• 01 Dec
    • しりとり山の2匹~第22話「マンモス博士(まんもすはかせ)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第22話「マンモス博士(まんもすはかせ)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 「ハイハイ、今日も一日お疲れさん!」「田吾作さん、お疲れ様でした。」「どっこいしょっと。食べるか?ビスケット。」「やったぁ!いただきますっ!」「まったく、たらふく晩ご飯を食べたというのに、若いもんは食欲旺盛じゃのう。」 田吾作が、居間のテーブルに置かれた丸い缶の蓋を取った。それぞれに手を伸ばしては、ビスケットをつまむ。テレビは、地球の歴史を紐解く番組「46億才の星」を映していた。 「すごいもんよのぉ。」「何がですか?」「地球の歴史を調べている人々じゃ。誰も見た者がおらん昔の地球を、我々に見せてくれとるんじゃから、大したもんじゃわい。」 コンピューターグラフィックにより再現された、300万年前の様子が映し出されている。長い牙をもった大型動物が、のそりのそりと歩いていた。 「はぁ~!畑仕事の最中に、こんなのが出てきたら、ひとたまりもないのう。」 魑魅が驚いて尋ねる。 「こんな大きな動物が出るんですか?」 田吾作が眉を潜めて尋ね返す。 「出たらどうするよ?」 ビスケットを持った手が、口の少し手前で止まった。田吾作が笑う。 「あっはっはぁ!心配するでない!この動物はもう地球上におらんよ。」「いないんですか?」「ああ、おらん。これはマンモスと言ってな。気候の変化によって餌となる草木が減ったとか、人類の狩猟によって絶滅したとか、伝染病が蔓延したとか、まあ色んな説があるようじゃが、今はもうおらんよ。」 ホッとした魑魅は、持ったままになっていたビスケットを口に運ぶ。 「田吾作さんはマンモスに詳しいんですね。」「何じゃ、観ておらんかったのか?先週のこの番組で、マンモス博士が言っておったわ。ただの受け売りじゃよ。」 田吾作はお茶をすすると、話を続けた。 「温故知新。」「オン…コチシン?」「おんこ、ちしんじゃ。古きを温ねて新しきを知る。ワシら人間は、今こそ過去に学ぶべきじゃ。とは言え、簡単なことではない。自分の経験したことしか、本当には感じ切れんからのう。その結果、人間は同じ過ちを繰り返して来ておる。世界をより良くするには、在りし日の声に心から耳を傾けねばならん。」 そう言って、田吾作はビスケットの缶に手を入れた。 「ん?何じゃ?空っぽか?」「あ。」 魍魎が、ちょうど最後の一枚を口に入れたところだった。 「在りし日のビスケットに想いを馳せて、そろそろ寝るとするかのう。」 (つづく) この週の採用ワード 蝉時雨(せみしぐれ)

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  • 27 Nov
    • 2016.11.21 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 いよいよ本格的な冬の空気がやって来たねぇ。 秋の寒さとは全く種類の異なる、冬ならではの寒さ感じられるよ。 普段はあまり雪が降らない地域でも、降雪があったようですので、皆様、くれぐれもお気をつけくださいませ。では、11/21のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年11月21日(月)のお題】「つなぐ」※11/21が「インターネット記念日」だったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「マドンナリリー」さん 【グランプリ作品】つ つもる話しなんて、 な なんも無いから、 ぐ ぐずぐずしてないで早く帰って ※これほどハッキリと言われる前に、気持ちを察して帰れば良かったのだがねぇ。「なんも」という北海道らしい表現から、生活感が溢れているよ。 【五十音グランプリ賞品】クリップ。 写真右のイメージが、このプレゼントを選んだ理由でございます。 このように繋ぐためのものではございませんが、暮らしのお役に立てば幸いです。 【2016年11月28日(月)のお題】「ことに」※1880年11月28日に開業した北海道初の鉄道「官営幌内鉄道」の駅名「琴似」から。 現在のJR函館線にも琴似駅はあるわけで、改めて歴史を感じるね。では、例文に参りましょう。 こ 凝りすぎた作りに と 戸惑いを隠せない に 忍者屋敷の住人たち 「敵を欺くには、まず味方から」の失敗例だね。(笑)では明日も、皆様からの個性豊かな作品群を、楽しみにお待ちいたしております。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】つ 強がりと な 涙が告げる ぐ グッドバイ 「グッド・バイ・マイ・ラブ / アンルイス」

