2006-06-09 21:29:16
「花櫓」/芝居者たちと少女の恋
テーマ:毎日新聞社
これ、面白かったー! 皆川博子さんは、色々な設定で書けちゃうんだなー。
以前読んだ「死の泉」は第二次大戦下のドイツを舞台にしていたけれど、こちら、「花櫓」は江戸時代の歌舞伎、芝居者の世界を描いている。
歌舞伎の世界を全て理解出来たとは思えないんだけど、芝居者達の世界、「櫓」にかける思いには胸が熱くなる。あったり前なんだけど、中村勘三郎、市川団十郎、市川海老蔵、松本幸四郎など、見知った名前が出てきたりね。歌舞伎の一門に生まれるということ、連綿と続く伝統の世界に身を置くということは、やはり特別な重みがあることなんだろうなぁ。普通の世界とはきっとまったく違う世界。
お菊とお珊の二人は、中村座の座元の娘。二人の父は、八代目中村勘三郎。お菊は妾の、お珊は正妻の娘であるが、正妻の病が篤く、お菊の母が内内の事は取り仕切る日々。大人の思惑が渦巻く中、二人の少女は案外孤独であり、近づいたり反発したりしながら、それでも互いに唯一の味方として生きる。
また、子供の頃は芝居の楽しさ、煌びやかさしか見えなかったけれど、少女達は既にその裏側も存分に知っている。役者の世界は華やかなだけではない。地代は滞って、座元の内情は火の車であるし、歌舞伎役者は色づとめとも無縁ではない。少女達とほとんど年の変わらないあどけない伝九郎、美しい七三郎。彼らもまた、色子をこなして、役者としての色気を手に入れている。
俗にいう江戸三座。公許の櫓を上げられる小屋は、江戸に三つしかない。江戸に見世物、芝居は数あれど、三座の他は、野天の掛小屋でなくてはならぬのだ。
ここに野心を抱えた一人の若者がいた。<馬場の芝居>の若、源次の夢は、祖父が果たせなかった夢を果たす事。いつか三座のように、芝居町・二丁町で、良い役者を揃えて、大芝居を打つのだ。
彼ら芝居に魅せられた若者たちが、恋に、夢に生き、成長していく。少女だったお菊は、中村座座元のおかみに、お珊もまた揺れる不安定な時期を通り過ぎる。
櫓を上げるのは、江戸中の人たちに恋文をおくるようなもの。彼らの気持ちは、きっと届くはず。ただし、その内幕は、人々に分からなくとも良い。ただただ、芝居を楽しんで貰えれば・・・。しかし、その内部に生きる者達の姿は凄まじい。でも、この凄まじさがあるからこそ、内部に生きる者達の人生が濃密なのだろう。
すっごい面白かったのだけれど、うーん、この感動を上手く言い表せないな~。
残念無念す。
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1 ■一太郎
一太郎
「スタスタスタスタッ~」
佐助
「わ、若だんな、お出かけするなら
おともします。ああ、いけまん。そんなに急いだらつまづきます。それと食後のお薬も飲まないと。
書店の方はやつらに任せておけばいいです。代理店長を決めるらしいので。」
[次回予告]
一太郎書店店長代理編。