菊池寛実記念 智美術館で「赤黒金銀緑青 前田正博の色絵」展を観た! | とんとん・にっき

菊池寛実記念 智美術館で「赤黒金銀緑青 前田正博の色絵」展を観た!

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菊池寛実記念 智美術館で「赤黒金銀緑青 前田正博の色絵」展を観てきました。この美術館へ行ったのは2度目、前回は「第3回菊池ビエンナーレ展」を観に行った時でした。智美術館は「現代陶芸のコレクターである菊池智のコレクションを公開するために2003年4月、東京・虎ノ門に開設した美術館」とあります。智美術館のサイトには「喧噪から遠く、非日常の空間で、作品と出会う」とあります。


たしかに陶芸を展示する個人美術館らしく、その空間構成に特徴があります。玄関を入ると長い通路があり、右側が庭に面したレストラン、左手に美術館の受付とミュージアムショップがあり、特徴的なガラスの手すりの地下に降りる廻り階段があります。つまり、展示スペースは地下にあるというわけです。階段というのは日常と非日常の切り替えの場となっています。階段室の上にはトップライトが一つ、壁画は篠田桃紅のようです。 前回行ったときに調べてみたら、設計は坂倉建築研究所でした。坂倉事務所はなにをやらせても上手いですね!


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さて「赤黒金銀緑青 前田正博の色絵」展ですが、前田正博という陶芸作家は僕は今回初めて知りました。略歴を見ると、1948年京都府久美浜町に生まれ、1975年東京藝術大学大学院工芸科陶芸専攻終了、とあり、1970年代より現在まで一貫して、磁器に色彩豊かな絵付けをした器を制作し、独自の世界を広げてきた人のようです。タイトルに「赤黒金銀緑青」、そして「色絵」とある通り、古風な陶磁器とはまったく異なる色柄の作品です。


前田の作品、磁器特有の重さを排して、まるでプラスチックのような色合い、しかもつや消しマット仕上げで、結果的に重さが消えて軽さが前面に出てきています。その色も、上絵具を二重三重に重ねて、下の色が透けて見える独特の風合いに仕上がっています。模様もグラフィカルで、鳥やサボテン、月、あるいは三角形などを自由に配した軽妙なもので、形態は上下2段のものが多く、それが少しずれた構成となっています。


下の「学芸スタッフのブログ」からお借りした「展示風景」の画像を見れば分かる通り、全体的に暗い空間に、色柄の特徴的な作品が、スポットライトを浴びて、暗闇の中に浮き上がるように展示されています。毎回作品によって展示のしつらえを変えているようで、作品を集中してみられるよな工夫がなされています。


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以下、公式サイトより
本展では、「赤 黒 金 銀 緑 青 前田正博の色絵」と題し、鮮やかな色と軽妙な模様で見る人を楽しませる、前田正博の色絵をご紹介いたします。前田正博(1948~)は東京藝術大学にて藤本能道、田村耕一、浅野陽各氏に師事した後、1970年代より現在まで一貫して、磁器に色彩豊かな絵付けをした器を制作し、独自の世界を広げてきました。作家は、江戸末期に西洋から伝わった、洋絵具を用いることで、伝統的な上絵付けにはない、色絵表現を貫いてきました。様々な色が重なり合った複雑な色層は、素地が白い磁器であることを忘れさせますが、こうした作品の特色は、多くの色を一色ずつ丹念に重ね、焼成を繰り返すことにより生み出されます。全面を覆うグラフィカルな文様は、鳥、サボテン、月など自然をモチーフとしながらも、写実的描写から離れ、器に奔放で楽しげなリズムをもたらします。この、遊び心を感じさせる、色と文様の自由な語らいが、作者独特の色絵スタイルだといえましょう。本展では、新旧作を合わせたおよそ100点余の作品により、作者が歩んできた、色絵の変遷をご覧いただければと存じます。


「菊池寛実記念 智美術館」公式サイト


「坂倉建築研究所」ウェヴサイト


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