シャルリ・エブドの暗殺 | 雷神トールのブログ

雷神トールのブログ

トリウム発電について考える

7日午前11時30分、パリの11区、レピュブリック広場とバスチーユ広場の間、リシャールルノワール大通りとヴェルト路地(alle verte)の角にある、風刺週刊誌「シャルリー・エブド」本社に、眼だし帽で覆面し、黒の防弾チョッキ、カラシニコフ自動小銃で武装した2人の男が、年始の全体会議に集まった、このカリカチュアを売り物とする週刊誌の社長以下著名な漫画家5人、ジャーナリスト5人、さらに、警護に就いていた警官2人の計12人を射殺、8人以上に重傷を負わせて悠々と逃走した。

犯人は乗りつけて路上に放置してあった黒の小型シトロエンで逃走。途中、他の車を奪うと車を乗り換え、ポルトトパンタンから北に向けパリの郊外に進路を取った。警察はヘリで追跡していたが、悪天候のため追跡を断念しなければならなかった。
車で逃走した二人の他にもう一人犯行に加わった男がいるという。

オランド大統領は直ちに現場に駆け付け、「テロ」と断定し、数か月前からフランスが対象となっていた複数のテロが、防止できず表現の自由の象徴的存在だった雑誌社が残虐な暴力の犠牲となったと談話を発表した。20時のニュースの時間にも、エリゼ宮から全国民に向けて、「自由と民主主義」を守るためには一致団結が必要だと呼びかけた。


シャルリ1

「社会契約説の上に築かれた西洋世界に対する挑戦」というあるテロ専門家のコメントが印象深かった。

寛容と自由、人権を根幹に置く西洋社会への「暗黒主義(obscurisme)」の挑戦という言葉も再三使われた。

18世紀の啓蒙主義からフランス大革命を経て西洋に近代社会が実現したのだが、啓蒙主義の時代をフランスでは「光明の世紀(siecle de lumiere)と呼んでいる。オプスキュールという言葉は、光とか「明るい」という言葉に対立する暗い暗黒の世界を意味する。聖書にはすでに、この世界の創造にあたって光と闇とがあり、二つが闘った結果「光が勝った」「闇は光に勝たなかった」とあるではないか。「光と闇」「善と悪」の二元説を唱えたのはイランや東洋の哲学と宗教であり、西洋のキリスト教社会は中世からこの二元説を異端として「カタリ派」などを弾圧した。

「シャルリー・ヘブド」のカリカチュアには日本の相撲を題材に日本人の我々から見ると、古くから大切にして来た伝統文化を揶揄しあざ笑うかのようで、正直他民族の心情を逆撫でされたような思いを抱くことがあった。

「われわれは極端な表現をすることがあるが、決して悪意ある表現をしたことはないよ」

殺された風刺漫画家の一人が生前のインタヴューで語っていたが、度重なる脅迫にも、彼等は信条とする時に極端に思える風刺漫画を変えようとはしなかった。国はこの雑誌社を保護するため常時二人の警官を入口に配置し警戒に当たっていた。そのうちの一人が社内に侵入したテロリストから漫画家を守ろうとして自動小銃の銃弾に倒れた。「戦争用の銃で襲撃してくるテロリストにピストルでしか対応できない警官が可哀想だ」と市民の一人の男性がコメントした。カラシニコフは中東で1万円そこそこで手に入る。

こうした、野蛮行為に対抗するためには国民は一致してテロに負けない意志を示さねばならない。エリゼ宮、国会、はじめ主要な官邸で半旗を掲げ、今日から3日間、フランスを「喪の日」とする。テロへの警戒態勢を最も厳しいグレードに上げ、500人の機動隊、軍隊から成る警備兵で、学校、宗教施設、公共交通機関、を警備する、

フェイスブックはじめSNSを通じて市民が自発的に集まり、パリではレピュブリック広場に数万人が、リヨン、ボルドー、トルーズなどの市の広場に、それそれ数万人が「Je suis CharliI am Charli と書いた紙を掲げ、プレスカードやフェルトペンを表現の自由のシンボルとして掲げ静かな意思表示をした。


シャルリ2


現代の戦争は複雑な様相を呈している。

表現の自由、個人の自由を守るために個人情報が監視されるなど個人の人権を侵害されることを余儀なくされる。

パリという大都市に1千万もいる市民に混じって殺戮の準備をしているテロリストをどうやって識別し監視できるのか?
確定してはいないが犯人のうちの2人はパリに住んでいたという。

イスラム教とは関係が無いと宗教関係者は言う。この度も、殺害を実行したあと犯人は「アッラーは偉大なり」「チャリーエブドを殺してやった」と叫んで逃走した。

犯人の行動は極めて冷静でプロのレンジャー部隊のような訓練された形跡が認められる。雑誌社の防犯ドアをやすやすと開け、会議に集まっていたジャーナリストに自動小銃を乱射した。逃走する際も負傷して路上に倒れていた警官を目撃者の証言を封じるために冷酷無比に通りすがりに
頭に銃弾を撃ち込み殺害した。

フランスはアメリカと共にアフガンに兵士を送り、マリの聖戦派と戦闘し、自由主義を守るために軍隊を派遣している。イスラム国や聖戦
、原理派の敵対国と指定され、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダと並んで数年前からテロに狙われていた。昨年秋には、これらの国の白人はだれでも殺害して良いという指令が出た。

集団的安保を掲げる阿部内閣はアメリカとのより密接な軍事同盟の関係を結ぶ。日本は既にイスラム国の敵として攻撃の対象国に上げられている事は間違いない。

  ペタしてね