静嘉堂文庫美術館で「国宝・曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展」を観た! | とんとん・にっき

静嘉堂文庫美術館で「国宝・曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展」を観た!

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静嘉堂文庫美術館で「国宝・曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展」を観てきました。今回展示されている名品は展示目録によると、掛物、花入、香合、釜、水指、茶入、棗、茶碗、茶杓、茶壺、水屋甕、等々、全部で90点です。それにしても静嘉堂文庫にしては珍しく、たくさんの人で賑わっていました。今回は特に図録のようなものはないので、小冊子「静嘉堂茶道具 鑑賞の手引き」(300円)を購入しました。


展示室に入るとすぐに、「唐物茄子茶入」が二つ、展示してあります。一つは「付藻茄子(松永茄子)」と、もう一つは「松本茄子(紹鷗茄子)」です。ともに大阪夏の陣で大きく損傷します。徳川家康の命により、塗師の藤重藤元・藤巌父子が大阪城の焼け跡から名物茶器を探し出した際、付藻茄子、松本茄子などの破片が回収され、漆で繕われました。釉の艶やなだれなど陶磁器の質感が見事に復元されました。その超絶な修復を賞賛した家康は、褒美として付藻茄子を藤元に、松本茄子を藤巌に下賜したという。透過X線写真を見ると、付属文書の通り、破片を接いだ姿の茶入が現れ、今回も側面と上方からのX線写真が展示してありました。



目玉はなんと言っても「国宝 曜変天目茶碗(稲葉天目)」です。曜変天目茶碗は、作られたのは南宋時代の中国ですが、現存するものは、日本に3つだけ、世界中を探しても、中国にもないという代物です。東京・世田谷の静嘉堂文庫、大阪の藤田美術館、京都の大徳寺龍光院、それぞれ一つずつです。当然、全てが国宝です。なかでも静嘉堂の「曜変天目」は、光彩がもっとも素晴らしいとされているようです。いや、驚きました。曜変の「曜」は、元々は「窯」ですが、おしゃれに言い換えて「曜」とし、星・輝くの意味だそうです。焼成中の偶然の変化で奇跡的に生み出された黒釉茶碗の内面にある銀色の多数の斑点は、光によって藍色から金色にまで変化し、星のように輝きます。現物は意外に小さいが、しかし、毅然としています。その異名「稲葉天目」が示すように、江戸時代初期より、のち淀藩主となる稲葉家に伝えられたもの。この曜変はもと徳川将軍家の御物であったが、三代将軍家光が乳母春日局に下賜したという。昭和9年に岩崎小彌太の所有となったが、「名器を私に用うべからず」として、小彌太はこの曜変天目茶碗を一度も使用しませんでした。



「青磁鯱耳花入」は、千利休が所持し、のち仙台藩主伊達家に伝来した青磁花入です。この種の淡青色系の色をした龍泉窯青磁を砧と呼ばれます。鯱耳が付き、肩がくっきりと張る端正な姿で、胴部には朽葉色となった罅(ひび・貫入)が広がり、景色をなしています。「竹二重切花入」は、竹の自然なゆがみをとらえ、姿美しく切り出された二重切花入です。置くには不安定だが、当初より掛花入として制作されたことを伺わせます。





朝顔形をなす、大振りの天目茶碗。内外とも厚く掛かる黒釉上に、大きな油滴班が、銀から藍、淡褐色まで煌めいて浮かび上がります。室町時代の評価では「油滴」は「曜変」に次ぐ高位にあったという。







桜満開の吉野山、その景を闇夜に見るかのような色絵茶壺。丸く張った器面を覆う漆黒の釉が、金・銀・赤の桜花や葉の緑を艶やかに浮かび上がらせています。



「国宝・曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展」:ホームページより

本展では、国宝の「曜変天目」を始め、「付藻茄子」、「松本茄子(紹鷗茄子)」、重美「利休物相」といった大名物の茶入が公開となります。また仙台伊達家に伝来し、「砧青磁」命名の由来となった千利休所持の「青磁鯱耳花入」、加賀前田家伝来の重文「白磁刻花蓮花文輪花形水指」など、静嘉堂所蔵の茶道具の名品について、それぞれの由緒伝来や見所、鑑賞の歴史等をたどってまいります。


「静嘉堂文庫美術館」ホームページ


とんとん・にっき-sei1 「静嘉堂茶道具 鑑賞の手引き」

平成22年2月6日発行

編集・発行:静嘉堂文庫美術館










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