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  • 24 Nov
    • しりとり山の2匹~第21話「勾玉(まがたま)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第21話「勾玉(まがたま)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 翌日から早速、2匹の新しい暮らしが始まった。最初のうちは、腰を痛めた修一の指示で、重い荷物を運ぶことがほとんどだったが、徐々に色々な仕事を任されるようになっていった。 「今日はミニトマトの収穫をやってみるか?」「はい!」 修一の手本を見ながら、慎重に作業をする。 「こうやってヘタの上にハサミを入れて、1粒ずつ丁寧に取るんだ。じゃあ、これとこれをやってごらん。」 2匹とも、真剣な眼差しでハサミを入れる。 「取れました!」「うん、上手いぞ!じゃあ、それは食べて良いよ。」「え?食べて良いんですか?」「ちょっと形が崩れているだろ?はね物と言ってね、出荷できないんだ。」 2匹は不思議そうな顔をした。 「俺だったら、食べられれば何でも良いな。」「見て見て、魍魎君。僕が取ったのは、何かカッコイイよ。」 修一が大笑いする。 「あっはっは!君たちは面白いなぁ。そうか、カッコイイか。」「はい。くるんと曲がって、シュッとなってて。」「そうだな。勾玉みたいだな。」「勾玉?」 修一はポケットからスマートフォンを取り出し、勾玉の画像を検索した。 「ほら、これだ。似ているだろ?」2匹は修一の手の中を覗き込む。 「本当だ!これなんて色もソックリだな。」「じゃあ、勾玉トマトって名前で売り出したらどうですか?」「勾玉トマトか。そりゃ良いな!」 そこに田吾作が現れた。 「何じゃ。楽しそうじゃのう。」「父さん。魑魅君がこのトマトを勾玉トマトって名前で売り出せば良いんじゃないかって。」「ほう!そういう発想はなかったのう。曲がったままのマガッタマトマトじゃな。」 修一は苦笑いを浮かべた。 一日の仕事を終えると、順番に風呂に入り、全員揃って夕食をとる。2匹が運んだ液晶テレビを見たり、他愛ない談笑をしたりして、就寝時間を迎える。 「魍魎君、まだ起きてる?」「ああ。」「僕たち、この家に来て良かったね。」「そうだな。一生懸命働かなきゃな。そういえば、修一さんが持ってたスマートフォンって、あれどうなってるんだろうな?」「…。」「魑魅?」「…。」「ったく、話し掛けといて先に寝たのかよ。」 その様子を、赤い光が空から見下ろしている。 「魑魅さんも魍魎さんも大丈夫そうですね。ヤマヌシ様にお伝えいたしましょう。」 しりとり山に向かい、イロリが秋の空を飛び去った。 (つづく) この週の採用ワードマンモス博士(まんもすはかせ)

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  • 21 Nov
    • 2016.11.14 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは! 「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 既に月曜日になっておりました。 Blogをお待ちくださっていた皆様、お待たせして申し訳ない!では、11/14のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年11月14日(月)のお題】「そのて」※ever*greenさんのCDがプレゼントだったので、曲名の1つ「その手。」から。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「レイチェル」さん 【グランプリ作品】そ そっとの 乗っけるて てっぺんに※激戦を制したのは、シュール系の作品だったよ。こういった短く、かつシュールな作品は、久々にお目にかかったねぇ!出来そうで出来ない、センスの問われるジャンルでございます。 【五十音グランプリ賞品】ever*greenさんのニューアルバム「home」。 いやはや、ever*greenさんに「五十音グランプリ受賞者様」とお書き頂き、大変に有り難く存じます。 【2016年11月21日(月)のお題】「つなぐ」※11/21が「インターネット記念日」だから。 1969(昭和44)年11月21日に、インターネットの元となった「ARPAネット」というものの公開実験が、カルフォルニア大学ロサンゼルス校・スタンフォード研究所・カルフォルニア大学サンタバーバラ校・ユタ大学の4か所を結んで開始されたことにちなんでの記念日だそうだよ。では、例文に参りましょう。 つ ついこの間のことが な 懐かしく思えるほどに ぐ グングンと進む技術の世界。 まさしく日進月歩でございますな。 では、本日も皆様からの個性溢れる作品群を楽しみにお待ちいたしております。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】そ その先に の 残る想いが て 手の中に 「その手。 / ever*green」

