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2005-06-15 07:34:12

「杉の柩」/推理小説

テーマ:ハヤカワ文庫

ミステリーと言えば、やっぱり女王・クリスティクリスティの中でも、私は「灰色の脳細胞」を持つポアロシリーズが好き。今全て手元にあるわけではないけれど、大方のものは図書館で借りて読んだはず。映像化されたものでは、デヴィット・スーシェがぴったりだと思う。まるで本から飛び出したような姿だった(あの口ひげ、あの頭、あの口癖と尊大な仕草!)。

今日はその中のこちら。

アガサ・クリスティ 「杉の柩」 ハヤカワ・ミステリ文庫

ポアロシリーズにも多くの作品があり、この本の中では他のものに比べ、ポアロはそれ程活躍しない(というか、裏で調査を行っている。そして、後半の畳み込む展開は素晴らしいと思う)。そうではあるのだけれど、私はここに出てくる、激しい情熱を胸に秘めた誇り高い「エリノア」が好き。ミステリーなのだけど、最後は彼女にとって良い発見をして、幸せになって良かったなーとしみじみ思う。

Amazonから引っ張った粗筋はこう。
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが…嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。

以下、引用。
ポアロは、感受性の強そうな、知的な面ざし、広い白い額、美しい鼻と耳の型とを目におさめた。美しい線だった。誇り高い、感じやすい人。教養も深く、自制心も強く―まだ何かある―ひそんだ情熱だ。
「わかりますよ。ちっとも気になさることはない。悪夢にとりつかれているような時には、何か平凡なものだけが頼りの綱なんですから。ともかく、平凡てことは一番いいことなんですよ。私はいつもそう思ってますがね」
「過去と未来との間に大きな溝ができることが時にはあるものです。死の陰の谷をさまよったあげく、ふたたび日の光のもとに戻ってきた時には、モン・シェル、新しい生活が始まるのです。過去とはなんのかかわりもない」


ついでにクリスティ、もう一作品。
「ゼロ時間へ」

こちらはポアロミス・マープルも出てこないけど、好きな作品(ポアロシリーズに出てきたバトル警視は出てくる)。

Amazonからの引用。
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作

引き込まれる冒頭部。
「私はね、よくできている探偵小説がすきなのだ。だがね、どれも出だしがいけない!みんな殺人ではじまっておるのだ。しかし殺人というものは終局なのだよ。物語は、ずっとまえからはじまっているのだ。ときによっては、何年もまえからね。ある人々を、ある日、ある時、ある場所へとみちびいてくる、その要因と出来事とで、物語ははじまっているのだ。」
「あらゆるものが、ある一点にむかって集中しているのだ・・・・・・そして、その<時>がやってくると―爆発するのだ!ゼロ時間!そうだ、ありとあらゆるものが、このゼロ時間の一点に集中されている・・・・・・」


著者: アガサ・クリスティー, 恩地 三保子
タイトル: 杉の柩
著者: アガサ・クリスティー, 田村 隆一
タイトル: ゼロ時間へ


しかし私はクリスティーを読み直す度に、新しく楽しめてしまいます。決して新しい発見が!、とかそういうことではなく、犯人を忘れてしまうのですね。いいことなのか、悪いことなのか・・・(きっと悪いことだろうけど)。でも、巧妙な伏線の張り方など見事だなー、といつも思います。そしてほんのちょっぴり入っているロマンスも結構好きだったりします。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

コメント

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1 ■ポアロの中でも

そういや、これは読んでいません。
なんせ数が多いからなあ。
全部そろえるor借りるのも大変です(笑)。

2 ■ポアロ好きです~。

私も結構読みましたよ!灰色の脳細胞万歳!です。
オリエント急行の殺人、ABC殺人事件が好きです。かなり王道ですが・・・。オリエント急行は、最後泣けたなぁ。あと、カーテンの衝撃は今でも覚えています。「クリスティーさん、酷いです。」って思いました。でも好きですけど・・・。
「杉の柩」読んだ気がするんですけど、忘れてます・・・。もう一回読んでみようかな、と思いました。

3 ■>とらさん

おっと、とらさんでも。訳者が結構違うので、訳の仕方でも好みが分かれたように記憶してます。まぁ、それだけ膨大な量ってことなのでしょうか。
ところで、とらさん「俳句ブログ」、タイトルもスキンもいいですね。隠れ家な感じですね♪

4 ■>喋喋雲さん

ねー、灰色の脳細胞大好き!
「オリエント~」は実家に違う版元のがあって、ハヤカワで買い直してないんですよ。確実に読んだはずなのに、内容忘れてる・・・。とほほ。ABCは持ってまーす。

