オーシャンズ12(4点) | 日米映画批評 from Hollywood

オーシャンズ12(4点)

採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2004年12月13日(映画館)
主演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ジュリア・ロバーツ
監督:スティーブン・ソダーバーグ


 前作「オーシャンズ11 」の続編として、前作の豪華キャストはそのままに、更なる豪華キャスティングとしてキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセルを加えて3年ぶりにスクリーンに登場。


【一口コメント】
 前作以上に、ウィットに富んでいるものの、窃盗レベルは前作以下です。


【ストーリー】
 3年前、ダニー・オーシャンは10人の仲間を集めて、ラスベガスのカジノの金庫から1億6000万ドルの現金を盗みだした。そのカジノのオーナー、ベネディクトが10人の仲間の元を訪れ、それぞれに対して盗んだ金を利子をつけて返せと言い寄る。
 再び集結した11人。ベネディクトに返金するために今度は舞台をヨーロッパに移し、アムステルダム、パリ、ローマと3都市で盗みの計画を企てるが、彼らの前に立ちはだかったのがヨーロッパの大泥棒Night Foxとユーロポール(ヨーロッパ警察)の女性エージェント。しかも、その女性エージェントは10人の仲間のうちのある1人の元恋人。計画の途中で、仲間のうち8人が捕まってしまう。残された3人は12人目の仲間としてオーシャンの妻であるテスを引き込む―――。

【感想】
 細かなあらすじは書けないが(それを書いてしまうと、この映画は見る価値がまったく無くなる・・・)、ストーリーとしては、はっきり言って前作のがマシ(前作もまぁ、悪くはないけど、良くもなかったが・・・)。
 まず、盗んだ相手から返せと言われて、返すという設定がありえない(しかも利子をつけて、って・・・)!
 さらに、泥棒の恋人がユーロポールのエージェントというのもありえない!
 そして、最後に続編であるにも関わらず、前作の窃盗シーンよりも面白いシーンがない。


 前作のベガスの金庫から盗み出す計画はよくできていると思った(矛盾するかもしれないが、「ルパン3世」を見て育った自分としては、物足りないといえば、正直物足りなかった・・・)が、今回の作品は大きな盗みが1回ではなく、複数回になってしまったからか、一つ一つの盗みがショボイ。しかもそれらがすべて「ルパン3世」か何かで見たことのあるような手法で新鮮味がなかった。
 良い言い方をすれば、お洒落な盗み方とも言えなくないが、この豪華キャストでそれじゃ、どうなの?と言わざるを得ない。

 盗みに関してはレベルが下がっているが、前作以上にコメディー要素が強く、ウィットに富んだ内容になっている。中でもジュリア・ロバーツ扮するテスがある有名人の演技をするシーンがあるのだが、そこはかなり笑える。しかもそのシーンのためにクレジットには載っていない超大物俳優B.W.が登場するのには驚いた!!

 キャストで言えば、フランスの俳優ヴァンサン・カッセルが良い味出していた。ヨーロッパの大泥棒の役を演じているのだが、「クリムゾン・リバー 」で見せた熱い刑事役とは真逆の演技で、オーシャンズ12に負けない個性を放っていた。また、マット・デイモンも良い味出していた。「今回は重要な役割をくれよ!」と言ったり、「やっぱり駄目かも」と言ったり、前作の要素(情けないキャラ)を残しつつも、「ボーン・スプリマシー 」などで主役を張ってきただけの演技を十分に堪能させてくれる。
 そして何よりもキャサリン・ゼタ・ジョーンズ!今までに見てきた彼女の役柄の中で一番のはまり役だと思った。すごく知的で、かつ洗練された"上品"な女性という役柄。今までにも似たような役柄を演じてきてはいたが、"上品"というよりも"魅惑"というフレーズが似合いそうな役柄が多く、"上品"というのは今回が初めてではないだろうか?正直、自分もこういった役柄が似合うとは思っていなかっただけに、その当たり役にとても驚かされた。

 全体を通して見ると、前作と比べると、窃盗に関しては間違いなくマイナスだが、キャストに関してはプラスといった感じで、どっちもどっちと言ったところでしょうか?