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  • 17 Nov
    • しりとり山の2匹~第20話「トンボ玉(とんぼだま)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第20話「トンボ玉」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 2匹はキョトンとして、男性を見つめる。男性は言葉を変えて伝えた。 「うちに一緒に住んで、ここで仕事もする。どうだい?」 ようやく魑魅が返事をした。 「ここに住んで良いんですか?」「君らさえ良ければ、うちは大歓迎だよ。」 今度は魍魎が問い掛ける。 「仕事って何をするんですか?」「うちは代々、この土地で農家を営んでいるんだ。冬場もビニールハウスで野菜の栽培や苗作りをしているんだけど、今年は人手が足りなくなりそうで、ちょうどアルバイトしてくれる人を探してたんだ。」 流石の魑魅も答えに悩んでいた。渡りに船とは言え、初めて接した人間と一緒に暮らすという決断は、決して容易いことではない。だが、普段の傾向に反して、魍魎は乗り気だった。 「おい、魑魅。こんなに有り難い話はないだろう。」「でもさぁ、僕ちょっと不安だよ。」「行き先がない方が不安だろ。これも何かの縁だ。お願いしようぜ。」 魑魅は少しだけ考えたが、魍魎の言葉に従った。 「うん。魍魎君が言うなら大丈夫だね。それに、ビスケットも食べられるし。」 2匹の会議が終わったことを確認すると、男性が口を開いた。 「この話、受けてもらえるかい?」「はい、お世話になります。」「はい、よろしくお願いします!」「ありがとう!助かるよ。じゃあ、改めての自己紹介だな。俺は川口修一。こっちが妻の千代美。そして…。」「修一の父、田吾作じゃ。お2人さん、よろしくな!」 続けて、2匹が自己紹介をする。 「俺は魍魎です。」「僕は魑魅と言います。」 田吾作が笑いながら言葉を返した。 「魍魎に魑魅か!こりゃ強そうなバイトさんじゃのう!」 すると、千代美が棚から赤い和柄の箱を取り、2匹の前に置いた。 「魑魅君に魍魎君。うちで働いてくれる人には、私からプレゼントを贈っているの。この中から好きなものを1つ選んで。」 千代美が箱の蓋を取ると、そこには沢山のトンボ玉が入っていた。 「うわぁ!綺麗!これ、何ですか?」「トンボ玉よ。うちで働いてくれる人たちは、家族みたいなもの。その証として、プレゼントしているの。主人は興味ないみたいだけど。」 修一が苦笑いを浮かべる。 「ねえ、どれにする、魍魎君?あ、僕、これが良い!」「お前、訊いておいて自分が先に決めるのかよ。」「だって、お月様みたいなんだもん。」 その言葉を聞いて、魍魎は群青色のトンボ玉をつまんだ。 (つづく) この週の採用ワード まが玉(まがたま)

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  • 14 Nov
    • 突然ですがライヴ情報です♪

      小樽の「Live&Studio CRU-Z」さんで行われる岡本定義さん、近藤智洋さんのライヴに、オープニングアクトとして出演させて頂ける運びとなりました。 "俺たちだけの旅~小樽編~" 日時: 2016年11月19日(土) Open17:30 / Start18:00 会場: Live&Studio CRU-Z(小樽市稲穂3-15-13) 出演: 岡本定義(COIL)、近藤智洋(GHEEE,The Everything Breaks,ex.PEALOUT) Opening Act: MOCK、おがわとーる チャージ(ドリンク別)予約 ¥3,000 / 当日 ¥3,500 (問)090-2813-7757 イガラシ (19:00~22:00) ご予約はcru-z@d.vodafone.ne.jpまで ※私、おがわとーるもご予約をお受けいたしますので、お気軽にお申し付けくださいませ。 久々にCRU-Zのステージで演奏出来ることを、とても嬉しく、そして楽しみに感じております。 尚、ご入場の際に「おがわとーるを観に来ました」と仰って頂きますと、ちょいと良い事がございますので、恥ずかしさを捨てて、是非とも私の名前をお叫び下さいませ。(笑)直前でのお知らせとなりましたが、皆様のお越しを心よりお待ちいたしております♪

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  • 11 Nov
    • 2016.11.7 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 ここ小樽では、紅葉の途中に雪が降り、珍しい景色が広がったよ。 では、11/7のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年11月7日(月)のお題】「ちえば」※11/7が「知恵の日」」だったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「マドンナリリー」さん 【グランプリ作品】ち 違いが解る男、 え 越後屋の、 ば 番頭さん ※何と頼りになる番頭さんでございましょうか。さすがは越後屋を守る男だけのことはありますな。それでいて、声に出して読むと思わず笑いが込み上げる作品です。 【五十音グランプリ賞品】知恵の輪。 比較的ストレートな発想から選んでみたよ。 ヒントも付いているようなので、ご安心くださいませ。 【2016年11月17日(月)のお題】「そのて」※ever*greenさんのCDがプレゼントなので、曲名の1つ「その手」から。 とーるさんも共演された事のあるミュージシャン「ever*green」さんが、先日、大阪にて20周年ライブを行なったそうなのだが、そのライヴを観に行かれたラジオネーム「千歳の高橋」さんから、「五十音グランプリ 受賞者様」と書かれたever*greenさんのサイン入りCDが、FMおたるに送られて来ておりました。(千歳の高橋さん、ever*greenさんのCDお買い上げ、誠にありがとうございます。by おがわとーる) ということで、今回はプレゼントはじめに有りきのお題として、ever*greenさんの曲のタイトルを選んでみたよ。 では、例文に参りましょう。 そ そりゃ20周年ですもの の ノリノリのライブで て テンションも上がったことでしょう ライブの景色を描いてみたよ。では今週も楽しくお気軽に一生懸命ご参加くださいませ! 【この週のお題を使った五七五曲紹介】ち 小さいが え エッヘンどうだ ば バケラッタ 「オバケのQ太郎」

