ナルコ(2004仏) | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

ナルコ

「ミルコ」でも「シッコ」でもなく、「ナルコ」です。

チラシの絵しか観ていなかったので、なんとなく「サムサッカー」のような少し病んだ空気のアメリカ映画かなぁ…と勝手に予想していました。が、あらこんな軽いコメディだったなんて、しかもフランス映画だったなんて嬉しい誤算。

ギュス (ギョーム・カネ) はナルコレプシーという睡眠障害で悩んでいた。彼はいつでも発作的に眠ってしまい、アメコミのヒーローの夢を見るのだ。このため仕事はクビになるし、パム(パメラ)も不満を募らせる。(IMDbより改変)

この男、だらしない長髪と髭で気付かなかったけど、実は「戦場のアリア」「美しき運命の傷痕」のギョーム・カネでした。人気俳優なのに、こんな実験的映画(?)に、敢えて増量して臨んだんです。

だけど、それが正解!
この映画、かなり斬新で面白いです。病気による悲壮感はあまりなく、威勢の良いロックにピタッと合った編集。とぼけたコメディ味に、テンポのよさ、遊び感覚の斬新映像。現実から夢への連続性を感じさせる映像や、イメージの重ね方など、まるでアニメのように自由自在なんです。主人公の独白形式や、ループ型構成も効果的で、楽しませるために、あらゆる技術を駆使していると感じました。これが、監督さん達の長編初作品とは思えない仕上がりデス!

「おいおい」的なテンポの良すぎる部分もあり、一方でほろりと悲しくさせる部分もあり。バランス感覚にも長けてます。私はかなり好き。

病気ゆえに理解されない切なさをギョーム・カネが好演。また自分の夢を果たせない焦りと、間違った方法で果たそうと躍起になる周囲の人々も、楽しいけど痛々しいのです。こんな歪みもなんだか好き。

そういえば…監督2人のうち、ジル・ルルーシュは俳優もやっており、数年前に見た「ラブ・イズ・イン・ジ・エア Ma vir en l'air」にも、恐らく主人公の居候役で出演していました。その映画も軽快コメディでした。(そこそこ面白く、Mコティヤールの美しさ全開なので、是非公開して欲しい!)ちなみにこの方、本作品でも奇妙なスケーター兄妹として出演。

* ダイアン・クルーガー(この頃、まだギョーム・カネの奥様だった)もカメオ出演してるって、今知りました。あんな美人を見逃す訳ないのに、おかしいな…。


10月ユーロスペースにて公開予定
満足度:★★★★★★★☆☆☆