池上英洋編著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を読んだ! | とんとん・にっき

池上英洋編著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」を読んだ!

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池上英洋編著「レオナルド・ダ・ヴィンチ ルネサンス『万能人』の生涯」(新人物往来社:2012年4月20日第1刷発行)を読みました。呼んだというよりも、1年前に購入してから目につくところにおいて、時々開いては見たり読んだり、というのが本当のところです。本の帯には「芸術家?科学者?彼はいったい何者なのか。 あらゆる分野に足跡を残した巨人の真の姿を追う」とあります。この本、レオナルド・ダ・ヴィンチに関して、目次を見れば分かる通り、一通り過不足なく書かれていて、画像も多く、非常に判りやすく纏められています。


ちょうどいま、「Pen」(5月15日号)という雑誌で「ルネサンスとは何か?」という特集を組んでいて、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの3大巨匠を徹底解剖、しています。ジムでバイクをこぎながら、パラパラと観て、面倒なので本屋で購入してしました。けっこう細かく、わかりやすく書いてあります。もちろんこの手の雑誌は写真が綺麗で、沢山載っているので、ほんとうにわかりやすい。


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レオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作といえば、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ聖堂の修道院食堂に描かれた「最後の晩餐」と、ルーヴル美術館にあるダ・ヴィンチが終生手放さなかったという「ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)」でしょう。僕は「最後の晩餐」は2度、「モナ・リザ」は1度、観ることができました。ウフィッツイ美術館では、ヴェロッキオ工房で修業時代に一部を描いた「キリストの洗礼」や、「風景」の素描、そして有名な初期の作品「受胎告知」や、未完成のままに残された「東方三博士の礼拝」などを、2度観ることができました。


また去年、渋谷の文化村で「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展で、素描ですが「ほつれ髪の女」(1505-08年頃)を観ました。いま、都美術では「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像」が開催されています。目玉は「音楽家の肖像」(1485年頃)が観られます。この作品は、池上英洋編著「レオナルド・ダ・ヴィンチ ルネサンス『万能人』の生涯」では、「レオナルド工房作か」、「1490年頃」となっています。



池上英洋編著「レオナルド・ダ・ヴィンチ ルネサンス『万能人』の生涯」の目次は、以下の通りです。


第1章 若き日のレオナルド

キリストの洗礼/受胎告知/レオナルド・ダ・ヴィンチの生い立ち/風景素描/ジネヴラ・デ・ベンチの肖像/工房と仲間たち/聖ヒエロニムス/東方三博士の礼拝/フィレンツェでの不遇/カーネンションの聖母/ブノワの聖母子

第2章 “万能人”への飛躍

岩窟の聖母/軍事技師として/舞台演出家・結婚プランナー/スフォルツァ騎馬像/白貂を抱く貴婦人/ラ・ベル・フェロニエール/建築家として/科学者としての近代性/最後の晩餐/大空への憧れ/ひととなり/アッセの間/リッタの聖母子と音楽家の肖像

第3章 放浪の思索者

イザベッラ・デステ/アンギアーリの戦い/ライヴァルとの戦いと失意/解剖学/ラ・ジョコンダ/自画像/聖アンナと聖母子/天文学と哲学/イタリアの斜陽とフランスでの死/レダ/紡錘棒の聖母子/洗礼者ヨハネ/手稿のゆくえ


下に、この本の「最後の晩餐」と「ラ・ジョコンダ」の見開きページを載せておきます。


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僕の中ではかなりの部分、レオナルド・ダ・ヴィンチは建築家だと思っています。僕が持っているレオナルド・ダ・ヴィンチ建築関連の書籍を紹介しておきます。ちょっと古いですが、学芸図書発行の「建築家レオナルド」ⅠⅡ(1990年11月21日発行)、カルロ・ペドレッティ著、日高健一郎/川辺泰宏・訳が、図版も豊富でよく書かれています。もう一つ、中公新書の長尾重武著「建築家レオナルド・ダ・ヴィンチ ルネサンス期の理想都市像」(1994年8月25日発行)が、よく書かれていて僕は気に入っています。


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池上英洋という人、レオナルド・ダ・ヴィンチの研究では定評があるとのことですが、今まで僕の「網」にはなぜか引っかかりませんでした。巻末の著者略歴には、「中世からバロック時代の芸術家の分析を通じて、社会構造や思想背景を明らかにする方法には定評がある」とあります。ダ・ヴィンチ関連の著作が多いようです。僕も何度かイタリアへ行ったことがあるので、「イタリア 24の都市の物語」は興味深く読んでいます。それに誘発された記事も書いたりしています。最近、Takさん関連のオフ会やパーティなどで、何度かその風貌に接してもいます。


池上英洋:略歴

1967年広島生まれ。東京芸術大学卒業、同大学院修士課程修了。恵泉女学園大学人文学部准教授を経て國學院大學文学部准教授。専門はイタリアを中心とする西洋美術史・文化史。レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、中世からバロック時代の芸術の分析を通じて、社会構造や思想背景を明らかにする方法に定評がある。著書に、『Due Volti dell Anamorfosi』(ボローニャ大学出版局)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ―西洋絵画の巨匠8』(小学館)、編著 『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)、編著『イメージとパトロン』(ブリュッケ)、『恋する西洋美術史』『イタリア24の都市の物語』(光文社新書)など。


とんとん・にっき-ikegami 「イタリア 24の都市の物語」

2010年12月20日初版1刷発行

光文社新書

著者:池上英洋

発行所:株式会社光文社

とんとん・にっき-seiyo2 「西洋美術を知りたい」

2012年3月27日第1刷発行

監修者:池上英洋
発行所:株式会社学研パブリッシング

発売元:株式会社学研マーケティング

定価:580円








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