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  • 10 Nov
    • しりとり山の2匹~第19話「ビスケット」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第19話「ビスケット」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 車は街を離れ、山道を進む。しばらく行くと、一軒だけぽつんと立つ家が見えた。 「あれだ。あの赤い屋根の家。」 玄関の前に車を着けると、家から女性が出て来た。 「お帰りなさい。あら、この子たちは?」「俺の救世主だ。途中で腰をやっちゃってよぉ。」 魑魅が小さく挨拶をする。 「こんにちは。」 それに合わせて魍魎が軽く会釈をした。 「主人がお世話になりまして。ありがとうね。」 トラックの荷台から、液晶テレビを降ろし、家の中へと運び込む。 「おい、魑魅、よそ見すんな!」「あ。ごめん、魍魎君。でも僕、人間の家に入ったの初めてなん…」「バカ!俺たちは人間だ!」「あっ…そうだった。」 無事にテレビを運び終えると、テーブルにお茶とお菓子が用意されていた。 「せめてものお礼に、ゆっくりして行って。」「やったぁ!魍魎君、いただこうよ。」「おいっ…すみません。ありがとうございます。」「あ、すみません。ありがとうございます。」 2匹はお茶をすすり、ビスケットに手を伸ばした。 「美味しい!これ、何ですか?」「君、大袈裟だなぁ。ただのビスケットだろ?」「ビス…ケット?」 魍魎が、黙れと言わんばかりに魑魅の脇をつついた。だが、その魍魎も、あまりの美味しさに手が止まらない。 「君ら、気持ちが良いなぁ!」「そうね。ビスケットとお茶くらいで、こんなに喜んで貰えるなんて。」「まだあっただろ?お土産に持って行ったら良い。帰りは送って行くから心配するなよ。君ら家はどこだ?」「しりとり…。」 そう言いかけて、魑魅は黙り込んでしまった。しりとり山にもう帰る場所はない。言葉に詰まり、魍魎の方をむいたが、魍魎にも返事の言葉は無いようだった。 「もしかして、君ら…家出でもして来たのか?」「ちょっとあなた。初対面なのにそんな事言っちゃ失礼よ。」 ようやく魍魎が口を開いた。 「今、住むところを探しているところです。」 それが精一杯の返事だった。すると、2人は顔を見合わせ、何かを思いついたような表情をした。 「父さん、いるか?」「ええ、2階にいるわよ。」「父さ~ん!ちょっと降りてきて!」「おう!何じゃ、今行くぞ。」 遠くから返事が聞こえた。ミシミシと階段を降りる音が近づく。 「どうした?お客さんか?」「ああ、ちょっと世話になってな。それより父さん、例の件、彼らにお願いしたらどうだろう?」「お前が良いならワシは構わんが、彼らにも都合があるじゃろう。」 男性は2匹の方に向き直ると、こう切り出した。 「君ら、うちに住み込みで働かないか?」 (つづく) この週の採用ワード トンボ玉(とんぼだま)

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  • 06 Nov
    • 2016.10.31 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 さほどの量ではないまでも、今日の小樽は積雪と呼べる景色になったよ。 いよいよ冬の到来かな?では、10/31のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年10月31日(月)のお題】「おかし」※10/31が「ハロウィン」」だったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「マドンナリリー」さん 【グランプリ作品】お 折り入って御願いが御座います。 か 可愛い子には旅をさせろと申すではありませんか。 し 資金援助を申請致します。 ※ここ最近の作品の中でも、最もボリューム感のある作品ではなかろうか。「お願い」という入り、問題提起の2行目、そして現実的ながら仰々しさ故にクスリと笑いが溢れる締めにより、しっかりと物語が構成されているね。 【五十音グランプリ賞品】ハロウィンのマスキングテープ。 あまりにもハロウィンにちなみ過ぎると、出番が1年待ちになってしまうので、いつでも使えそうなマスキングテープを選んでみたよ。 【2016年11月7日(月)のお題】「ちえば」※11/7が「知恵の日」だから。 1988(昭和63)年、朝日新聞社さんが「朝日現代用語 知恵蔵」を発刊した際に制定したそうだ。 そこからの発想で、親知らずの別名、「知恵歯」をお題にしたよ。では、例文に参りましょう。 ち 長文の作文らしいものから え エッジの効いた短いものまで ば バリエーション豊かな作品群 毎週皆様から寄せられる作品群の特色を詠み込んでみたよ。来週も様々な個性の集まりを楽しみにしております。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】お 想い出は か 傍らに咲く し 白い百合 「白い色は恋人の色 / ベッツィ&クリス」

