この「しりとり物語9」というテーマのBlogでは、2017年1月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり御籤(みくじ)」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。


しりとり御籤~第11話「バリウム」

すっかり見慣れた画面の中で、恵比寿様が魚を釣り上げる。抱きかかえられたその魚には、「バリウム」と書かれていた。

「バリウム・・・ですか。これ、病気(やまい)じゃなくて、転居(やうつり)の結果ですよね?」
「ザッツライト!その通りっ!転居はバリウムっ!」

一体、どういう意味を持つ言葉なのだろう?

「こりゃ、金銭面へのお告げじゃな。」
「そうなんですか?転居なら、時期とか方角とか、色々あると思うんですけど。」
「その辺りは特に問題にならんということじゃ。」

バリウムが金銭面を表しているのか?確かに、健康診断にはお金がかかるし、オプションを追加するほど出費も増える。何かしら、そういったことだろうか?

「では、お告げに参りましょう!一括払いになさいっ!」
「い…一括払い?!物件をですか?」
「さようっ!」
「そりゃ無理ですよ!っていうか、賃貸という選択肢はないんですか?」
「お兄ちゃんの懐事情が購入を許さないならば、賃貸を選びなされ。」

今までも賃貸住宅に住んできている。だから、家を買うという発想はなかったが、「もしも買うならば一括払いにしろ」ということのようだ。

「分かりました。まあ、集合住宅にせよ、一軒家にせよ、買えるほどの蓄えはありませんから、引っ越すとしても、また賃貸ですけどね。それより、なんでバリウムが一括払いになるんですか?」
「転居と掛けまして、バリウムと解きますっ!その心は、苦しくても『げっぷ』はいけませんっ!」

こういう切り口だったのか…。相も変わらずうまいことを言うものだ。

「では、続いて参りましょう!病気(やまい)でございます。」

普通に考えればここで「バリウム」だろうが、直接的な言葉を引いた方が、より不安を感じたように思える。とは言え、このおみくじはおじさんの話を聴くまで意味が分からない。俺は無心でタブレットに指を伸ばした。

(つづく)

この週の採用ワード
虫歯(むしば)