本谷有希子原作の映画「乱暴と待機」を観た! | とんとん・にっき

本谷有希子原作の映画「乱暴と待機」を観た!

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本谷有希子は、「劇団、本谷有希子」という演劇ユニットの主宰者です。が、しかし、主宰者以外にメンバーは1人もいません。本谷はその劇団の劇作家で、かつ演出家です。また、何度か芥川賞候補作をも書いている、気鋭の作家でもあります。実は文庫本で「生きているだけで、愛」という作品を読んで、感想を書こうと思ったら、パソコンがパンクして書くのを断念、また文庫本の「江利子と絶対」を表題作だけ読み終わったら、函館のホテルに忘れてきたりと、本谷関連ではなにかとアクシデントが続きました。映画の「乱暴と待機」とはまったく関係がありませんが。


さて映画「乱暴と待機」ですが、タイトルのつけ方が妙というか、内容とはほとんど関係ないというか、なにしろ面白い。劇団の公演用と、小説版と、映画版、3つの「乱暴と待機」があるようです。山田孝之と小池栄子は結婚していて、小池は妊娠中。引っ越した先に高校時代の同級生でそりが合わない美波がいて、美波はわけの分からない男・浅野忠信と、なぜか兄妹のふりをして一緒に暮らしています。この4人、それぞれが突出した個性の持ち主で、山田孝之と美波はただならぬ関係になっていきます。浅野は天井裏に隠れて、山田と美波のセックスを覗いていたりします。


小池栄子が威勢もよくて抜群に個性を発揮しています。山田孝之はケツを出したりして美波に迫る、情けない女たらしの役です。浅野忠信は映画では足を引きずりながら歩き、なんの仕事をしているのか分からない、役の上ではさえない男の役です。美波は兄でもないのに浅野のことを「お兄ちゃん」と呼び、虐められ役が板についています。この4人が同じ平屋建ての市営住宅で、しかもすぐ近所で暮らしているのですから、問題が起こらないはずはありません。「乱暴と待機」は、「腑抜けども、哀しみの愛を見せろ」に続いての映画化。「腑抜けども」の佐藤江梨子と妹の関係と、今回の小池と美波の関係がほとんど同じように思えます。惜しむらくは男どものキャラクターの設定が、いまひとつの感があります。


以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。


チェック:浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之という実力と人気を兼ね備えた俳優たちが共演し、愛憎交わる奇妙な人間ドラマを繰り広げる群像劇。のぞく男とのぞかれる女に訳あり夫婦の、濃密な四角関係の行方をテンポ良く描く。演劇界と文学界の両方で注目を集める本谷有希子の原作を基に、『パビリオン山椒魚』などの鬼才、冨永昌敬監督が映画化。不器用でこっけいな人間たちが見せる切なさや優しさに、魅了される。


ストーリー:番上(山田孝之)と妊娠中の妻・あずさ(小池栄子)が引っ越した先にいたのは、あずさの高校時代の天敵、奈々瀬(美波)だった。しかも、奈々瀬は怪しい男・英則(浅野忠信)と兄妹のフリをしながら同居し、英則は屋根裏から奈々瀬をのぞくことを習慣にしていた。しばらくして番上と奈々瀬が接近したことから、さらに4人の関係はいびつになっていく。


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「乱暴と待機」公式サイト


「劇団、本谷有希子」公式サイト


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