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  • 03 Nov
    • しりとり山の2匹~第18話「液晶テレビ」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第18話「液晶テレビ」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 「ねえ、魍魎君、これからどうする?」「さあな。」「どこに行く?」「知るか。」「魍魎君、人間の顔になっているよ。」「お前もだろ。」 人間の姿になった魑魅と魍魎は、しりとり山を降り、人里を歩いていた。願いは叶ったものの、その先のことは何も考えていなかった。 「あ、人間だ!どうしよう魍魎君!?」「俺たちも人間の姿なんだから、気にすることねーだろ。」「あ、そうか…ホントだ。全然僕たちのことを気にしていないや。」 しばらく歩みを進めていると、道端に1台のトラックが停っていた。傍らには男性と大きな箱が見える。 「アイタタタ…参ったなぁ。」 魑魅はチラリと魍魎の顔を見た。魍魎の表情は「勝手にしろ」とでも言いたげだ。魑魅はゴクリと唾を飲むと、男性に声をかけた。 「どうしたんですか?」「いやぁ…ちょっと腰をやっちゃってねぇ。修理に出してた液晶テレビが直ったって言うから取りに行って、荷台に積んだんだけど、運転してたら動いたような気がしたので、積み直そうとして一旦荷台から降ろしたらグキっと…。ああ、もうこんなことなら配達して貰えば良かったなぁ。」「お手伝いしましょうか?」「良いのかい?助かるなぁ!」「ね、魍魎君。」「ああ。」 魍魎は大きな箱に歩み寄ると、魑魅の顔を見て、箱の反対側を指差した。 「持ったか?」「うん。」「じゃあ、行くぞ。せーの!」 魍魎は怪訝な表情をした。 「いやぁ、助かったよ。ありがとう!」「いえ、どういたしまして。」「助けられついで…と言っちゃ難だが、もう一つ頼まれてくれないか?」「何ですか?」「この腰じゃ、家に着いても荷物を降ろせそうにないんだ。降ろすのも手伝ってくれないかなぁ。」「はい、良いですよ。良いよね、魍魎君?」 魍魎は黙って小さく頷いた。 「ありがとう!じゃあ、トラックに乗って!」 2匹にとって、車に乗るのも初めての経験だ。魑魅が小声で話しかける。 「魍魎君、すごいね。」「何がだよ。」「車って不思議な感じがするね…ちょっとコワいけど。」 だが、魍魎は別のことが気にかかっていた。 「なあ、魑魅。」「なあに?」「さっき、箱を持った時、何か感じなかったか?」「箱?ちょっと重かった。」 魍魎の顔に、納得と覚悟の色が浮かんだ。 「こんなに非力なのか…これが人間になるってことか。」 (つづく) この週の採用ワード ビスケット

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  • 29 Oct
    • 2016.10.24 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 今日、ふと見たら天狗山が白くなっていたよ。 このくらいの標高差でも、結構な違いを生むもんだねぇ。では、10/24のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年10月24日(月)のお題】「つがい」※10/24が「文鳥の日」だったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「千歳の高橋」さん 【グランプリ作品】つ ついたあだ名がが 崖っぷちい いつも締め切り一分前※語呂が良いねぇ。ネタの素晴らしさを引き立てる作りになっているよ。「崖っぷち」「一分前」という2つの体言止めもしっかり効いているね。 【五十音グランプリ賞品】ウォールステッカー。 文鳥っぽい鳥が描かれた、壁などをデコレーションするシールでございます。 【2016年10月31日(月)のお題】「おかし」※10/31が「ハロウィン」だから。 「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」というハロウィンの習わしになぞらえてのお題でございます。では、例文に参りましょう。 お オバケの か かぶり物? し シーツだよね、それ? せめて、目のところに穴を開けなければならないが、そうするとシーツとしての機能に支障をきたすね。 では、10月最後のあいうえお作文も、皆様からの作品を楽しみにお待ちいたしております。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】つ 通学も が 学生服も い 幾日か 「高校三年生 / 舟木一夫」

