JALへの思い | 聖地への旅 国立市の旅行会社カイラス

聖地への旅 国立市の旅行会社カイラス

アジアを中心に聖地への旅を案内しています。
小さいけど、心のこもった企画をさせていただきます。

旅行関係の仕事に就いている関係上様々な航空会社を扱います。


それぞれ方面別に各航空会社の利点、不利点もありますし、偏見が入らないよう、客観的に


目的地や周遊経路、航空スケジュール、予算によってお客様の目的にあう航空会社を


ご案内するように心がけています。

 


その中でもJALだけはどうしても個人的な思いがあります。


日常生活で買い物やレストランなどを利用したときに、受けたもてなしや態度でお店や店員の印象が頭に残り、


また使いたい、担当してくれた人を指名したい(またはその逆)と感じる事はあると思います。


私は10年程前にお客として乗った飛行機で「それ」を感じました。

 

 

 

 

 


10年程前、勤めていた会社を辞めた後、1ヶ月間のヨーロッパの旅に出ました。


利用したのはJALで35日間有効の変更不可の航空券。


旅行期間中は寝込むことなく元気でしたが、帰国日になって朝から調子が悪く、夕方の出発時刻になるころには


寒気はするし、力は入らないと完全に風邪の兆候でした。


乗ってしまえば後は到着を待つだけと最後の力を振り絞って友人に見送られながら空港へ向かい


チェックインをして機内に1人乗り込みました。


席もまばらに開いていたのでお願いして誰も座っていない3人がけの席へ移してもらい離陸の時だけ、


シートベルトをして、着用サインが消えると肘掛を上げてシートに横になりました。


熱が出てきたらしく、頭がボーっとします。氷枕を作ってもらいそれを頭の下におき、眠りにつきました。


機内食が運ばれきましたが食欲も無かったので断り、そのまま眠り続けました。


何時間くらいたったのでしょうか。ふと目が覚めるとだいぶ体のだるさが抜けてきています。


おなかも少しすいてきましたが、まだ機内食を食べる気分ではありませんでした。


でも何かおなかに入れたいと思い、ちょうどそばを通りかかった外国籍クルーに訊ねると、


貴女の分の機内食でしたすぐお持ちできますマニュアルどおりの答え。


そこに、日本人クルーが駆けつけファーストクラスではご飯を炊いているので、


おかずはないけれどご飯にふりかけでよかったら用意できますと気を利かせてくれました。


病み上がりの私が欲しているもを直ぐに察してくれたのです。1ヶ月の海外旅行の帰り道です。


白いご飯ほどうれしいものはありません。


そのときは、ファーストクラスってこんな贅沢してるんだなどとうらやむ余裕などまったくなく、


目の前に出された湯気の立っている白いご飯を有難く頂きました。


この食事以外にも気にかけてくれて、飲み物どうですか?氷枕代えますか?


毛布もっといりますかと細やかな気配りを見せてくれました。


日本に到着するまでには熱もすっかり下がったらしく、力もでてきて足取りしっかりと搭乗口へ向かいました。


ターンテーブルで荷物を待っていると、お世話してくれた日本人クルーが私のところへ足早にやってきます。


どうしたのかと思ったら、これお客様のものではありませんか?


と渡されたものはなんと私の財布。何かの拍子で座席の下に落としてたらしいのです。


財布の中の免許証で私のものだと確信したので急いで追いかけてきてくれたのです。


パスポートは手に握り締めていましたが財布のことはすっかり意識から抜けていました。


彼女が届けてくれなければ帰りの電車の切符を買うときにようやく財布が無いことに気づき、


どこでなくしたかまったく分からないまま立ち往生して空港から自宅へ帰ることもできなかったと思います。


何度も日本~海外を往復していますが、このときほど、JALを利用してよかった、


おかげで具合悪いながらもこんなにも快適に過ごせたと感じたことはありません。


実は届けてくれた財布の中には「お大事に」と書かれた手紙も入っていたのです。


接客の心得が徹底していると感心したのと同時に感謝をしてそれ以来のJALびいきです。


彼女の名前は今でも覚えています。


永野さん。あの時は本当にありがとうございました。

 


残念ながらJALはついに会社更生法を申請しました。


それでも私が受けた「JALのおもてなし」は私の心にいつまでも残していきたいと思います。