「大きな森の小さな家」/大きな森で暮らしてみたい | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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テレビ放映されていたシリーズ、「大草原の小さな家」の方が馴染み深い方もいらっしゃるのかな。テレビシリーズでは、ウィスコンシン州を後にオクラホマ州へ移るまでの話(『大草原の小さな家』)と、移住後更にミネソタ州へ移るまでの話(『プラム・クリークの土手で』)が基になっているそう(Wikipedia より)。
ローラ・インガルス・ワイルダー, 恩地 三保子, ガース・ウィリアムズ
大きな森の小さな家

さて、今日のこの本は、一連のインガルス一家の物語のⅠに当たる。つまり、テレビシリーズ以前のお話となる。 家の外には暗い怖い大きな森が広がっているけれど、小さな居心地の良い家の中には何の憂いもない。逞しく優しい「とうさん」、料理上手で働き者の「かあさん」に守られた、子供時代の宝物のような楽しい一年間のお話。

目次
1  「大きな森」の小さな家
2  冬の昼と、冬の夜
3  長いライフル銃
4  クリスマス
5  日曜日
6  二ひきの大グマ
7  さとう雪
8  じいちゃんの家のダンス
9  町へいく
10 夏の日
11 刈り入れ時
12 すてきな機械
13 森のシカ

ガース・ウィリアムズによる挿絵もまた大変に美しい。ここに出てくる生活用品に、ぴんとこないこともあるのだけれど、バター作りや丸太のうろを利用した燻製肉の作り方など、この挿絵のおかげで随分助けられる。ただし、鉄砲の弾丸(たま)ごめは、昔も今もいまいちイメージがわかないのだった(挿絵がないせいだと思われる。鉛を溶かして、弾丸を作る所は想像できるのだけれど)。

開拓者である「とうさん」と「かあさん」は、何から何まで自分たちで作らなければならず、その生活力の高さには驚かされる。食料品だって娯楽だって、自給自足の日々なのだ。バター、チーズ、ラードなどを作るのは当たり前のことだし、冬のための食料の備えも当たり前のこと。娯楽だって、とうさんが弾いてくれるヴァイオリンや歌、夜にローラたちを膝の上に乗せながらしてくれるおはなしだけだったりする。一週間の仕事だって決められていて、かあさん曰く、こんな感じ。

「月曜はせんたく、
火曜はアイロンかけ、
水曜はつくろいもの、
木曜はバターつくり、
金曜はそうじ、
土曜が天火(オーブン)しごと、
日曜は休息」

それだけなのに、何だかとっても楽しそうな日々。本日、当地は快晴なのですが、気分としては、雪に降り込められているような時に、読みたい本。

このインガルス一家の物語は、福音館から前半の五作(『大きな森の小さな家』『農場の少年』)が、岩波書店から後半の五作が出版されている(訳者も異なる)。ローラが過ごした日々の困難が、その時代により異なるせいか、はたまた訳者の違いのせいなのか、岩波版も岩波「少年」文庫から出ているのに、後半の作は読んだ当時、福音館のものに比べ、随分大人っぽく感じたものだった。そんなわけで、子供の頃は福音館の前半五作に馴染みが深く、岩波版はあまり読み返すこともしなかった。今であれば、過酷な開拓者の日々も、少しは想像がつくものであるし、こちらも少し読み返してみようかなぁ、などと思った。

 ←こちらは文庫。

そして、今、発見したのですが、訳者の恩地 三保子さんは、クリスティの「杉の柩」 も訳されていたのでした。こちらもまた、好きな本なのです。ブログに書くと、懐かしい本の訳者や出版社などを意識するので、新しい発見があって面白いです。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。