東京国立博物館で「総合文化展(常設展)」を観た! | とんとん・にっき

とんとん・にっき

来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。



東京国立博物館で「総合文化展(常設展)」を観てきました。観に行ったのは7月末の暑い日でした。「展示と催し物案内」には2016年8-9月となっていたので、ブログに載せるのはまだまだ先だと思っていたところ、残暑はまだ残っていますが、もう夏も終わり、お尻に火がついた、というわけです。


「トーハク」の「総合文化展」とはどんな展示ですか?

トーハクの魅力はなんといってもその収蔵品にあります。日本と東洋諸地域の考古遺物と美術作品で構成されるコレクションは総数約11万6000件。うち国宝87件、重文634件(2016年3月現在)。まさに質・量ともに日本一のコレクションです。2011年1月、これらのコレクションと寄託作品を中心とした展示の名称を「平常展」から「総合文化展」に改めました。すべてのジャンル、すべての時代にわたって日本の美術をお楽しみいただける世界で唯一の博物館として、東洋諸地域の文化を概観できる世界有数の博物館とて、日本と東洋の文化を総合的にとらえるトーハクならではの展示を目指してつけた名称です。展示件数は約3000件。ジャンルや素材によって4週間から8週間ごとに展示替えを行っていますので、何回来ても新しい発見があるはずです。


観るコースはいつも決まっていて、本館2階の「日本美術の流れ」を観ます。縄文から江戸まで、本物でたどる日本美術史とある通り、外国の方が半数以上で、いつも賑わっています。


まず、本館1室から「日本美術のあけぼの」や「仏教の興隆」を観て、本館2室、「国宝室」を観ます。僕が観たときは、平安時代・12世紀の「餓鬼草紙」、不信心な人の魂を食うという、どこかユーモラスな餓鬼、でした。その後、本館3室、「仏教美術」「宮廷の美術」「禅と水墨画」を観て、4室の「茶の美術」を観ます。5室の「武士の装い」、6室の同じく「武士の装い」は、速足で飛ばします。


僕のなかで目玉としている場所、本館7室の「屏風と襖絵―安土桃山・江戸」をじっくり観ます。ここは見逃すわけにはいきません。8室、9室も速足で飛ばして、本館10室の「浮世絵―江戸」をじっくり観ます。「特別2室」は時によって良い展示があり、見逃さないようにしています。


なんて、どうでもいいことを長々と書いてしまいましたが、1室から10室まで、2階部分をひと回り、順を追って以下に載せておきます。


本館1室:「日本美術のあけぼの」



本館2室:「仏教の興隆」


国宝室:「餓鬼草紙」平安時代・12世紀

国宝
1巻
縦26.8cm 全長 538.4cm
平安時代・12世紀
京都国立博物館


 餓鬼草紙は、六道のうち餓鬼の世界を描いたもので、平安時代後期に末法思想が流布し、六道に対する関心の高まりを背景に描かれた。京都国立博物館本(以下、京博本)は、餓鬼の救済に関する説話を集めたものである。
  第1、2段は、食水餓鬼の救済の話で、第1段には三十六餓鬼のうちのひとつ、食水餓鬼の受苦の様子を描き、第2段は、餓鬼道に堕ちた者も、残された人びとの供養によって救われることを説く。絵は盂蘭盆(うらぼん)に卒塔婆に水を掛ける人びとを描くが、生き生きと描き出された寺の門前の賑わいは、風俗画としても見ごたえがある。
 第3、4段は、『盂蘭盆経』に基づいて、釈迦の弟子のひとりである目連が釈迦に救済の方法を教えられて、餓鬼道に堕ちた母を救ったという説話を描く。
 第5段は出典が不明であるが、水を飲めずに苦しむ餓鬼が、仏の慈悲で餓鬼の姿を離れ、水を飲めるようになり、また仏国土へ生まれたことを、右回りの半円形に異時同図で描く。

 また第6段は、いつも口から火を吐いている焔口餓鬼(えんぐがき)の苦しみを聞いた阿難が釈迦に救済のための呪文を教わったこと、そして第7段では阿難から餓鬼救済の方法を教えられた僧が施餓鬼(せがき)を始めたことを述べる。
  このように、京博本「餓鬼草紙」は、段ごとに出典を異にする餓鬼救済の物語を集めているが、画風の点でも、相違が見られる。画面構成についてみると、視点を近く取って人物中心に描く段と、空間のひろがりを強く意識している段とがあり、また景物描写についても、第2段の生き生きとした人物表現に対し、第3、 4段の硬い筆遣いの表現、また第1段の太い線描に対して、第6段の繊細な線描と、各段ごとに異なり、制作に複数の画家グループが関与していることが考えられる。
 中世の記録では、後白河法皇が創建した蓮華王院(三十三間堂)の宝蔵に六道絵があったことが知られ、京博本「餓鬼草紙」はその一部であった可能性が高い。



本館3室:「仏教の美術」


本館3室:「仏教の美術・宮廷の美術」



本館7室:「屏風と襖絵」



本館8室:「書画の展開」




「東京国立博物館」ホームページ


news  「東京国立博物館 ニュース」
2016 8-9

展示と催し物案内

第738号









過去の関連記事:

東京国立博物館で「総合文化展」を観る!

東京国立博物館で「総合文化展」を観る!

東京国立博物館で「総合文化展(常設展)」を観た!
東京国立博物館で秋の特別公開「夏秋草図屏風」を観た!
東京国立博物館「博物館に初もうで」(その2)
東京国立博物館「博物館に初もうで」(その1)
東京国立博物館で「総合文化展」を観た!
東京国立博物館「博物館に初もうで」へ行ってきました!
東京国立博物館「博物館に初もうで」美術のなかのうさぎ編