坊主本。
「お布施はどこへ消えた?」
井上 暉堂:著
ぶんか社文庫/2008.6.5/571円
日本人は、葬儀または法事・仏事といった人間の死と
関わる分野では、見事に坊主まかせ。
葬儀も法事・仏事も坊主の専売特許だ。
そしてそのことに、まったく疑問を感じていない。
でも「それって、おかしくないか?」
と疑問を感じていませんか?
臨済宗老師でありながら寺を持たない坊主の著者が、
坊主の裏側と本音を大暴露。
<裏表紙より>
著者は、雲水修行を積み、師号を得た仏教者だが、
坊主として寺におさまるのではなく、
「仏教ジャーナリリスト」として生きる道を選んだ人。
坊主の実態を知ってくれ! というような、
どちらかというと現在の坊主批判的な内容。
仏教を愛しているからこそ、今の日本仏教のあり方に
我慢できないのだと語る著者だが、
なんだか、坊主の俗物性をあげつらっている
だけの気もする。
そんな坊主ばかりじゃなく立派な坊主もいると
ことわってはいるが、全ての坊主が「金儲け主義」
「悪」的なニュアンスが感じ取られる。
よくいわれる「悪徳坊主」のイメージそのままの
描写が多く、想像の範疇というか、
今更暴露でもないだろうなとも思うところもある。
「祇園バー」のこを『坊主めくり』と呼ぶ、というくだり。
カウンターには「坊主、舞妓、坊主、芸妓、坊主……
と並んでいるからだとか。
でも「お寺の不思議」とか「お寺の台所事情」など、
お寺制度のしくみとか、檀家との関わりなど、
坊主側の視点で語られているのは、おもしろく、
興味深かった。