「恐竜物語」/レイ・ブラッドベリは恐竜を愛す | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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レイ・ブラッドベリ, 伊藤 典夫
恐竜物語


amazonでもbk1でも、表紙画像が出ないんだけど、この表紙の雰囲気がいい。

膝立ちになった少年が、仰ぎ見る大きな本の中には、地平には緑、空には虹という情景が広がる。その虹の下には、恐竜が雲の様に浮かび、振り返って少年の方を向く。どこかノスタルジックな印象を受ける表紙。

さて、「レイ・ブラッドベリは恐竜を愛す」としたけれど、これ、ほんとは「二人のレイは恐竜を愛す」とすべきなのです。今一人の「レイ」とは、レイ・ブラッドベリの高校時代からの親友であり、特撮映画の監督で知られる、レイ・ハリーハウゼン。
wikipedia にリンク)

尤も、恐竜に魅せられるのはこの二人に限った事ではなく、「少年」に共通のことなのかもね。

目次
序(レイ・ハリーハウゼン)
まえがき
恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?
デイヴィッド・ウィースナー画
いかずちの音
ウィリアム・スタウト画
見よ、気のいい、気まぐれ恐竜たちを
オーヴァトン・ロイド画
霧笛
ステランコ画
もしもわたしが、恐竜は死んではいない、と言ったとしたら
ゲイアン・ウィルスン画
ティラノサウルス・レックス
メビウス画
解説 伊藤典夫

ノスタルジックなもの、詩的な響きのもの、近未来のもの、物悲しいもの、滑稽なもの、色々な味わいの恐竜の物語。

文庫ではあるけれど、いい紙を使っていて、挿絵もまた主役である、凝った本。

この本が出た時点で既に古典だったのかもしれないけど、「霧笛」が良かったな~。灯台から響く霧笛に仲間を見た、深海に棲む孤独な生き物のお話。灯台守のマクダンの、古い時代への畏敬の念に満ちた、静かな語り口が物語を盛り上げる。

見よ、気のいい、気まぐれ恐竜たちを」、「もしもわたしが、恐竜は死んではいない、と言ったとしたら」は、ほとんど詩。訳文も頑張ってはいるのだろうけど、これ、原文で読んだらどんな感じなのかなぁ、と思った。この二編はね、イラストだけでも楽しむことが出来る。 「見よ、気のいい、気まぐれ恐竜たちを」なんて、恐竜たちの宴会ともいえそうな、月夜に踊る実に楽しげなイラストがつけられている。