レディ・チャタレー(2006仏/ベルギー/英)他--第12回カイエ・デュ・シネマ週間 | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

9/29(土)から始まったカイエ・デュ・シネマ週間。現代のフランス映画満載で、名前を見ると結構すごいです(アンドレ・テシネ監督xEベアール、クリストフ・オノレ監督xルイ・ガレル/リュディヴィーヌ・サニエ/キアラ・マストロヤンニ、アラン・レネ監督xサビーヌ・アゼマ/ピエール・アルディティ)。しかし…見たい作品に限って日本語字幕がありません。
http://www.ifjtokyo.or.jp/agenda/festival.php?fest_id=33

この日は全作品日本語字幕付き、公開間近の「レディ・チャタレー」は無料で監督トーク付なのでお得。パスカル・フェラン監督の長編3作をまとめて見られました。

「死者とのちょっとした取引」(1994仏)

死者
ブルターニュの海岸で、40代の男、ヴァンサンが砂の城を作っている。そのヴァンサンを10歳の少年ジャンボが眺めている。ジャンボは自分のことを「不安定」だと言い、死者たちの存在に取りつかれて生きている。ヴァンサンの弟のフランソワも、二人の姉妹ザザとシュザンヌを訪ねて、この海岸に来ている。彼ら兄弟、姉妹、4人の心には、幼年時にもう一人の妹リリーを失った記憶が深く刻印していた……(HPより)

同じ浜辺に集まった3人のそれぞれの過去、思いを3章に分けて描いてゆきます。この構成、好き。最初は意味の分からないシーンも、後から「そういう意味だったのか」と分かったり。話は内面を深く考察する暗いイタリア映画風ですが、なんとなくその不安定さに共感覚えます。また、写真のような浜辺シーンが美しく、印象的でした。
 それにしても、子供部屋に真っ赤な寝具って、フランス人はすごいセンスだよな。

「a.b.c.の可能性」(1995仏)

abc
フランス北東部の街ストラスブール。ここで暮らすアニエス(A)からジャック(J)までの10人の若者たち。皆、何気なく生きているかに見えて、その心の内にはそれぞれの不安を抱えている。将来が見えない焦り、人を愛しすぎる、あるいは愛せないことの悩み…(HPより)


日本で公開されていたらしい。10人の若者が登場し、少しずつ関わりがあり、それぞれピンキリの悩みを抱えている群像劇。ある部分の悩みは「分かるわぁ」という部分もありますが、10人も覚えられないし、すごく適当な描き方の人物もいてバランス悪いです。雰囲気的には「スパニッシュ・アパートメント」や「シングルス」に似ていて、そういった作品が好きな人なら、いけるのかもしれません。
 ネット恋愛にはまっているフレデリックが、私の知り合いの男に似ていて、ちょっとムカつきました。

「レディ・チャタレー」(2006仏/ベルギー/英)

チャタレー
美しい人妻のチャタレー(マリナ・ハンズ)は、戦争で下半身不随となった夫クリフォード・チャタレー卿(イポリット・ジラルド)との生活に息詰まりを感じていた。ある日、邸内の森へ散歩に出かけたコンスタンスは、猟番のパーキン(ジャン=ルイ・クーロシュ)と出会う。そのうち、彼女は毎日森へ通い詰め、パーキンとの時間に楽しみを見出し始めるが……。 (シネマトゥデイ)


今回、ディレクターズカット版で138分→158分に増えています。私は劇場公開版を観ていませんが、多分ここが削られているんだろうという、直接的なシーンがあります;。

全体的に女性監督が撮ったにしては、「官能」や「情熱」というのではなく、無駄なラブシーンが多かった気がします(全6回あるらしい)。ヒクというより、飽きてきました。屋敷に閉じ込められていた奥様の自由を得る過程での変化というものを描いているようですが、すぐ暗転するせいか私にはその微妙な心情が掴めませんでした。ラストは、「この人、大人しいフリして結構したたかな女?」と嫌な気分になってしまったし。「驚異の傑作」と言われるほど味わえず、残念。

しかし、イギリスの田舎の森の風景は心洗われるような美しさ。一緒に森林浴をしている気分になれます。そして、昔のイギリス上流階級の上品な衣装ワンピースが素敵。



11月3日(土)よりシネマライズにて公開予定

満足度:★★★★★★☆☆☆☆