チャン・イーモウの「初恋のきた道」を観た! | とんとん・にっき

チャン・イーモウの「初恋のきた道」を観た!

とんとん・にっき-hatu3


都会で働いている青年ルオ・ユーシェン(スン・ホンレイ)は、父の死の知らせを受けて、雪道を友人の車に乗り、久しぶりに故郷に帰ります。小さな山村のただ一つの小さな学校の教師だった父は、病をおして新しい校舎建設のために金策に奔走し、吹雪の中で倒れたのでした。父の遺体は町の病院に安置されているので、村長らは遺体を車で運ぶと言うが、母(チャオ・ユエリン)はそれを拒否して、遺体を人が担いで帰ることを主張して譲りません。そうしたやりとりを見ながら、息子は父母の恋物語を思い出します。


40年前、20歳の若き教師ルオ・チャンユー(チェン・ハオ)は、村へと続く一本道を馬車に乗ってやってきました。村のただ一つの学校のただ一人の教師として。少女チャオ・ディ(チャン・ツィイー)は、都会からやってきた若い教師に恋します。その想いを伝えようとして毎日弁当を作り続けます。授業中には彼の範読する声を聞き続けます。チャオ・ディの想いは、やがてチャンユーに届きます。しかし、この村にも文化大革命の波が押し寄せてきます。チャンユーは弁明のために、町へ帰ります。チャオ・ディは待ちへと続く一本道で、来る日も来る日もチャンユーの帰るのを待ち続けます。


やがて父の葬儀も終わり、息子のユーシェンが町へと帰る朝、遠くから範読の声が聞こえます。その声に引き寄せられるように、学校へと年老いた母は歩いて行きます。それは、遠い昔少女チャオ・ディが学校の外から聞いた、父の作った文章でした。


礼儀正しく、
暖かい気持ちを忘れず、
人、世に生まれたら志あるべし。
書を読み、字を習い、見識を広める。
字を書き、計算ができること。
どんなことも筆記すること。
今と昔を知り、天と地を知る。
四季は春夏秋冬、天地は東西南北。
どんな出来事も心にとどめよ
目上の人を敬うべし・・・


チャン・イーモウ監督の「初恋のきた道」、DVDで再び観ました。直接のきっかけは、先日「サンザシの樹の下で」を観たことによります。この機会のチャン・イーモウの作品をできるだけ観てみようと思い立ちました。「紅いコーリャン」なども、意識して観ていなかったこともあり、あまりよく覚えていません。実は「初恋のきた道」も、随分昔に観たので、記憶が定かでなく、白黒の場面は憶えているのですが、カラーの部分はうろ覚えでした。ブルーレイの録画を観直してみたら、つい先日「初恋のきた道」がテレビで放映されていたようで、なんと録画されていました。もしかしたら、その時、テレビで白黒の部分を観たのかもしれません。


いずれにせよ、この映画の特徴的なのは、現在を白黒で、過去をカラーで作られていることです。普通、逆かなとも思いますが、そうじゃないところがチャン・ツィイーの瑞々しく健気な、しかも可愛らしさをより強調して表しています。このキャスティングで、この作品がほとんど決まったようなものです。なにしろチャン・ツィイーがいい。丘陵地の一本道、四季を通じてその表情が美しく変わり、懐かしさをかき立てます。監督は、この作品は「中国の伝統である詩的な物語。愛について、家族について、そして家族の間の愛についての物語」であると述べたという。


とんとん・にっき-hatu2


とんとん・にっき-hatu1

「初恋のきた道」公式サイト


過去の関連記事:

チャン・イーモウ監督の「サンザシの樹の下で」を観た!
高倉健の「単騎、千里を走る。」を観る!