国重要文化財建造物「武雄温泉新館及び楼門」を観た! | とんとん・にっき

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国重要文化財建造物「武雄温泉新館及び楼門」を観てきました。6月30日、軍艦島を見るためのツアーで、羽田空港から有明佐賀空港へ行き、長崎市内へ向かう途中、武雄市にそれはありました。


武雄温泉の新館と楼門は、辰野・葛西建築事務所の設計で、大正3年に着工し、翌対象4年に竣工しました。辰野金吾が唐津出身で、辰野晩年の大作・東京駅と同時期の作品で、現存する数少ない木造建築です。正面に竜宮門をおく配置計画、複数の浴室と休憩室を一体化した施設計画など、保養施設の歴史を知る上でも重要なことから、国重要文化財建造物の指定を受けました。


西日本新聞「辰野建築十二支が結ぶ」という記事が興味深い。辰野の代表作である東京駅の天井には、方角を表す干支のレリーフが八ツあるが四つ欠けていて、謎とされていた。欠けた四つが武雄温泉楼門に四つある、という。「辰野の遊び心ではないか」と関係者はいう。これは面白い。

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「国重要文化財建造物 武雄温泉新館及び楼門 二棟」


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西日本新聞:2013年4月1日

「辰野建築十二支が結ぶ」


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「建物遺産」BS朝日 2015年6月26日放映

武雄温泉新館及び楼門


武雄温泉は、1300年も前に書かれた「肥前風土記」にも出てくる歴史ある温泉。江戸時代には長崎街道の宿場町として栄え、宮本武蔵やシーボルト、伊達政宗、伊能忠敬などが入浴した記録も残されている。この新館と楼門は、近代になって武雄温泉の拠点として計画され、辰野・葛西事務所が設計し、清水満之助(現・清水建設)が施工した。新館は、木造一部二階建、正面中央に車寄せを備え、左右対称に男女の大浴場などが配されている。大浴場の湯気抜きは八角形で風情のある作りになっている。二階は休憩所として和室5部屋がある。楼門は、いわゆる竜宮門と呼ばれる朱塗りの門で、釘を一本も使用していない建物。その天井には、辰野金吾設計で同年竣工した東京駅に描かれなかった干支4つを見ることが出来る。新館及び楼門は、伝統的な和風意匠を基調にしつつ、細部の意匠や架構に新しい試みが見られ、高い価値がある。当時の建築界をリードしていた建築家の辰野金吾が関与した数少ない和風建築としても貴重。


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