○何度か書いたが、私は父を三月末に亡くした。
○ここまでは誰もが迎えなければならない宿命である。だが、以下に記すことは誰もが経験しなければならないというわけではない。親を看取った子のうち、喪主をつとめる子、あるいは世帯主を亡くした子が迎える面倒事である。
○ここで前もって記しておくことがある。私はマンションを買って両親を引き取った身である。ゆえに、物件の名義人は私であり、住宅ローンも公共料金も私が払っている。ただ、世帯主が父であるというだけである。
○まず、亡くなったことに関連して住民票や戸籍謄本をとらなければならなくなる機会が増えるのだが、世帯主が亡くなるとマイナンバーカードを使ってコンビニで住民票や戸籍謄本をとることができなくなる。
○ではどうする必要があるかというと、市区町村役所、あるいは支所。ここで世帯主変更手続をしなければならなくなる。手続を終えてようやくマイナンバーカードでのやりとりが復活できる。
○さらに親が年金生活者であった場合は年金に関連する手続もしなければならなくなるのだが、これが甚だしい順番待ち。具体的に言うと、父が亡くなったのは三月末なのに、年金手続が六月初頭まで埋まっていて、それまでの間は何もできない。
○父は後期高齢者であったため、父の使っていた健康保険証を区役所に返還するのに高齢介護課まで出向かなければならなくなる。ただ、出向いてもまだ返還は終わらない。返還しますと宣言するだけで、実際に返還するのはこれも六月ぐらいになるであろう。
○意外な落とし穴が、公共料金。先に記した通り、物件所有者は私であるが世帯主は父であったため、水道も、ガスも、電気も、電話も父の名義になっており、私はただただ銀行口座から引き落とされているのを定期的に確認するだけになっていた。
○その名義変更が手間取った。もっとも、名義変更に合わせて銀行口座からの引き落としからクレジットカード払いに変更したいという思惑もあったことも踏まえなければならない。
○まず、さいたま市水道局は比較的早く完了した。完了したと言っても手続開始は三月中であったのに、完了したのが今月に入ってからであるから絶対的な基準で言うと早いとは言えないのだが、相対的には早く終わった。
○まだまだなのが東京電力と東京ガス。一応は完了したはずなのに、まだ銀行口座からの引き落としになっている。
○論外とするしかないのがNTT。遅すぎる。話にならない。名義人死亡に関連しての権利引き継ぎであることは判明しているのに、もっと言えば毎月引き落としている口座名義人は私なのに、五月に入ってもなお父の名前のままであり続けていた。
○想像以上に面倒なのが、死亡保険。担当者が我が家に来るのに父が亡くなってから一ヶ月以上を要した。それでもまだ支払われたのだからまだいいが、これを契機として私宛にしつこく保険の営業を掛けてくる。言っては何だが、こっちは銀行で働くようになる前は15年間に亘って保険会社で働いていた人間だ。勧めてきている保険の中身ぐらいわかる。その人間が断っている保険をなぜしつこく売り込みに来る。
○オオゴトになっているのが父の銀行口座。封鎖されたのはまだわかるとして、封鎖解除に行政書士さんにお願いして色々と手続をとって貰わねばならなくなっている。
○そして、亡くなった父がやらかしてくれていたのが、不動産、あるいは負動産。実は北海道に土地を持っていたことが判明して、その土地の相続が、まあ、面倒くさい。行政書士さんに丸投げしたからまだマシだが、それでも面倒くさい。
○マイナンバーの導入で期待していたことの一つとして、その人が亡くなったら自動的に役所も、公共料金も、保険も、銀行口座も、全ての手続きが完了するというのがあったのだが、それはなかった。
○何となくだが、まだまだ他にも何かが出てきそうな気がする。