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  • 27 Oct
    • しりとり山の2匹~第17話「入れ知恵(いれぢえ)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第17話「入れ知恵(いれぢえ)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 「もう出てきて良いぞ。」 ヤマヌシの言葉に、イロリが舞い降りる。 「とうとう行かれましたねぇ。」「そうじゃな。」 明け方の空気がしりとり池を包み始めている。 「ひとつ、頼まれてくれるか?」「何でございましょう?」「魑魅と魍魎。2匹が無事に暮らせておるかどうか、時々様子を見てもらいたいのじゃ。」「ほぉ?」 イロリの声には、意外さが含まれていた。それを察したヤマヌシが、問わず語りに理由を告げる。 「あやつらはまだ若い。人間世界にいる他の妖怪が、良からぬ入れ知恵をせんとも限らんじゃろう。」「妖怪同士は、互いの素性を察知しますからねぇ。」「せめて新しい世界に慣れるまでの間だけでも、目を配っていて欲しいのじゃ。」 すると、イロリは疑問を口にした。 「心配をされるわりには、随分あっさりと送り出されませんでしたこと?」 ヤマヌシが答える。 「そう見えたか?」「ええ?」「ならばそれは、2匹が過去世の因縁を乗り越えると信じたからじゃろう。あやつらの魂は、かつて『焼き討ち騒動』の現場におったのじゃからのう。」 (つづく) この週の採用ワード液晶テレビ

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  • 24 Oct
    • 2016.10.17 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 わずかではあったものの、ここ小樽にも雪が降ったねぇ。 ますます冬が近づいたように思えるけれど、まだ10月なのよね。 では、10/17のあいうえお作文に参りましょう。 【2016年10月17日(月)のお題】「すすき」※10月の季語から。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「パステルピンク」さん 【グランプリ作品】す 澄みわたるす すすきヶ原はき 金の波※正統派の作品がグランプリに輝いたよ。お題に寄り添った内容、そして何より3行目の「金の波」が効いているねぇ。今年の秋は短いようだから、作品で秋を堪能するのも一興でしょう。 【五十音グランプリ賞品】白鳥大橋のTシャツ。 週末にライヴで室蘭に行っていたとーるさんがゲットして来てくれたのよ。 白鳥大橋もあと2年ほどで二十歳を迎えるんだねぇ。 【2016年10月24日(月)のお題】「つがい」※10/24が「文鳥の日」だから。 「て(10)に(2)し(4)あわせ」の語呂合わせから決められたそうだ。 10月は手乗り文鳥の雛が出廻る季節なんだね。では、例文に参りましょう。 つ 「つまらない物ですが」と渡されても が ガッカリする必要はありません。 い 言うほどつまらない物ではありませんから。 謙遜という独特の文化ですな。それでは今週も、気軽に楽しく一生懸命ご参加くださいませ。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】す 過ぎる雲 す 過ぎぬ想いと き 北の空 「熱き心に / 小林旭」

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  • 20 Oct
    • しりとり山の2匹~第16話「座右の銘(ざゆうのめい)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第16話「座右の銘(ざゆうのめい)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 ヤマヌシは、2匹の前に手のひらを差し出した。 「これは…種?」「月の雫を宿らせた特別な種。『山戻りの種』じゃ。」 魑魅はハッとして、ヤマヌシに尋ねた。 「僕たち、妖怪の世界に戻れるんですか?」「なんじゃ。質問したことも忘れておったのか?」「魍魎君につられて、つい…。」「人のせいにするんじゃねーよ。」 ヤマヌシが話を戻す。 「お前たちに1粒ずつ、『山戻りの種』を授ける。もしも、妖怪の世界に戻りたいと思ったならば、この種を食べるのじゃ。元の姿、すなわち妖怪に戻る事が出来る。」 ヤマヌシは、干し草を編んで作った小さな袋に1粒ずつ種を入れ、魑魅と魍魎のそれぞれに渡した。 「ただし、この種を食べると、出逢った人間たちの記憶から、お前たちの存在が消える。」 2匹は神妙な顔つきで頷いた。 「そして、もう一つ。お前たちにこの言葉を授ける。」「言葉…ですか?」「ともに生きる。」「ともに生きる?」「そうじゃ。妖怪も人間も、ともにこの世界に住む者。どちらが偉い訳でも、優れている訳でもない。いさかいの歴史を繰り返さぬよう、この言葉を座右の銘として生きていくのじゃ。良いな?」「はい!」「はい。」 ヤマヌシはそれぞれの顔をしっかりと見つめた。 「この先もまた、お前たちの選択じゃ。再び相見える日が来るかどうかは、ワシにも分からん。じゃが、お前たちがここに生まれ、ここに育ったことだけは確かじゃ。達者で暮らすのじゃよ。」 2匹を見送るように、上弦の月が雲に姿を隠した。 (つづく) この週の採用ワード入れ知恵(いれぢえ)

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  • 15 Oct
    • 最強のサポートメンバー

