Ⅰ森に棲む妖精
フィヨルドランドペンギン
Ⅱ楽園からの追放
キガシラペンギン
Ⅲ ペンギン・ハウスダスト
ハネジロペンギン
Ⅳ 影武者たちの暮らし
フンボルトペンギン属をめぐって
フンボルトペンギン
マゼランペンギン
Ⅴ 風のフォークランド
キングペンギン
イワトビペンギン
ジェンツーペンギン
日本国内でペンギンに会う
折り返しにある、「本書に登場するペンギンたち」より。
フィヨルドペンギン
海岸近くの森に棲む「森の妖精」
キガシラペンギン
群れることがほとんどない孤高のペンギン
ハネジロペンギン
洞窟などで集団で営巣することがある
フンボルトペンギン
日本で一番多く飼育されているペンギン
マゼランペンギン
南米の保護区では人間を恐れないやつも多い
キングペンギン
亜南極の島々に棲む。呼び名通り王様の気品
イワトビペンギン
気性が激しく、人間が近づくと果敢に攻撃してくる
ジェンツーペンギン
性格はとても温和でおっとりしている
本書には、見慣れたものから、少々見慣れないペンギン(頭も黄色、目も金色のキガシラペンギンなんて、ご存知でした?)まで、ふんだんに紹介されている。
私たち、日本人はこの愛らしいペンギンが大好き。日本の動物園・水族館で飼われているペンギンの数(およそ二四〇〇羽)は、世界一なのだそうな。
そんなわけで、著者はペンギンを知ることは、自分たち自身を知る事だと考えた。二種類の興味を同時進行で追いかけることになった著者は、二つの方向からペンギンに迫る事になる。ひとつは、日本人がいかにペンギンに親しみ、愛するようになったのか、その歴史的経緯からのアプローチ(このテーマに沿った取材は、すでにまとめて一冊の本になっているそう:『ペンギン、日本人と出会う』[文藝春秋])。
そしてもうひとつの道筋が、野生のペンギンをめぐるもの。こちらの道筋が、本書となった。
第一章から第三章では、ニュージーランドのペンギンたちと出会う旅について。
第四章は、フンボルトペンギンやマゼランペンギンなど、日本人が動物園や水族館で大量に飼育し、ペンギン人気を支えて来た「フンボルトペンギン属」について。第五章では、フォークランド諸島のペンギンたちについて、記されている。
単純にペンギン可愛い!でも、ペンギンの生態を知る意味でも、どちらでも楽しめてしまう本。イワトビペンギンに似ているけれど、もう少し穏やかに見える、フィヨルドペンギンの可愛らしいこと。何てったって、「森の妖精」だしね。
この本では沢山の写真が見られるけれど、ペンギンもその他の野生動物たちと同じく、自然環境の悪化による影響を受けている。
IUCN(国際自然保護連合)は、ここに出てくるほとんどのペンギンを、レッドリスト*に載せている。
キガシラペンギン:絶滅危惧種
フィヨルドランドペンギン:危急種
イワトビペンギン:危急種
フンボルトペンギン:危急種
ジェンツーペンギン:準危急種
マゼランペンギン:準危急種
*レッドリスト:絶滅のおそれのある生物種の中から、自然保護の優先順位を
決定する手助けとなる
やはり、ペンギン可愛い!、だけでは済まされないのかも。
そして、『ペンギン、日本人と出会う』[文藝春秋]の方も、読んでみたいなぁ、と思いました。何で好きなんでしょうね? でも、私も、勿論、愛らしいペンギンが大好き!