【登場人物】


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 設定資料
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【おはなし】


以下のページで書いたところは基本的に省略する。


【日記】こんなに紋所は目に入りません。(^ω^) その4
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◇ 場所は鬼根川温泉街というひなびた温泉街。


一人の裸足の男がやってくる。


男の名前はトラジ。この物語の主人公である。


トラジが鬼根川周辺をぶらぶらと歩き回っている。


風光明媚な景色がたくさん出てくる。


やがて日が暮れてきたので、トラジはあちこちの宿を覗いて回る。


その不審な様子に気がついた地元の駐在員さんが声をかける。


トラジは慌てて逃げ出すが、その途中、野良犬の尻尾を踏んづけてしまう。


野良犬と駐在員に追いかけられたトラジは逃げ回るうちに一軒の古い温泉旅館にたどり着く。


トラジはその旅館の主人に一晩とめてもらえないかと頼むが追い出されてしまう。


しかたがないので、他を当たろうととぼとぼと歩いているところを、女中のさやかに声をかけられ、布団部屋に泊めてもらうことになる。


その後、トラジはしばらくその旅館に滞在する。


滞在中、薪を割ったりして旅館の仕事を手伝ううちに、不器用ながらも真面目な働き振りを東野主人に見直され、合田番頭がトラジの仕事の世話をすることになる。




◇ ある朝、トラジが寝ていると、玄関先から女性の悲鳴が聞こえてくる。


あわててトラジが出てくると、玄関に生ゴミが散乱しており、さやかが立ち尽くしている。


やがて、悲鳴を聞きつけた東野主人や合田番頭が出てくる。


全員で厳寒に散乱する生ゴミに呆然とする。


東野主人 「またあいつらの仕業か。」


合田番頭 「そうに決まってますわ。」



建物の奥から宿泊客たちが窓ガラス越しに様子をうかがい、ひそひそと噂話をしている。



すると、そこに3人の柄の悪い男たちが現れる。


男たちは、にやにやといやらしそうな顔をして、こちらを見ている。


東野主人 「てめえらの仕業だな。」


服部 「おやおや、飛んだ言いがかりをおっしゃいますなあ。私ら、たまたまここを通りかかっただけですよ。」


合田番頭 「うそつけや。お前らがやったっちゅうことはわかっとるんや。」


服部 「何のことだか、さっぱり。証拠でもあるんですかねえ。」


服部をにらみつける主人と番頭さん。


服部 「(手もみをしながら)それにしても、この旅館もぉ、・・・たいへんですなあ。


(首をこきこきする服部。)


建物もがたがた。年々客は減る一方。


そろそろ廃業なさった方がぁ、・・・よろしいんじゃあございませんかねえ。」


頷く子分たち。


東野主人 「うるせえ。何度、言われようが、この旅館はてめぇらなんぞに売り渡したりはしねえからな。けえれ、けえれ。」


服部 「おやおや、ご主人、今日も、ご機嫌が斜めですぞお。


怖いですねえ。怖いですねえ。帰りましょ。帰りましょ。」


ニヤニヤ笑いながら引き上げていく3人。


東野主人 「おい、合田。塩だ、塩。塩まいとけ。」


合田番頭 「へい。」



◇ 布団部屋にトラジとさやか。


トラジ 「さっきの人たちはなんだったんだなー。」


さやか 「トラジさんはいいのよ。気にしないで。」


トラジ 「でも、売るとか売らないとか。気になるんだなー。(´・ω・`) 」


しばらく空を見つめるさやか。



◇ 旅館に1台の真っ赤な高級スポーツカーが停まる。


車から降りてきた、サングラスをかけた長身のイケメンが旅館に入っていく。


受付に行き、さやかに話しかける。


旬 「東京から来ました。予約を入れている鷹司旬というものですが。」


さやか 「はい、ご予約をたまわっております。ようこそ、お越しくださいました。」


サングラスを外す鷹司。


あまりのイケメンぶりに目を奪われるさやか。しばらくぼーっと見つめている。


さやか 『すてき・・・。』


旬 「あの、どうかしましたか。」


さやか 「いえ、なんでもありません。


あら、いやだ、私。


お部屋にご案内いたします。」


だが、旬が、自分の荷物を担ぎ上げようとして、腰を落とす。


旬 「くっ。」


さやか 「大丈夫ですか。」


旬 「すみません。ちょっと腰を痛めてまして。」


さやか 「あら、たいへん。荷物は私が全部運びますから、おまかせください。」


旬 「でも、その荷物、重いですよ。」


さやか 「平気です。これも仕事ですから。


(荷物を担ぐさやか。)


あら、ホント(に重いわ)。よっこらしょっと。」


重い荷物を担いで旬を部屋に案内するさやか。



◇ 旬の部屋で旬とさやか。


客にお茶を入れるさやか。


さやか 「今日は遠いところをお越しいただいて、ありがとうございました。」


旬 「いえ。想像していた以上の旅館で驚いています。」


さやか 「そんなことありませんわ。


ところで、腰を痛めていらっしゃるって、おっしゃってましたね。」


旬 「先週、愛馬に振り落とされてしまいましてね。なんとも情けない話です。


なかなか痛みが引かず。そうしましたら、こちらの温泉が腰痛に効くと聞いたものですから、湯治にと。」


さやか 「あら、乗馬をされるんですか。」


旬 「ええ、小さい頃から。趣味でして。」


さやか 「まあ、小さい頃から。


もしかして、その馬って、白い馬だったりしませんか。」


旬 「えっ、どうしてご存知なんですか。」


遠くを見つめるさやか。


さやか 『もしかすると、この人が、私の・・・。』


旬 「あっ、あの、どうかされましたか。」


さやかの顔を覗き込む旬。


さやか 「あ、いえ。何でもありません。」



旬 「ところで、さっそく温泉に入ってみたいのですが。」


さやか 「そうですね。ご案内いたします。」


旬が立ち上がるが、腰を痛めているので、よろめく。


さやか 「たいへん! 私におつかまりください。」


旬にやさしく肩を貸すさやか。


廊下を歩きながら、自分に肩を貸すさやかを見つめる旬。



その様子を遠くから見つめる番頭さんとトラジ。


焼きもちを焼く番頭さん。


合田番頭 「けっ、なんや、あの色男は。」


(↑昭和なので、「イケメン」という言葉はまだない。)


トラジ 「でも、かっこいい人なんだなー。」



(以下に続く)


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その2
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