      シンガーソングライターというミュージシャンは、サポートメンバーに助けてもらうことの方が多く、自らがサポートメンバーになることは稀と言っても良いだろう。加えて、超自給自足型シンガーソングライターの僕は、ほとんどのライヴを1人、もしくは「沢山の僕(録音音源)」と共に行っており、サポートメンバーに助けてもらうことすら稀だ。西胆振地区におけるサポートメンバーとの演奏は、奇跡のような例外である。 話を冒頭のベクトルに戻そう。稀な機会ではあるものの、僕もサポートメンバーになった経験がある。拙いながらも、主役が引き立ち、お客様の喜びが無意識下で増すよう、自分に出来る全てを注ぎ込んで来た。その結果、すず氏からは「とーるさんがいると僕の曲が名曲に聴こえる(それは事実、名曲だからですよ、すずさん(笑))」と度々MCで言われ、ever*green滝上氏には「歌心のある演奏」と評され、AKIRA氏からは「千手観音」の称号を授かった。 だが先ほど、僕のサポートなどまだまだ足りていないと思い知らされる出来事があった。 家を出る直前に、本日のサポートベーシスト、久保ちゃんからメールが届く。 久保「お昼のニュースより〜苫小牧付近で列車事故。上り下りとも不通らしいよ😓。」 これはもはや、ライヴの遂行そのものを左右するサポートである。即座にインターネットで状況を確認し、別の移動方法を検討する。小樽札幌間の電車内で、札幌駅バス乗り場までの動きをシュミレーションした。 東口から改札を出て、エスカレーターで地下に降りる。室蘭行きは13番乗り場、乗り換え時間は21分ある。大丈夫だ! かくして、高速バスにより室蘭に向かっております。16:36分、バス停「中央町」にダイレクト着地の予定です。(尚、列車内のアナウンスによりますと、踏切事故の影響とのことです。)

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    • 2016.10.10 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 とーるさんがこの日の番組冒頭で話していたけど、10月10日ってものすごく沢山の記念日があるんだね! この日のお題もその中の1つにちなんだものだったよ。では、10/10のあいうえお作文に参りましょう。 【お題】「みずに」※10/10が「缶詰の日」だったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「順子」さん 【グランプリ作品】み みたらし団子と ず ずんだ餅に 兄さんどっちにする?※3行目の「兄さんどっちにする?」の響きが良いねぇ!この部分を固定して、1行目と2行目を考えるというのも面白そうだよ。和菓子のカテゴリーから2種類を持ってきた、自然な仕上がりも良いね。 【五十音グランプリ賞品】缶切り。 伝統的なタイプの缶切りをご用意いたしました。 台所のお役に立てれば幸いです。 【2016年10月17日(月)のお題】「すすき」※10月の季語から。 そういえば、昨日の「小樽からこんばんは」でとーるさんが10月の季語を歌っていたね。 私が「すすき」をお題にしたからではなかろうか? あの人、会話中に番組の素材を思いついちゃったりするからなぁ…。では、例文に参りましょう。 す 素早さ す スピード き 急速が我が社のモットーです。 うん、全部同じだね。(笑) しかし、これだけ言うのだから、この会社の仕事は相当に迅速なのでしょう。 皆様におかれましては、慌てることなく、それぞれのペースでご参加くださいませ。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】み 見ていたよ ず ずっと鏡の に ニキビ面 「おさななじみ / デューク・エイセス」

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    • 本日10/15(土)室蘭にてライブです♪

      久々の音楽旅です。 「おがわとーる Live in Harariel (ハラリエル)」 2016年10月15日(土) 開場 18:30 開演 19:00 天然石ビーズ工房 Harariel (室蘭市中央町2丁目7-10) 前売り券 2,000円 当日券 2,200円 Hararielさんでのライヴは、5月14日に続き、今年2回目となります。 今回は久々に、伊達のベーシスト久保ちゃんとのDUOです。 この形にしかない雰囲気やトークで、リラックスした時間になるのではと思いますので、私も今夜が楽しみです。 皆様、是非お気軽に足をお運びくださいませ♪ 室蘭市中央町でお会い出来ることを楽しみに、小樽から旅立ちます!

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  • 13 Oct
    • しりとり山の2匹~第15話「神業(かみわざ)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第15話「神業(かみわざ)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 それぞれの七日間が過ぎた。その間、魑魅と魍魎はほとんど会わなかった。会っても群青池の話はしなかった。 「魍魎君、もう来てたんだ。」「ああ。」 魍魎はただじっと、池の水面を眺めていた。 「揃っておったか。」 ヤマヌシが現れた。 「こんばんは、ヤマヌシ様。」「ああ、こんばんは。」 魍魎はヤマヌシの目を見て、静かに頭を動かした。 凛とした静寂に、時折吹く風だけが響く。言葉はなくとも、魑魅、魍魎、ヤマヌシの想いは、一様に空へと向かっていた。 「そろそろじゃな。」 空が色を帯び始め、しりとり池に青を注ぐ。上弦の月は、池の中央に泰然として浮かんでいる。ヤマヌシが2匹にその時を告げた。 「魑魅、魍魎。池をのぞき込んでみよ。」「こ…これは?」「え?僕…誰?」 2匹は同時に顔を上げ、互いの顔を見る。 「え~!?」 ヤマヌシが柔らかな声で語り掛けた。 「月の許しに導かれ、群青池の架け橋を渡ることが出来たようじゃな。」「ヤマヌシ様…これは?」「お前たちは、人間の姿に変わったのじゃよ。」 そう告げるとヤマヌシは、小石のような何かを2つ、水面を滑らせるように池へと投げ込んだ。それらは上弦の月に弾み、反対岸の岩に当たって大きく跳ねると、キラキラとした水しぶきと共に空高く舞い上がり、神業の如くヤマヌシの手の上に落ちた。 「これをお前たちに授ける。」 (つづく) この週の採用ワード 座右の銘(ざゆうのめい)

