題名のない子守唄(2006伊) | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

子守唄1 子守唄2

イタリア映画祭でこの予告編が流れており、ということは、少なくとも16回はこの子守唄を聞いたことになり・・・やはり洗脳に近い強迫観念でこの映画を楽しみにしていました。だって、巨匠トルナトーレ監督 x 音楽エンニオ・モリコーネの最強コンビが描くサスペンスだから、期待せずにはいられないでしょう。


北イタリアのトリエステに長距離バスでやって来たイレーナ(クセニャ・ラポポルト)は、貴金属商を営むアダケル家のメイドになる。家事を完ぺきにこなす彼女は、アダケル夫人(クラウディア・ジェリーニ)から瞬く間に信頼を得るようになる。また、4歳になるアダケル家の娘テア(クララ・ドッセーナ)とも心を通わせ合うようになるが……。 (シネマトゥデイ)


いやいや。。一見、ストーリーはハリウッドだって作れる内容かもしれません(いや、十分壮絶なんですが;)。しかし単なるサスペンスも、巨匠が作ると、これほど濃厚な香りを放つ上質ドラマになるのだ~と、感心しました(・・・と思ったら、ドパルデューの「記憶の扉」もサスペンスでしたっけ)。見せ方、緊迫感、構図の美しさ。そして物語をリードするかのような旋律が響きます巨匠の力、堪能デスクラッカー


主人公の過去を知らないことによる緊張と、その見ず知らずの彼女の綱渡り的スリルにも付き合わされ、2重にドキドキ。この緊張感を2時間維持するのだから、観終わった後の疲労感といったらありません。しかも、フラッシュバックや小さなトラブルがいい意味で古典的。らせん階段やハサミ、窓なんて小物が大いに活躍し、ヒッチコックを思い出すのに十分な演出でした。だからって、見飽きたモノでもなく…、意外な展開に引き込まれました。

正直、主人公には共感できません。でも、美しいほどの悲哀の表情や、母性、強さが、強迫的子守唄とともにヒシヒシと伝わってきました。彼女にはテオとの交流により、人生をリセットしてほしいと思います。私のひとつ残念なことは、ジーナにもう一捻り動いて欲しかったような…。


* 娘のテオは(髪の爆発はともかく)、目が大きく、肌の質感もお人形さんのようでした。彼女が訳あって転ぶ姿は、まさに人形…というより起き上がりこぼし;。



9月15日(土)よりシネスイッチ他にて公開予定

満足度:★★★★★★★★☆☆