「日本怪奇幻想紀行〈4之巻〉芸能・見世物録」/見世物小屋の世界 | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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日本怪奇幻想紀行〈4之巻〉芸能・見世物録
同朋舎

表紙、如何にも妖しげでしょう?
皆川博子さんの「花櫓」 を読んで、本筋ではないものの、ちょっと気になっていた見世物小屋の世界、それが知りたくて借りてきた本。

目次
一章 見世物小屋の秘密を覗く
二章 お化け屋敷の恐怖空間に震える
三章 不思議な古写真世界を紀行する
四章 安珍と清姫、「道成寺縁起」絵巻を絵解く
五章 見世物から江戸を覗く
六章 歌舞伎の恐怖演出に仰天する
七章 奇妙な博物館を求めて、西日本を巡る
八章 人体に巣くう?疳の虫の正体に迫る
九章 怪異に彩られた奇祭の舞台を行く

見世物小屋。そこには、どこか隠微で後ろめたいイメージもある。でも、ここに描かれていたのは、芸としての見事なお約束でもある「口上」や、芸に対する努力だったな。見世物小屋の芸とは、舞台上で実際に芸をする芸人だけではなくて、口上や、如何にして見世物小屋の扉をくぐらせるかなど、それぞれのプロが役割を果たした上での、総合芸術なんだね。例えば、口上では大抵、「娘」ではない年齢の女性を、「薄幸の娘」と紹介したりするけど、それもまたお約束。お客が中に入ってくれたら、後は舞台上の芸で満足させれば良いだけのこと。

9章とも、それぞれ違う人たちが纏めているんだけど、私がまともに読んだのは、1、2、5、6章くらい。

いや、1章の蛇女あたりで、お腹いっぱいになっちゃって。「蛇女」という見世物、ご存知ですか? 人間の鼻と口は繋がっている。それを利用した芸の一つで、トレーニングをこなす事で、鼻から入れた蛇の尻尾が口から出るようになるんだそうな。これ、なぜ尻尾から入れるのかというと、頭から入れて喉を蛇に噛まれた芸人が出たからなのだって。・・・・ちょっと、ひーーーー、です。でも、艶かしいんでしょうねえ、「蛇女」。鼻から口に、鎖を通すバージョンなどもあるそうです。

このシリーズには、他にも妖怪や、祟りや呪い、幽霊・怨霊怪譚など、いかにも怪しげなタイトルが並んでいる。少なくとも、この四巻は表紙から連想される程、扇情的でもないし、ある程度学術的な話を、かる~い語り口で紹介しているような印象を受けた。ま、多少悪趣味っぽくもあるんだけど、夏にはいいかもしれないですな。