シアター・イメージフォーラムで「ボヴァリー夫人」を観た! | とんとん・にっき

シアター・イメージフォーラムで「ボヴァリー夫人」を観た!

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1989年に完成していた作品が、ソ連崩壊の混乱のなかで小規模な上映に終わっていたが、鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督自身の再編集で、やっと日本初公開になったという。夢を描いて医師と結婚したエマだが、凡庸な夫との田舎の生活は単調で退屈。商人が売りに来る服や小物に、パリへの憧れを募らせるも、夫とのセックスには無反応、嫌悪感だけが増し、失望してエマは鬱状態に。夫はエマの精神状態にまで気が回らない。そんなときに出会ったレオンとの恋も実らず、ドンファンのルドルフにはもてあそばれただけ。再会したレオンとも情事を重ねます。逢瀬のための浪費はますます多くなり、ついには自殺に至ります。


窓から見える景色は、荒涼とした岩肌だけです。映画のほぼ全編に蠅が飛び回り、羽音がブンブン聞こえます。なぜか遠くに汽車の警笛が響き渡ります。こうした幾層もの仕掛けが、エマを取り巻く世界の崩壊を暗示しているのでしょう。巨大な棺桶を馬車に積むときの重い音も凄い。どうして棺桶があんなに大きいのか、よく分かりませんが。エマ役のセシル・ゼルヴダキの体つきが筋肉質で、萎んだ乳房も濃い陰毛も張り出した腰も、セクシーな感じがしないのはなぜでしょう。セックスシーンは何度となくあるのですが、なぜか観る方も醒めてしまっています。それがエマ・ボヴァリーと言ってしまえばそれまでですが。ただこの映画、現代の女性を描いているようにもみえる、と僕には思えるのですが。


以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。


チェック:19世紀のフランス文学の傑作「ボヴァリー夫人」をロシアの巨匠、アレクサンドル・ソクーロフが映画化した問題作。田舎の医者の貞淑な妻が自己実現を求め、次第に破滅していく様を荒涼とした風景とともに描く。主演は本作でヒロインに抜てきされたイタリア系ギリシャ人のセシル・ゼルヴダキ。1989年完成の作品を今回監督がディレクターズカット版として再編集した。今も昔も変わらない女性としての尽きない悩みや葛藤(かっとう)が観る者を圧倒する。

ストーリー:片田舎の町医者と結婚したエマ(セシル・ゼルヴダキ)は娘も授かり、一見幸せそうな生活を送っていた。だが、彼女はその退屈な場所でのあまりにも単調な結婚生活に飽き飽きし、次第にふさぎこむようになっていく。そんなある日、裕福な隣人のロドルフが使用人の治療のために訪れたことから、彼女は情事に身を焦がすようになっていく。


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「ボヴァリー夫人」公式サイト


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