまいました。

うーん、こんなに肩の力が抜けてる、いい作品はそうはなかなかないのではないでしょうか。

16 ■>bookbathさん

おー、こういうのはブログの醍醐味ですね♪
嬉しいです。
この後、トラバお返ししますねー。

27歳にして、この作品でしたっけ。恩田さんの「小説以外」にも、酒見さんがあの若さで書いたから、自分も書かなきゃ!、と思ったとありましたよね。才はまた新たな才を余分ですねえ。

コメント投稿

コメント記入欄を表示するには、下記のボタンを押してください。
※新しくブラウザが別ウィンドウで開きます。

一緒にプレゼントも贈ろう!

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10028869994/3cfb7ece

  • 1 ブログタイトル:ディックの本棚
  • 記事タイトル:十三妹/武田泰淳
  • 記事概要:十三妹(シイサンメイ)  中国は清の初めの頃。主人公は北京の資産家の息子の第二夫人だ。夫というのが二十代の若者なのだが、科挙の最終試験を受けるべく猛勉強中で、勉強ばかりしていて世間のことは何も知らない。家が金持ちだから、世間知らずのぼんぼんでも平気なのだ.
  • 2 ブログタイトル:できれば本に埋もれて眠りたい
  • 記事タイトル:泣き虫でも弱虫でもないけれど
  • 記事概要:弱虫泣き虫諸葛孔明 酒見賢一 最初の章で三国志の中でも人気のある忠烈義仁の男、諸葛孔明を、現在の感覚で「平和になろうとしているのに、戦をしかける大人気ない人」、と語ってしまうあたりに、酒見賢一の成熟ぶりが感じられます。 中国歴史小説についての事実の
  • 3 ブログタイトル:できれば本に埋もれて眠りたい
  • 記事タイトル:処女作の自由/後宮小説
  • 記事概要:後宮小説 酒見賢一 酒見 賢一 後宮小説 しかし処女作にしてこの自由さはなんでしょうか。 その後大作「陋巷に在り」や漫画・映画化もした「墨攻」などにくらべても十分読むに値する、軽やかな筆運びです。 第一回日本ファンタジーノベル大賞の受賞作であ
  • 4 ブログタイトル:本読みの記録
  • 記事タイトル:卓越した世界観:後宮小説
  • 記事概要:後宮小説 (新潮文庫)作者: 酒見 賢一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1993/04メディア: 文庫 中華風の世界観を持つ第1回ファンタジーノベル大賞受賞作。 独特の世界観ながら、説得力と迫真に迫る力を持った小説である。
powered by Ameba by CyberAgent