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  • 09 Oct
    • 2016.10.3 五十音先生のあいうえお作文

      皆様、こんにちは!「五十音作文」と書いて「いそおとさくふみ」でございます。 この度も無事に番組改編を乗り越え、コーナーは5年7ヶ月目に突入いたしました。 12月26日には、節目の300回もやって参ります。 今期も何卒よろしくお願い申し上げます。 では、10/3のあいうえお作文に参りましょう。 【お題】「いわい」※「こぐまのおみせ」さんから頂いたもう1つの作品に「祝」と書いてあったから。 【グランプリ受賞者】ラジオネーム「ぶた父」さん 【グランプリ作品】い 要らないおもちゃを分けましょう。と子供たちに言ったらわ 私がお土産に買ってきたぬいぐるみがい 要らないもの第一候補になりました※作文らしいボリューム感がありながら、重たくなることなく、切ないオチまでの運びがスムーズだね。しかも、実話だそうだよ。子供たちへの提案とはいえ、こりゃ何とも捨てがたいねぇ。 【五十音グランプリ賞品】「クレイクラフトこぐまのおみせ」さんの作品2。 先週の作品には「長寿」、今週の作品には「祝」の文字があしらわれた、いずれも縁起物でございます。 【2016年10月10日(月)のお題】「みずに」※10/10が「缶詰の日」だから。 1877(明治10)年10月10日、北海道開拓使が北海道石狩町に鮭の缶詰の工場を設置し、日本初の本格的な缶詰の製造が始まったことにちなみ、日本缶詰協会さんが1987(昭和62)年に制定したそうだよ。では、例文に参りましょう。 み 見栄えがするのは ず ズッキーニの方だが に 煮浸しとなるとねぇ。 まあ、ナスを選択することになるのだろうねぇ。 祝日となります明日の放送も、皆様からの作品を楽しみにお待ちいたしております。 【この週のお題を使った五七五曲紹介】い いやなのよ わ 分かっているの い 云わないで 「何も云わないで / 園 まり」

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  • 06 Oct
    • しりとり山の2匹~第14話「舌禍(ぜっか)」

      この「しりとり物語8」というテーマのBlogでは、2016年7月からスタートしたFMおたる「木曜Cheers!」内のコーナー、「しりとり物語~しりとり山の2匹」のストーリーをご紹介して参ります。コーナーの仕組みはこちらのBlogをご参照下さい。 しりとり山の2匹~第14話「舌禍(ぜっか)」 山の怪、魑魅。川の怪、魍魎。人々に害を与える様々な化け物、転じて、私欲のために悪事を働く者たちを、魑魅魍魎と言う。これは、しりとり山に巣食う2匹の奇妙な妖怪の、これまた奇妙な物語である。 漆黒が漆黒を映し、しりとり池は闇よりも濃い色を水面に湛えている。 「ねえ、魍魎君、魍魎君。月、見える?」「うるせぇな。」「新月ってどこ?どうやって祈ったら良いの?」「知らねぇよ。」「人間の世界ってさぁ…。」「はぁ…人間の世界に行きたいなんて言うんじゃなかったぜ。」「あはは!口は災いの元だね。」「やめた!お前1人で人間の世界に行けよ。」「ええ~!そんなぁ。」 イロリが割って入る。 「舌禍を招くとはこのことでございますね。」「ゼッカ?ゼッカって何ですか?」「自分の言葉が誰かの怒りに触れて、災いを受けることですよ、魑魅さん。」 魍魎が言葉を重ねた。 「口は災いの元だな。」 やり取りの様子を見ながら、ヤマヌシは「この2匹なら大丈夫」という確信を強めた。 「では、良いかな。」 2匹が頷く。 「新月よ。この者たち、魑魅と魍魎が人間の世界に行くことを望んでおります。これから七日間、どうぞこの者たちをお見定めください。そして、お認めになられたならば、七日後の夜、そのお姿を群青池にお映しください。」 ヤマヌシの言葉が終わるやいなや、しりとり池をくるりと風が一周し、木々を奏でた。 (つづく) この週の採用ワード 神業(かみわざ)

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