鏑木清方記念美術館で「清方、三遊亭圓朝との出会いと芝居への愛慕」展を観た! | とんとん・にっき

鏑木清方記念美術館で「清方、三遊亭圓朝との出会いと芝居への愛慕」展を観た!



鏑木清方記念美術館で「清方、三遊亭圓朝との出会いと芝居への愛慕」展を観てきました。観に行ったのは11月23日、勤労感謝の日でした。鎌倉は祝日とあって大変な人出で、特に小町通りはぞろぞろと人の背中を見ながら歩く始末、さすがは古都鎌倉、がしかし、若者にも人気がある町でもあります。その小町通りから一歩横道に入ると、もうそこは閑静な住宅地です。その一角に「鏑木清方記念美術館」はあります。ひなびた門が目印です。生前、清方が自宅として、そしてアトリエとして使っていた家が公開されて、記念美術館になっています。門から玄関までのアプローチが、四季折々、いつ行っても素晴らしい小径です。


「三遊亭圓朝像」は、東京国立近代美術館でもう何度も観ていましたが、なぜ美人画を得意とする清方が噺家である圓朝の肖像画を描いたのか、長い間わかりませんでした。今回の展覧会は、まさにその疑問に答えるべく模様された展覧会でした。清方の父親の関係で、圓朝とは子どもの頃からの知り合いだったこと、圓朝の勧めで画家の道を志したこと、圓朝との取材旅行に同行してその実直な人柄に魅せられたこと、次第に画家として広く認められるようになり、圓朝への感謝の気持ちを表すために肖像画に挑んだこと、その作品が重要文化財になったこと、なるほど、そういうことだったのか、長い間の疑問が一気に氷解しました。


鏑木清方については、サントリー美術館での「清方ノスタルジア」や、そごう美術館での福富太郎コレクション「鏑木清方展」で、まとまって観ることができました。圓朝の文脈とは離れますが、「嫁ぐ人」は様々な花でつくられたブーケを手にする花嫁を、桜が咲き誇る園遊会の会場で友人たちが祝福している様子が描かれています。今回は出ていませんが清方の作品で記憶に残っているのは次の2作品です。福富太郎コレクションの、青磁色のぬるりとした岩の上に、黒い髪で白い肌の人魚が小魚を手に遊んでいる様子を描いた「妖魚」、これには驚きました。同じく福富太郎コレクションの「刺青の女」にも驚かされました。





「清方、三遊亭圓朝との出会いと芝居への愛慕」展

鏑木清方の父・條野採菊は、清方が8歳の時にやまと新聞を創刊しました。当時名噺家であった三遊亭圓朝の人情噺を、新聞の紙面に掲載するため、時には自宅で口演を催すことがあり、清方も楽しんで聞き入りました。その後、圓朝の勧めで画家への道を歩み始めます。17歳の時に、圓朝の取材旅行に同行し、実直な仕事ぶりは後々まで清方の目に焼きつきました。昭和5年、清方は、画壇で広く認められるようになり、圓朝へ感謝を表そうと、今まであまり興味が湧かなかった肖像画に挑みます。圓朝の高座での姿を写し、人となりを加えて「三遊亭圓朝像」を描き、高く評価され、平成15年には重要文化財に指定されました。本特別展では、三遊亭圓朝に関わる作品を中心に、止せや芝居に取材した作品をご紹介します。


市鏑木清方記念美術美術館」ホームページ

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