石垣市での視察２つ目は、無料のコワーキング・スペース「シマノバ」です。
まずその立地として驚いたのは、市民会館（この建物が前川國男氏設計というのは脇に置いて）のホワイエといわれるスペースを活用している点です。ここをを「サードプレイス」として、島の人のみならず、若者、移住者、インスタグラマーや編集者、世界的アーティスト、プログラマーほか、旅をしながら仕事をする人など、石垣に寄り添う人々が集まり利用されています。
クリエイティブなものづくりによる販売テーマを設定したマーケットを月２回以上開催したり、月６回以上開催の様々なワークショップや、企画ギャラリーなど、単なるワークスペースではなく、新たなコミュニティを作る場ともなっています。「タコ足の木」と言われるアダンの木を使ったバッグ製作のワークショップはかなり人気だそう。
これまでは「集う場」「ちょっと集中して何かをしてみる場」がなかったと言います。夜になるとなぜかモスバーガーが混んでて、学生が勉強したり、若者が何か話し合ったり、内職作業みたいなことをする主婦がいたり…要するに、「場」がなかったということなんですよね。最近石垣市ではオシャレな人・店が増えてきたこともあり、そこに集まってくる人で「自分で作る・何かをやる」という人が増えてきたそうです。自然の材料が多い石垣市ですから、それを使ってアクセサリーやハンドメイド品をつくったりする人が多く、WEBで販売するだけではなくそれを地域に浸透させたいという人や、対面販売する機会を求めていた人もいるといいます。
青山学院大学で教鞭を取られたり、明治学院大学で研究員をされている岡田智博氏がこのシマノバのディレクターが内閣府の交付金による石垣市の事業として企画・整備し、いまは民間の独立運営でやっています。橋爪千花さん（右端でお話されている方）がコミュニティマネージャーとして活躍されています
誰もが創造的であり、その市民の創造によって生み出されるものをマネジメントする、コーディネートする、という発想は、どこの街でも必要なことだと感じています。「アート」「文化」が特定の人のものになってはいないか、わが町での考え方や取組みも振り返ってみたいと思います。
IT振興など、地域経済戦略的な誰もができるわけではない「儲け」を生むことよりも、女性や若者、活躍しにくい人たちが一歩前に活動し、そのことで新たな経済を生み出せる場としてのコワーキングや創造の場が、SDGs「誰も置きざりにしない」、そして多様に生き続けられる地域社会と経済のためには、ビジネスセンターとかコミュセンとか縦割り感覚ではなく、必要ではないのだろうか？
（引用）シマノバ 視察 討議資料（岡田智博氏 2019.07.02）
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