アフター・ウェディング(2006デンマーク/スウェーデン) | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

アフター・ウェディング

デンマークの女性監督、おそるべし。鋭い視線がキリキリ心情をえぐり出すって感じです。見ていて、(いい意味で)イタイんです。

インドで孤児たちの援助活動に従事するデンマーク人ヤコブ(マッツ・ミケルセン)は、巨額の寄付金を申し出てきた実業家ヨルゲン(ロルフ・ラッスゴル)に会うため故郷デンマークへ。そして偶然にも、ヨルゲンの妻ヘレナ(サイズ・バベット・クヌッセン)が自分のかつての恋人であるということが判明する。 (シネマトゥデイ)

偶然や悲劇の重なるメロドラマではあるんだけど(もちろん、メロドラマも大好き)、うそ臭さがないんです。それは俳優のリアルな演技、巧みな脚本の罠、斬新な映し方にあるのかもしれませんが、あらゆる点に感銘を受け、気がつけば物語に入り込んで、泣いていました。特に眼のクローズアップが、強い印象を与えてます。

そして、ラストのからっとした終わり方も、すごいセンスだな。

実の父役マッシモ・ミケルセンは、「007/カジノロワイヤル」(06)で悪役ル・シッフルを演じた方。これが、カッコいいんですキラキラ。褐色の肌のせいか、目尻のしわのせいか。こんなお父さんと初めて会えば、20歳程度の可愛い娘が恋をしても不思議はない恋の矢…と、違う展開を危惧していました;。彼の涙もいいんだわ。

思いっきり、心揺さぶられ、監督の才能に驚嘆し、大満足な映画でした。早く「ある家族の風景」も観たいです♪

10月29日(土)よりシネカノン有楽町1丁目にて公開予定
満足度:★★★★★★★★☆☆

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スサンネ・ビア監督はデンマークで人気らしいのですが、知りませんでした。「しあわせな孤独」(2002)、「ある愛の風景」(2004、日本では今秋公開)のハリウッドリメイクが決まっており、自身も遂にハリウッドに進出し、ハル・ベリー主演の新作の撮影を終えているらしい。今後注目の方です!

という訳で↓もDVD鑑賞

「しあわせな孤独」(2002デンマーク)


しあわせな孤独

博士号取得を目指すヨアヒム(ニコライ・リー・カース)と、レストランで女性コックとして働くセシリ(ソニア・リクター)。結婚を間近に控えていた2人だが、セシリの目の前でヨアヒムが交通事故に遭い、半身不随となってしまった。そして、心を閉ざした挙句にセシリまで拒絶する。傷心のセシリは、事故の加害者の夫の優しさに惹かれていく。(ショウタイムより)

作為的なものは排除され、うそ臭さのカケラもない。もっとも設定が、偶然の重なり過ぎに基づいているのは仕方ないとして。誰も偽善ではなく、悪意もなく、悲しみの連鎖が続くので、キリキリ心が痛むのです。また、不自然に鮮明な映像に、粗い画質を挿入する技法も斬新で、切なさ倍増。見ていて苦しく感じながらも、不倫関係を突っ走って欲しいという願望もあり、私は分裂症になっていました。

ラストは悲しいけれど、力強く、秀逸。

* マッシモ・ミケルセンに再びの期待でしたが、この「しあわせな孤独」ではあまり男の魅力を感じませんでした。色白のせい?めがねのせい?年齢のせい?

是非是非、「アフター・ウェディング」「ある愛の風景」の予習・復習にどうぞ。