レーモンドの「東京聖十字教会」! | とんとん・にっき

レーモンドの「東京聖十字教会」!




去年の10月に神奈川県立近代美術館鎌倉館へ「アントニン&ノエミ・レーモンド展」を観に行った頃、ひょんなことからレーモンドの作品の中に質素な教会があるのを知り、それが家の近所だったのを知って驚きました。住所が分かっていたので、東急世田谷線に乗ったときに注意してみると、なんと電車の窓からも見えるところにありました。行こう行こうと思っていたのですが、なかなか行く機会が巡ってきませんでした。先日、松陰神社商店街のイベントがあり、その時に見に行ってきました。教会の前でキョロキョロしていると、怪しいものと思われたのか、中から神父さんが出てきたので、「中は見られますか?」と厚かましく聞くと、「どうぞ、どうぞ」と中に入れてくれました。


入口右下にある「定礎板」を見ると、「1961」とあります。つまり1961年に建てられたということです。今から47年も前の建築です。正面はそれにしてはきれいです。正面の羽目板張りや入口の扉は、隣に建つ「司祭館」の1階まわりと同じ仕上げなので、たぶん、隣が建ったときに併せて正面のみ改修したのではないかと思われます。それがいつかは分かりませんが。側面の外壁、というか、外壁と屋根が一体化していますが、鉄板葺きです。屋根の上には明かり取りの窓が見えます。教会の内部はたいへん質素です。それが逆に感動を呼びます。最初、アメリカ軍で使われているカマボコ型の兵舎を転用したのかと思いましたが、どうもそうではないようです。相当予算の厳しい建築だったようですが、手を抜かずに丁寧に仕上げられていました。


「教会あんない」によると、「東京聖十字教会は1924年に現在地に設立されました」とあります。関東大震災(1924年)で都心の多くが被災した中で、世田谷に住んだ人々を精神的に支えることを願って、この地で伝道が始まった、とあります。この教会の特色として「礼拝堂のユニークさ」があげられています。「著名な建築家であるA・レイモンド氏の設計による『柱状合板』の使用の『合掌造り風』のものとしては、日本最初の建築」と書かれています。「柱状合板」の使用の「合掌造り風」とは、よく分かりませんが、たぶん合板を張り合わせて、今でいう集成材を曲げ加工した柱梁一体のものを構造体として使用しているということなのでしょう。内部は合板そのままの仕上げで、なにしろ「質素」な教会です。ベニヤ板でも教会は教会です。十字架は四角い木材をただ十字に組んだだけのものです。これがキリストの背負った十字架かと思うと、感動がジワッと込み上げてきました。ここら辺りが「親しみやすい地域の中で形式ばらない教会」の」由縁です。














「日本聖公会東京教区 東京聖十字教会」

東京都世田谷区若林4ー18ー8

TEL03-3422-1037 FAX03-3422-1078


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