>「カーテン」
クリスティを読み漁ってたときに、ずーっと封印していたのですが、やっぱり最後に耐え切れずに読んだのですよ。で、当時物凄くどよーん、としました。何もここまで書かなくても・・・って。付け髭とかのポアロの衰えが、私は哀しかったです。あそこまで描ききる所が、クリスティ女史の凄味なのかもしれませんけど。

5 ■凄味ですね~。

私も、高校時代司書の先生に、「ポアロが好きなら止めておいた方が・・・。」と言われたんですけど、誘惑には勝てませんでした。哀しいですよね、老いたポアロは。でもその哀しさを描ききるクリスティさんの、作家魂を見た気がします。
でもこの作品、結構好きなのかもしれません。

6 ■はやくも

発見しましたね、つなさん(笑)。
あのスキンが良かったので、ブログを作ったのです(をい)。
句帖にしたのは、手で書くより面倒がないからです(汗)。編集も楽だし。
さて、ポアロですが。
たしかに、作品数が多いからなのかどうか、訳者が統一されていませんね。それでも、訳文が玉石混淆になってないのは、それなりにいい訳者をセレクトしてるんだろうな。
『杉の棺』は今度買ってみよう。
クリスティは、たま~に読むのが良いようです。

7 ■>女性作家ならでは

なのかなぁ。私、桐野夏生さんの「村野ミロシリーズ」も好きなんだけど、これまた「ええっ!ここまで書く?」みたいな感じを覚えております。
「カーテン」は男性作家では、ここまで書かないだろう、ってどこかで見たような気がします。うーん、やっぱり怖いですね。作品としての出来はいいと思うけど。

8 ■>発見!笑

見慣れないものを発見したもので、ついクリックして、おおっ!と。そういえば、母も俳句に嵌っていて、歳時記系統が実家にゴロゴロしていたような気がします。綺麗な本が多いですよね。・・・中身見てないけど。

>ポアロ
もともとは、ahahaさんの所でミス・マープル記事を見かけて、英国料理が気になって前記事の本を借りてきて、クリスティ再読、という流れです。すぐアップする方じゃないので、あれから随分時が・・・。笑
「杉の柩」でもサンドイッチペーストなんかが出てくるのです。日本だとあんまりないよなぁ、と。

9 ■サンドイッチペースト

ああ、これって、パテじゃないですかね。肉とか魚の。
たとえば、レバーパテ、なんてのだと、日本でも比較的簡単に手に入るような。
タマネギのみじんぎりをまぜこんでサンドイッチにしたやつが、私は好きです。うまいんだこれが。
イギリスやフランスだと、そりゃもういろんな種類のパテがあるようです。

歳時記は、また、記事にとりあげるかも(笑)。
しかし、見慣れないものって……。
サイドバーの文字、小さいじゃないですか。よく見つけるなあ、と毎度感心です。

10 ■>そうそう

サケとエビ、七面鳥とタン、サケとサーディン、ハムとタンなどから、エリノアはサケとアンチョビィ、サケとエビをお買い上げです。レバーペーストは出てこなかったんですね、なぜか。

レバーバテに玉ねぎ。やったことないです。今度やってみようかな~。

>見慣れないもの
いや、単に暇なんです。あはは。うろうろっと。

11 ■これはまだ。

私もアガサ・クリスティーは、かなり読んでいるつもりなのですが、この2つは読んでませんね。おもしろそうなので、読んでみようと思います。ちなみに初体験は「そして誰もいなくなった」でした。こわかったな~。

12 ■>まんぷくガールさん

ああ、「そして誰もいなくなった」も怖かったですねえ。
うーん、図らずも紹介したものが、マイナーであったみたいです。汗 面白いと感じて頂けたら、とても嬉しいです。

13 ■TBありがとうございました

読んでなかったみたいです、私。休日の午後、一気に引き込まれて暑さも忘れて読み終えました。
>激しい情熱を胸に秘めた誇り高い「エリノア」
私も好きです!痛々しいほどに自分を律している姿はもう本当に切なかった!
※私もTBさせて下さいな。

14 ■>喋喋雲さん

トラバ返し、ありがとうございます♪
「暑さも忘れて読み終えた」なんて、あちらでも言いましたけど、やっぱり嬉しいです! お気に入りの本を、好きと言って貰えるのは、快感ですね。笑
>自分を律している姿
まさに誇り高き令嬢でしたよね。喋喋雲さんの記事中にもありましたけど、ほんと、ロード医師と一緒にドキドキしながら読みました。

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